「ルミナンスキーヤー」フィルタを使う

「ルミナンスキーヤー」フィルタでは、イメージの明るさの範囲を選択して、イメージまたはクリップからキーを抽出します。通常は、前景の被写体から白い背景をキーアウトするために使用しますが、透明にする明るさの範囲を絞り込むことによってクリエイティブなエフェクトを作ることもできます。また、黒または白の背景から、ラスタライズされたロゴやテキストグラフィックスを抜き出すときにも使用できます。

ルミナンスキーは、透明にする領域とは明るさの範囲が異なる被写体をキーイングするときに最も効果を発揮します。たとえば、黒い背景をキーアウトする場合、前景の被写体に、背景と共にキーアウトされる可能性のある濃い影や暗い領域が含まれているとうまく機能しません。一般的に、イメージ内にシャドウやハイライトがあると、このフィルタで最適なキーを抽出するのが難しくなります。

Figure. The controls of the Luma Keyer filter.

ルミナンスキーヤー

「ルミナンスキーヤー」フィルタのコントロールは、「キーイング」フィルタと似ています。ただし、「ルミナンスキーヤー」では、イメージの色の範囲は考慮せず、明るさの範囲のみに基づいてキーが生成されるので、コントロールはよりシンプルです。

「インスペクタ」のパラメータ
  • ルミナンス: このグレイスケールグラデーションのハンドルをドラッグして、マットの許容度と柔らかさを調整します。「Motion」ではじめてイメージレイヤーに「ルミナンスキーヤー」フィルタを適用すると、「ルミナンス」コントロールに 2 つのハンドルが表示されます。右上に表示される許容度のハンドルと、左下に表示される柔らかさのハンドルです。

    上部のハンドルを左にドラッグすると、許容度のハンドルがもう 1 つ表示されます。これらの 2 つのハンドルによって、生成されるマットのコア透明度を決めるイメージの明るさ範囲を指定します。透明になる明るさの範囲は、グラデーションの格子模様で示されます。

    グラデーションの下の 2 つのハンドルでは、キーの柔らかさ(エッジ透明度)を調整します。(柔らかさの 2 つ目のハンドルが表示されない場合は、許容度の 2 つのハンドルを左にドラッグします。)下の柔らかさのハンドルのいずれかを上の許容度のハンドルから遠ざけるようにドラッグすると、キーのエッジが柔らかくなります。グラフの傾斜をドラッグしても、柔らかさのハンドルを調整することができます。

