EVOC 20 PolySynth 合成セクションのパラメータ

EVOC 20 PolySynth には、ポリフォニックシンセサイザーが組み込まれています。MIDI ノート入力を受け付けて合成するようになっていますが、そのパラメータを以下に解説します。

Figure. Synthesis section parameters.

EVOC 20 PolySynth オシレータのパラメータ

EVOC 20 PolySynth には 2 つのオシレータがあり、「Dual」モードと「FM」モードを切り替えることができます:

Figure. Oscillator parameters.
  • 「Dual」モード: オシレータごとにデジタル波形を選択できます。
  • 「FM」モード: 1 番オシレータでは正弦波が生成されます。1 番オシレータの周波数、つまりピッチは、2 番オシレータで変調されます(FM 合成については、FM(周波数変調)合成を参照してください)。これにより、多種多様なトーンやハーモニックが聞こえるようになります。2 番オシレータは、任意のデジタル波形を使用できます。

各モードによって、オシレータセクションにあるパラメータがわずかに変化します。

合成セクションにはノイズジェネレータもあり、サウンドに特色をさらに加えることができます。「Dual」モード、「FM」モード、およびノイズ・ジェネレータ・モードについては、以下の項目を参照してください:

EVOC 20 PolySynth オシレータの「Dual」モードパラメータ

EVOC 20 PolySynth オシレータの「FM」モードパラメータ

EVOC 20 PolySynth ノイズ・ジェネレータ・パラメータ

EVOC 20 PolySynth オシレータの共通パラメータ

このセクションでは、「Dual」モードと「FM」モードの両方に共通のパラメータについて説明します。

  • 「16'」、「8'」、「4'」値ボタン: 1 番オシレータのオクターブ範囲をクリックして選択します。「16'」(16 フィート)が最も低く、「4'」が最も高い設定です。オクターブを測るフィートという単位は、パイプオルガンの管長に由来します。パイプが長いほど(そして広いほど)深い響きの音が出るようになっています。
  • 「Wave 1」/「Wave 2」フィールド: 「Wave 1」および「Wave 2」というラベルの横にある数値を垂直方向にドラッグして、それぞれ 1 番オシレータおよび 2 番オシレータの波形タイプを選択します。EVOC 20 PolySynth には、さまざまな音響特性を持った単一サイクルのデジタル波形が 50 種類組み込まれています。

EVOC 20 PolySynth オシレータの「Dual」モードパラメータ

「Dual」モードの場合、各オシレータは 50 種類のデジタル波形であればどれでも使用できます。

Figure. Dual Mode Oscillator parameters.
  • 「Semi」フィールド: 2 番オシレータの周波数を半音単位で調整します。
  • 「Detune」フィールド: 両方のオシレータをセント(100 分の 1 半音)単位で微調整します。100 セントが 1 半音に相当します。
  • 「Balance」スライダ: 2 つのオシレータ信号間のレベルのバランスを設定します。

EVOC 20 PolySynth オシレータの「FM」モードパラメータ

「FM」モードの場合、1 番オシレータでは正弦波が生成されます。このモードでは、「Wave 1」パラメータは作用しません。

Figure. FM Mode Oscilator parameters.
  • 「Ratio c」(Ratio coarse)フィールド: 2 番オシレータと 1 番オシレータの間の周波数比を半音単位で調整します。
  • 「Ratio f」(Ratio fine)フィールド: 2 番オシレータと 1 番オシレータの間の周波数比をセント(半音の 1/100)単位で調整します。
  • 「FM Int」スライダ: モジュレーションの強さを指定します。値を高くするほど、倍音を多く含む複雑な波形になります。

EVOC 20 PolySynth ノイズ・ジェネレータ・パラメータ

ノイズジェネレータの音声信号も、上記 2 つのオシレータと共に使用できます。

Figure. Noise Generator parameters.

