EVP88 の内蔵エフェクトを使用する

EVP88 は「EQ」、「Drive」(オーバードライブ)、「Phaser」、「Tremolo」、および「Chorus」のエフェクトを内蔵しています。詳細については、次のセクションを参照してください:

EVP88 のイコライザを使用する

「EQ」を使うと、EVP88 サウンドの高周波数域および低周波数域をブーストしたりカットしたりできます。イコライザは、EVP88 のエフェクトチェーン内でオーバードライブ回路の次に配置されています。

Figure. Equalizer prameters.
  • 「Treble」ノブ: 高周波数帯でよく使用されるフィルタを調整します。選択したピアノモデルによってシェルビング・タイプ・フィルタかピーク・タイプ・フィルタが使われます。周波数帯はあらかじめ選択の各モデルタイプに最適化されています。
  • 「Bass」ノブ: 低周波数帯でよく使用されるフィルタを調整します。選択したピアノモデルによってシェルビング・タイプ・フィルタかピーク・タイプ・フィルタが使われます。周波数帯はあらかじめ選択の各モデルタイプに最適化されています。

    ヒント: 高音部および低音部の周波数帯を抑えるとミッドレンジが強調され、非常にダイレクトかつアグレッシブなサウンドを作り出すことができます。より正確なイコライゼーションが必要であれば、「Logic Pro」のイコライザプラグインを音源チャンネルストリップに挿入できます。「Drive」エフェクトの「Tone」コントロールは、サウンドをさらに丸くする場合にも使うことができます。

EVP88 のドライブエフェクトを使用する

エレクトリックピアノは、真空管アンプを通して演奏すると最高の音を得られます。真空管アンプでは、クランチーなギターアンプの繊細な温かみから、サイケデリックな大音量のディストーションに至る幅広い音色を作り出すことができます。EVP88 のドライブエフェクトは、真空管アンプの飽和段階の特性をシミュレートします。ドライブエフェクトは、EVP88 のエフェクト連鎖の中で最初に置かれる信号処理回路です。

Figure. Drive parameters.
  • 「Gain」ノブ: ハーモニックディストーションの量を指定します。
  • 「Tone」ノブ: 仮想真空管アンプ回路でサウンドの振幅と歪みを大きくする前に、サウンドをイコライズします。音色を柔らかくするには、「Tone」の値を下げます。サウンドがソフト過ぎる場合は、イコライザエフェクトで高音部をブーストします。オーバードライブさせたトランジスタ特有のざらざらした歪み特性が欲しい場合は、「Tone」パラメータの値を高めにします。サウンドがハードになりすぎた場合は、イコライザエフェクトの「Treble」コントロールを使って高音部を弱めることもできます。

EVP88 のフェイザーエフェクトを使用する

エレクトリックギタリストたちによって使用されたフェイザーペダルは、エレクトリックピアニストの間でも人気があります。特に、1970 年代のエレクトリックジャズ、ジャズロック、ポップスでは頻繁に使われていました。

フェイザーエフェクトは、4 つのフィルタにオリジナルの信号を通過させて、EVP88 の周波数スペクトラムの特定の特性を強調します。このフィルタ処理された信号はいくらか位相遅延され、オリジナルの信号とミックスされます。その結果、周波数スペクトラムにノッチ(切れ目)が入ります。位相遅延された信号内のノッチは、LFO(低周波数オシレータ)でモジュレートした周波数スペクトラムで上下に動かされます。その結果、2 つの信号の振幅は、わずかな時間差で最大値と最小値に達するということです。

メモ: 「Logic Pro」は、はるかに洗練されたフェイザーエフェクト(およびその他のモジュレーションプラグイン)を備えています。これらは、EVP88 のフェイザーの代わりに使うことも、EVP88 のフェイザーと組み合わせて使うこともできます。EVP88 の「Phaser」にあるパラメータは、繊細なアナログスタイルのディストーションなど、さまざまな点が 1960 年代や 1970 年代の最高品質のアナログフェイザーと共通しています。

Figure. Phaser parameters.
  • 「Rate」ノブ: フェイジングエフェクトの速度を設定します。0 に設定した場合、「Phaser」はオフになります。
  • 「Color」ノブ: フェイザーエフェクトの入力に戻すフェイザーの出力信号の量を設定します。これにより、フェイジングエフェクトの音色が影響を受けます。
  • 「Stereophase」ノブ: 左右のチャンネル間の相対的な位相シフトを指定します。値を 0 に設定すると、エフェクトは最も強くなりますがステレオ音にはなりません。値を 180 に設定した場合、エフェクトは対称的に左チャンネルで上昇し右チャンネルで下降します。逆も同様です。

EVP88 のトレモロエフェクトを使用する

サウンドの振幅(レベル)を周期的にモジュレートする処理をトレモロと呼びます。モジュレーションは LFO 経由で制御されます。Fender Rhodes スーツケースピアノはステレオトレモロ機能を備えています。その他多くのエレクトリックピアノも、シンプルではあるものの強力なモノラルトレモロ機能を備えており、独特なポリリズムの雰囲気を演奏に加えられます。

Figure. Tremolo parameters.
  • 「Rate」ノブ: トレモロの速度(LFO 周波数)を設定します。
  • 「Intensity」ノブ: 振幅のモジュレーションレベルを調節します。0 に設定した場合、トレモロエフェクトはオフになります。
  • 「Stereophase」ノブ: 左右のチャンネル間の相対的な位相シフトを指定します。値を 0° に設定すると、両チャンネルで位相のレベルが上下します。値を 180° に設定すると、オートパンとも呼ばれるステレオのトレモロ効果が発生します。これは、パンナーを手動で左右に振る操作に似ています。

    ヒント: オリジナルの Wurlitzer ピアノは、5.5 Hz という固定モジュレーションレートのモノラルトレモロ機能を装備しています。Wurlitzer サウンドを忠実に再現する場合、「Stereophase」値に 0 度を選択します。Rhodes サウンドの場合は、「Stereophase」の値を 180 度に設定します。この中間(とりわけ低い LFO レートで)を設定すると、独特の浮遊感を持つ効果が生まれます。

EVP88 のコーラスエフェクトを使用する

よく知られたコーラスエフェクトは、ディレイ回路を使用しています。ディレイ時間は LFO でモジュレートされます。ディレイされたエフェクト信号は、オリジナルの信号とミックスされます。これはエレクトリックピアノのサウンドで最もよく使われているエフェクトです。

Figure. Chorus parameters.

「Chorus」パラメータ 1 つで強さ(ディレイ時間の「ずれ」の量)を調節します。LFO レートは 0.7 Hz に固定されていますが、「Chorus Rate」パラメータを使って変更が可能です(下のEVP88 の拡張パラメータを使用するを参照)。

メモ: 高い値を設定するとピアノサウンドのチューニングが外れることがあります。