ライティング

モーショングラフィックスのプロジェクトにライティングを適用すれば、作品の奥行きや視野を広げることができ、また、合成のためのよりリアルな環境を作ることができます。

「Motion」のライティングシステムは、3D グループおよびその子にのみ動作します。

プロジェクトにライトを追加するには
  • 「オブジェクト」>「新規ライト」と選択します(または、Command + Shift + L キーを押します)。

    ライトオブジェクトが、「レイヤー」リスト、「タイムライン」、およびキャンバスに追加され(キャンバス上ではワイヤフレームアイコンで表示されます)、ツールバーで 3D 変形ツールがアクティブになります。

3D グループが存在しないプロジェクトにライトを追加した場合、次のダイアログが表示されます:

Figure. Switch to 3D alert dialog.

「2D を維持」を選択すると、ルート階層に 3D グループが 1 つでもない限り、ルート階層におけるライトのエフェクトはありません。デフォルトでは、ライトが追加されると同時に 3D グループやオブジェクトに濃淡が描写されます。

ライトは、以下のオブジェクトの子になったときにアクティブになります:

ライトの効果に影響のある設定

シーンに追加したライトの効果に影響があるのは、ライトそのものとオブジェクトのライティングの 2 つの設定です。ライトそのものの設定は、プロジェクト内でライトを選択し、「インスペクタ」の「ライト」パネルでパラメータ値を修正することで調整できます。オブジェクトのライティング設定は、プロジェクト内でライト以外のレイヤーを選択し(イメージ、ムービークリップ、シェイプなど)、そのオブジェクトの「情報」パネルにある「ライティング」パラメータを修正することで調整できます。

ライトの情報(ライトソースそのものの特性)は、ライトのタイプ、強度、カラーの 3 に分類できます。電球、太陽、クラブの照明など、明かりによって照明効果は異なります。ライティング設定ではこれらの違いをシミュレーションできます。

複数のタイプのライトを組み合わせる

実世界のライトと同じように、複数のライトを使ってカラーをミックスすることもできます。たとえば、赤と青のスポットライトで白いオブジェクトを照らした場合、両方がミックスされるとマゼンタになります。

各タイプのライトは、それぞれ固有の属性を持っています。特定の効果を得るために、複数のタイプのライトを組み合わせた方がいいこともあります。たとえば、薄暗いアンビエントライトとスポットライトを追加してスポットライトのエフェクトを落としていくことで、奥行き感を出したり、完全に暗くならないようにしたりできます。

ライトのパラメータ

ライトを作成するか、「レイヤー」リストでライトオブジェクトを選択すると、「インスペクタ」に「ライト」パネルが追加されます。

「インスペクタ」のパラメータ
  • カラー: ライトのカラーを選択できる標準のコントロールセットです。
  • 強度: 照明の調光スイッチのような役割を果たすスライダです。たとえば、指向性ライトの強度を 100%にしてまっすぐ赤いオブジェクトを照らすと、オブジェクトの見た目は赤になります。強度を下げると、オブジェクトとシーンが暗くなります。ただし、強度を 100%以上に設定すると、シーンが露出オーバーになり、最終的にはオブジェクトが白くなります。「強度」値スライダの範囲は 0 〜 400 ですが、実際には強度には上限はありません(400 より大きな値に設定するときは、隣の値スライダを使います)。

    メモ: 複数のライトでオブジェクトを照らすと、現実の世界と同じように、それらが組み合わさってオブジェクトの見た目の明るさも上がります。たとえば、2 つのスポットライトが空間内でオーバーラップし、かつ同じ方向を向いている場合、それぞれのライトの強度が 100 %に設定されていると、結果は強度が 200 %のスポットライトを 1 つ使うのと同じになります。

  • 減衰の開始: ライトの減衰がどこで始まるのかを調整するスライダです。実世界では、ライトは、光源からの距離が大きくなるほど暗くなります(すなわち、エフェクトが弱まります)。通常、減衰はライトオブジェクトの中央から始まります。「減衰の開始」を設定すると、ライティング用の追加コントロールが表示されます。このパラメータは、「位置」パラメータを使うタイプのライト(ポイントとスポット)に適用されます。

    下の例では、ライトがシーンの原点より少し上に位置しています。カードが並んだ輪が 3 つあり、それぞれライトから 200、500、1000 単位の距離に位置しています。(この例では説明を分かりやすくするために、ライトソースを、カードの輪の中心にある電球として視覚的にシミュレーションしています。)ライトの「強度」は 100%に、「減衰」は 10%に設定されています。「減衰の開始」が 0 に設定されている場合(下の左側)、ライトは最も内側の輪に到達する前に減衰し始めます。一方、「減衰の開始」が 200 に設定されている場合(下の右側)、内側の輪は 100%の強度で照らされ、外側の輪も前より少し明るくなります。

    Figure. Canvas window showing effect of Falloff Start parameter.