重要: 「U/V Detection」領域にもノイズジェネレータがありますが、オシレータセクションのノイズジェネレータは、それとは完全に独立したものです。有声/無声信号についての詳細は、EVOC 20 PolySynth(U/V)検出パラメータを参照してください。

  • 「Level」ノブ: 2 つのオシレータの出力信号に、どの程度のノイズを加えるかを設定します。
  • 「Color」ノブ: ノイズ信号の響きを制御します。左端の位置に合わせると純粋なホワイトノイズになります。右端にするとブルーノイズ(ハイパスノイズ)になります。ホワイトノイズは風や雨の音を合成する際に必須です。あらゆる周波数成分が、同程度の強度ですべて含まれています。一方ブルーノイズは、ハイパスフィルタで低域を落としているので明るい響きになります。

    ヒント: 「Color」を右端に合わせ、「Level」をほんの少し上げると、より躍動感のある信号を合成できます。

EVOC 20 PolySynth チューニング/ピッチパラメータ

インターフェイスの左下にあるパラメータでは、EVOC 20 PolySynth サウンドの全体的なチューニングおよびその他のピッチ関連項目を制御します。

Figure. Tuning and Pitch parameters.
  • 「Analog」ノブ: ピッチをノートごとにランダムに変化させることで、旧式のボコーダーに使われているアナログ回路の、不安定な状態をシミュレートします。これはポリフォニック・アナログ・シンセサイザーにもよく見られる現象です。「Analog」ノブで、ランダムに変化させる度合いを調整します。
  • 「Tune」フィールド: EVOC 20 PolySynth の全体的なチューニングをセント単位で指定します。
  • 「Glide」ノブ: ある音符から次の音符の高さまで徐々に変化する(ポルタメント)に要する時間を指定します。(モノフォニックとレガートについては、EVOC 20 PolySynth グローバルパラメータを参照してください。)
  • 「Bend Range」フィールド: ピッチベンドでピッチを動かす範囲を半音単位で指定します。

EVOC 20 PolySynth フィルタパラメータ

EVOC 20 PolySynth 合成セクションには、単純なローパスフィルタがあります。このフィルタで大まかに信号を整形してから、フォルマント・フィルタ・バンクの個別の帯域でより正確に制御します。

Figure. Filter parameters.
  • 「Cutoff」ノブ: ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定します。このノブを左に回すと、シンセサイザー信号からより多くの高周波成分が取り除かれます。
  • 「Resonance」ノブ: 「Cutoff」ノブで設定した周波数付近の信号成分をブーストまたはカットします。

    ヒント: 「Cutoff」をできるだけ高めにし、「Resonance」をほんの少し上げると、鮮やかな響きが得られます。

EVOC 20 PolySynth エンベロープパラメータ

EVOC 20 PolySynth には、オシレータのレベルを時間軸に沿って制御する、単純なアタック/リリース・エンベロープ・ジェネレータが組み込まれています。

Figure. Envelope parameters.
  • アタックスライダ: オシレータが最大レベルに到達するまでの時間を指定します。
  • リリース・スライダ: キーを放してから、オシレータが最小レベルに到達するまでの時間を指定します。

EVOC 20 PolySynth グローバルパラメータ

インターフェイスの左上にあるパラメータでは、EVOC 20 PolySynth で使用されるキーボードモードと声部の数を指定します。

Figure. Global parameters.
  • 「poly」ボタン/「Voices」フィールド: 「poly」を選択した場合、「Voices」の最大値を数値フィールドに設定できます。
  • 「mono」/「legato」ボタン: 「mono」または「legato」を選択するとモノフォニックになり、1 つの声部しか使わないようになります。
    • 「legato」モードでは、「Glide」(EVOC 20 PolySynth チューニング/ピッチパラメータを参照)はタイで連結されたノートでのみ有効となります。タイで結ばれた音符を演奏した場合、エンベロープに再トリガはかかりません(単一トリガ)。

    • 「Mono」モードでは「Glide」は常に有効で、発音したノートごとにエンベロープに再トリガがかかります(マルチトリガ)。

  • 「Unison」ボタン: 「unison」モードを有効または無効にします。
    • unison/poly モード(つまり「unison」ボタンと「poly」ボタンの両方を押した状態)では、EVOC 20 PolySynth の各声部がすべて二重になるため、使える声部数が通常の半分(最大 8 声部で、「Voices」フィールドにも数字で示されます)になります。二重になった声部は、「Analog」ノブで指定した分デチューンされます。

    • unison/mono モード(「unison」ボタンを押し、さらに「mono」または「legato」のいずれかのボタンを押した状態)にすると、最大 16 声部を積み重ね、それぞれを単声で鳴らすことができるようになります。「Voices」フィールドは、聞こえるようになる積み重ねた声部数が表示されます。

    重要: unison/mono モードで声部を積み重ねると、EVOC 20 PolySynth の出力音量が大幅に上がってしまいます。音源チャンネルストリップ出力が重複しないよう、最初は「Level」スライダに低い値を設定し、徐々に上げるようにしてください(EVOC 20 PolySynth 出力パラメータを参照してください)。