トラックの動作

「Motion」では、オブジェクト(通常はムービークリップ)の動きを記録および解析するために、オブジェクトにトラッキングビヘイビアを適用します。この解析の結果、トラック(記録された動きのデータ)が生成されます。これをプロジェクト内のほかのオブジェクトに適用して、ソースオブジェクトの動きを適用先オブジェクトに転送することができます。トラッキングビヘイビアは、ムービークリップ内のさまざまなフレームについて、参照パターンと呼ばれるピクセルの領域を解析するものであり、1 つのパターンを、キャンバス内での動きに合わせて「追跡する」ことを目的としています。トラッキングする参照パターン(特定の色見本、またはクリップ内のピクセルのスナップショット)を指定するには、解析したいクリップの領域に 1 つまたは複数の画面上のトラック(次の図に示す円の中の赤い十字形)をドラッグします。「Motion」は指定された参照パターンを指定された期間トラッキングし続けます。この期間は、トラッキングビヘイビアの長さ、定義された再生範囲の長さ、またはクリップの長さに基づきます。

Figure. Canvas window showing Tracker.

参照パターンは、終始一貫し、細部がハイコントラストで簡単に識別可能であることが理想的です。そうすれば、パターンのトラッキングが容易になります。

解析中は、トラックがその中心点の周りの検索領域内で多数の位置をサンプリングしながら、それぞれの後続フレームまで進みます。サンプリングされた位置のいくつかは、ほかの位置よりも指定された参照パターンと厳密に一致します。トラックは、検索領域と参照パターンが(サブピクセルの精度で)最も厳密に一致する位置を探し出します。トラックは、解析されたフレームごとに、最も一致する距離を測定して、相関値を割り当てます。

トラックは、参照パターンの位置を検索するだけでなく、フレーム間でのパターンの変形(調整、回転、またはシェイプ)も識別します。カメラのそばを通り過ぎる人物が着ている、シャツのそでについているロゴをトラッキングするとします。その人物がカメラの前を通り過ぎるときに少しだけ向きを変えると、参照パターンも回転します。トラックは、参照パターンと、パターンの調整や回転におけるあらゆる変更を探し出します。

所定のフレームに対してトラックの位置および相関値が決定されると、「Motion」では、この情報がキーフレームに記録されます。この処理は、トラック範囲の最後に到達するまで、フレームごとに繰り返されます。

記録されたデータは、キーフレームとしてトラッキングビヘイビアに保存されます。このデータを使用すれば、記録された動きを多数のプロジェクト要素に適用することができます。

メモ: 「スタビライズ」ビヘイビアは、トラックを使用せずにクリップのフレーム全体の動きを解析する高度なテクノロジーです。

「Motion」には、6 つのトラッキングビヘイビア(「モーショントラッキング」ビヘイビアのサブカテゴリに 4 つ、「シェイプ」ビヘイビアのサブカテゴリに 1 つ、「パラメータ」ビヘイビアのサブカテゴリに 1 つ)が用意されています。「Motion」のビヘイビアの概要については、「ビヘイビアを使う」を参照してください。