このセクションで説明する弦パラメータは、ボイスごとに適用されます。パラメータ名の後に「(モーフィング可能)」と記載されているものがいくつかあります。これは、そのパラメータが最大 5 個のモーフポイントの間でモーフできることを示しています。詳しくは、Sculpture のモーフセクションを理解するを参照してください。
これらのボタンを使用して、「Keyscale」または「Release」パラメータを有効にしたり非表示にしたりします。何を調整したいかによって「Keyscale」、「Release」、「Hide」のいずれかのボタンをクリックすれば、対応するパラメータが「Material」パッドの周囲のリングで表示(または非表示)されます。
「Material」パッドは、「Stiffness」(X 軸)と「Inner Loss」(Y 軸)の値のマトリックスとして機能します。
「Inner Loss」は、弦の素材(スチール、ガラス、ナイロン、または木材)によって生じる、弦の減衰をエミュレートするときに使用されます。これは周波数に依存する損失で、それによってディケイフェーズでサウンドがより柔らかくなります。
「Stiffness」は弦の硬さを設定します。実際には、これは弦の素材と直径(より正確には、断面の慣性モーメント)によって決まります。「Stiffness」パラメータの値を大きくすると、弦というより金属の棒のような音になります。硬い弦の場合も、倍音が基本周波数の整数倍にならず、不協和な振動が発生します。その結果、より高い周波数を含んだ倍音になりますが、上下のノートが若干調子の外れた音になることがあります。
「Material」パッドの四隅には、さまざまな素材名が示されています。それぞれは、「Stiffness」と「Inner Loss」の最大値/最小値の組み合わせを表しています。「Inner Loss」および「Stiffness」パラメータの位置の組み合わせによって、弦の素材と、それによるサウンドの全体的な音色が決まります。「Inner Loss」設定と「Stiffness」設定が音色に与える影響について例を示します:
「Stiffness」値を小さくすると同時に「Inner Loss」値を小さくすると、メタリックなサウンドになります。
「Stiffness」値を大きくすると同時に「Inner Loss」値を小さくすると、ベルやガラスのようなサウンドになります。
「Stiffness」レベルは小さいまま、「Inner Loss」値を大きくした場合は、ナイロンやガットの弦に相当します。
「Stiffness」値を大きくすると同時に「Inner Loss」値を大きくすると、木のような素材がシミュレートされます。
「Material」パッド内のボール(XY 平面上の特定の点を示します)をドラッグすることで、両方のパラメータが同時に制御されます。
メモ: ボールを動かすのに合わせて、弦の太さ(ピックアップディスプレイの緑色の水平線)が変わります(Sculpture の弦パラメータスライダを使う(モーフィング可能)を参照してください)。
「Keyscale」または「Release」表示では、「Material」パッドに「Keyscale」および「Release」パラメータの追加コントロールが表示されます。
「Keyscale」表示の菱形は、「Inner Loss」と「Stiffness」のスケーリングの高低の交わる位置を示します。この菱形を直接ドラッグすれば、両方のパラメータを同時に調整できます。
「Release」表示では、菱形をドラッグできるのは垂直方向のみです。これは、「Stiffness」パラメータのリリース動作を調整することができないためです。
メモ: Option キーを押したままコントロールをクリックすると、対応するパラメータがデフォルト値にリセットされます。
「Keyscale」の「Inner Loss」パラメータを使用すると、C より高いノートと C より低いノートに対して個別に減衰の度合いを制御することができるため、キーボードで高いノートと低いノートを演奏したときにそれぞれ発生する減衰の度合いを変えることができます。
「Keyscale」ボタンを有効にします。
低音部は緑色の水平線を、高音部は青色の水平線を、それぞれ希望の位置までドラッグします。
1.0 以上の値を選択することで、キーがリリースされたときの内部損失を大きくすることができます。ただし、ノートをリリースしたときに弦の素材が変わるようにエミュレートするため、不自然な効果になります。
菱形は、「Inner Loss」と「Stiffness」のスケーリングの高低の交わる位置を示します。この菱形をドラッグすれば、両方のパラメータを同時に調整できます。
「Keyscale」の「Stiffness」パラメータを使用すると、中央の C より高いノートと中央の C より低いノートに対して個別に弦の剛性を調整することができるため、キーボードで高いノートと低いノートを演奏したときにそれぞれ発生する不協和成分の度合いを変えることができます。
「Keyscale」ボタンを有効にします。
低音部は緑色の垂直線を、高音部は青色の垂直線を、それぞれ水平面上の希望の位置までドラッグします。
ヒント: 緑色の線が交差する菱形をドラッグすれば、「Stiffness」と「Inner Loss」のキースケールを同時に調整できます。
「Release」表示では、キーをリリースしたときに弦に適用される減衰の度合いがどのように変化するのかを設定します。
「Release」ボタンを有効にします。
青色のリリース線を希望の位置まで垂直方向にドラッグします。
メモ: このパラメータの従来からの使いかたとして、このパラメータと「Media Loss」スケールリリースを併用することで(Sculpture の弦パラメータスライダを使う(モーフィング可能)を参照)、ノートオフメッセージの受信時に減衰される弦の自然なシミュレーションが可能になります。
「Material」パッドの外側のリングにはスライダがあり、弦の特性や動作を細かく定義できます。
メモ: 分解能が高いほど計算精度が高くなり、コンピュータ処理負荷が大幅に増加する可能性があります。
「Keyscale」表示では、「Media Loss」の高/低スケールスライダを使用して、中央の C(C3)よりも高いノートと低いノートに対して、個別にキートラッキング分解能(キートラッキングの精度)を設定します。
「Release」表示では、「Media Loss」リリース・スライダを使用して、キーがリリースされたときの媒体損失の動作を指定します。
メモ: 特に「Media Loss」と「Inner Loss」値を共に小さい値にした場合には、この非線形効果によって意外な結果が生じることがあるばかりではなく、モデル全体が不安定になるケースもあります。サウンドのディケイフェーズでスパイクノイズやドロップアウトが聞こえる場合は、「Tension Mod」と場合によっては「Resolution」も下げてみてください。
「Keyscale」ボタンを有効にします。
低音部は「Material」パッドリングの上内側にある緑色の低スライダを、高音部はリングの上外側にある青色の高スライダを、それぞれ希望の位置までドラッグします。
「Keyscale」ボタンを有効にします。
「Material」パッドリングの左内側にある緑色のスライダを希望の位置までドラッグします。
「Release」ボタンを有効にします。
「Material」パッドリングの左外側にある青色のスライダをドラッグします。
値が 1.0 よりも高いと、キーをリリースしたときのメディア損失が大きくなります。このパラメータは、たとえば空気中で振動した後で水の入ったバケツに落とされた弦のシミュレーションに使用できます。もちろん普通のバイオリニストやピアニストならこんなことはしませんが、面白いサウンドバリエーションを作りたい場合には便利です。
「Keyscale」ボタンを有効にします。
低音部は「Material」パッドリングの右内側にある緑色の低スライダを、高音部はリングの右外側にある青色の高スライダを、それぞれ希望の位置までドラッグします。
ヒント: キーボードの高音部や低音部を弾いたときにインストゥルメントが多少シャープあるいはフラットするように思える場合には、「Tension Mod」と場合によっては「Media Loss」のキースケールパラメータを調整してみてください。