    「減衰の開始」の値を 500 まで上げると(下の左側)、内側と中間の輪は 100 %の強度で照らされ、外側の輪も今までより明るくなります。さらに、「減衰の開始」を 1000 に設定すると(下の右側)、すべての輪が 100 %の強度で照らされます。

    Figure. Canvas window showing effect of Falloff Start parameter at higher values.

    次の例では、左のイメージには強度が 100%のライトが、右のイメージには強度が 500%のライトがそれぞれ配置されています。右のイメージでは、外側の輪も少し明るくなっていますが、最も内側の輪は露出オーバーになっています。右のイメージで「減衰の開始」を 1000 まで上げると、輪が露出オーバーになります。

    Figure. Canvas window showing effect of Intensity parameter.
  • 減衰: ポイントライトとスポットライトの減衰レートを、「減衰の開始」設定を基に制御するスライダです。この値を低くすると、ライトの減衰に長い距離を要し、結果として、ライトがイメージ内のさらに遠くまで届きます。逆に値を高くすると、減衰がより早い時点で始まります。
  • コーン角度: 「ライトのタイプ」で「スポット」を選択したときにのみ利用できるダイヤルです。「コーン角度」は、ライトの中心から外側に向かって測定されます。角度は、0 〜 90 度の間で設定できます。ターゲットとライトとの距離が、このパラメータによる結果に影響してきます。ライトが近い場合は、オブジェクトを広く見るためにスポットの「コーン角度」をよりワイドにする必要があるかもしれません。逆に遠い場合は、オブジェクトを特定するために「コーン角度」を狭くする必要があるかもしれません。
  • ソフトエッジ: 「ライトのタイプ」で「スポット」を選択したときにのみ利用できるダイヤルです。「コーン角度」同様、このパラメータも 0 〜 90 度の間で設定できます。開始点は、「コーン角度」の外側の端で始まります。このパラメータを 0 に設定すると、ライトのエッジがハードになります。低い値に設定すると、ライトに照らされた範囲の境界が少し柔らかくなります。値を高くすると、よりワイドで自然なフェードになります。柔らかさを加えるとライトが照らす範囲が広がるので、特定の効果を出すには、必要に応じてアングルを調整します。

    メモ: ポイントライトとスポットライトには、影の落としかたを制御するパラメータもあります。これらのパラメータについて詳しくは、「シャドウ」を参照してください。

HUD コントロール

ライトの HUD には、「インスペクタ」でも使用できる「ライトのタイプ」、「カラー」、「強度」、「減衰の開始」、「減衰」の各パラメータがあります。また、3D 変形コントロールも表示されます。詳しくは、「3D 変形の HUD に表示されるコントロール」を参照してください。

オブジェクトのライティングパラメータ

ライトの影響を受けるオブジェクトはすべて、シーン内のライトにどのように反応するかを制御する情報を持っています。これらの情報は、オブジェクトの「情報」インスペクタにある「ライティング」セクションで調整できます。

  • ハイライト: ライティングされたオブジェクトにハイライトを表示するかどうかを制御するチェックボックスです。このパラメータは、「シェーディング」が「オフ」に設定されている場合は効果がありません。
  • 輝き: オブジェクトのハイライトをどのくらい強く見せるかを設定するスライダです。値を高くすると、光沢感が増します。「輝き」スライダが表示されない場合は、「ハイライト」の横にある開閉用三角ボタンをクリックすると表示されます。この「輝き」パラメータは、「ハイライト」パラメータの選択が解除されている場合は無効です。

    特定の効果を出すには、必要に応じてオブジェクトの表面の特性とライティングのパラメータを微調整します。

表示可能なライトをシミュレートする

通常、ライトソースは見えません。しかし、ポイントライトとイメージやシェイプを組み合わせれば、ライトソースそのものが見えているようにシミュレートすることもできます。

Figure. Canvas window showing simulated visible light source.

メモ: 「マッチムーブ」ビヘイビアを使えば、ムービークリップ内のライトによって、シミュレートしたライトソースを動かすこともできます。「マッチムーブ」ビヘイビアについて詳しくは、「「マッチムーブ」のワークフロー」を参照してください。

ライティングを無効にする

ライティングエフェクトは、再生パフォーマンスにかなり影響する可能性があります。そのため、プロジェクトでライティング操作以外の作業をするときは、再生速度を高めるためにライティングを一時的に無効にできます。

ライティングのレンダリングを無効にするには
  • ステータスバーの「レンダリング」ポップアップメニューから「ライティング」を選択します(または Option + L キーを押します)。