  • 反転: このチェックボックスを選択すると、透明になる領域と不透明になる領域が入れ替わります。
  • ルミナンスロールオフ: このスライダを使って、「ルミナンス」コントロールの許容度のハンドルと柔らかさのハンドル間の減衰の線形を調整します。このパラメータでは、「ルミナンス」コントロールによる影響を最も受ける領域でのエッジ周辺のマットの柔らかさを変更できます。「ルミナンスロールオフ」の値を小さくすると、「ルミナンス」コントロールの 2 つのハンドル間の傾斜がより直線的になり、マットのエッジが柔らかくなります。この値を大きくすると、「ルミナンス」コントロールの 2 つのハンドル間の傾斜がより急勾配になり、マットのエッジが鋭くなってよりくっきりします。
  • 表示: これらのボタンを使って、キャンバスに表示されるキーイングプレビューの 3 種類のモードを切り替えることができます。この機能は、キーを微調整するときに便利です。
    • コンポジット: 左側のボタンでこれを選択すると、最終的な合成イメージがキャンバスに表示されます。キーイングした前景の被写体が抜き出され、背景は透明になって、下にあるレイヤーが透けて見えます。
    • マット: 中央のボタンでこれを選択すると、キーイング操作によって生成されるグレイスケールマット(アルファチャンネル)が表示されます。アルファチャンネルを表示することによって、生成されるマット部分が適切であるかどうかを確認できます。マットの中で白く表示される領域は、最終的な合成イメージで不透明になります。黒く表示される領域は透明になり、灰色の領域は半透明になります(灰色が明るいほど不透明に近くなり、暗いほど透明に近くなります)。アルファチャンネルを表示すると、キー内の不要な穴や、十分に透明でないキー領域を簡単に見つけることができます。
    • オリジナル: 右側のボタンでこれを選択すると、元のキーイングしていないイメージがキャンバスに表示されます。
  • マットツール: 「マットツール」行の開閉用三角ボタンをクリックすると、ここまでの一連のパラメータで生成される透明マットを後処理するためのコントロールが表示されます。このグループのパラメータでは、キーとなるマットを生成するためにサンプリングされる値の範囲は変更されません。代わりに、「ルミナンス」コントロールと「ルミナンスロールオフ」コントロールで生成されるマットが変更されます。マットを縮小または拡大したり、柔らかくしたり、反転させたりして、コンポジットの品質を向上させることができます。
    • 穴を埋める: このスライダを使って、キー内の半透明領域の不透明度を調整します。キーとなるマットのエッジは今のままでよいが、前景の被写体内に不要な穴があり、「強度」パラメータを使って埋めようとするとエッジが崩れてしまうような場合にこのパラメータが便利です。スライダの値を高くすると、キーイングした被写体の不透明領域にある穴が埋められます。
    • エッジの距離: このスライダを使って、キーイングした被写体のエッジのどのくらい近くまで「穴を埋める」パラメータを適用するかを調整します。このパラメータを下げると、マットの不透明領域が、キーイングした被写体のよりエッジに近い部分まで広がります。これにより、被写体のエッジ付近の半透明性を保つよりもエッジ付近の不要な穴を埋めることを優先したり、髪の毛、煙、反射などの半透明の細部領域を抜き出したりできます。このパラメータを上げると、マットの不透明領域が、被写体のエッジから離れたより内部にとどまります。これにより、イメージ内であまり強くキーイングされない領域の半透明性が増します。このパラメータを上げすぎると、被写体の本来不透明な部分が不用意に透過してしまうことがあります。
    • レベル: このグレイスケールグラデーションを使って、キーとなるマットのコントラストを変更します。3 つのハンドルをドラッグして、ブラックポイント、ホワイトポイント、およびバイアス(ブラックポイントとホワイトポイント間のグレイ値の分布)を設定します。マットのコントラストを調整することによって、キー内の半透明領域を操作できます。ホワイトポイントを下げると、より多くの半透明領域が不透明になり、ブラックポイントを上げると、より多くの半透明領域が透明になります。「バイアス」ハンドルを右にドラッグすると、キーの半透明領域がより透明になり、左にドラッグすると、キーの半透明領域がより不透明になります。
    • 黒、白、バイアス: 「レベル」行の開閉用三角ボタンをクリックすると、「黒」、「白」、「バイアス」の各パラメータのスライダが表示されます。これらのスライダは、前述の「レベル」ハンドルの設定を反映しています。各スライダの右側にある「キーフレームを追加」ボタンを使うと、3 つの「レベル」パラメータをキーフレームしたり「パラメータ」ビヘイビアを適用したりできます。「黒」、「白」、「バイアス」のパラメータをキーフレームすると、ブルースクリーンまたはグリーンスクリーンの状態の変化に対応した、より質の高いキーを生成できます。
    • 縮小/拡大: このスライダを使って、マットのコントラストを調整します。コントラストは、マットの半透明性とサイズの両方に影響します。スライダを左にドラッグすると、半透明領域がより透明になると同時に、マットが小さくなります。スライダを右にドラッグすると、半透明領域がより不透明になると同時に、マットが大きくなります。
    • 和らげる: このスライダを使って、キーとなるマットをぼやけさせます。エッジが一定の量だけにじんだ感じになります。
    • 縮小: このスライダを右にドラッグすると、キーとなるマットのエッジから内側に向かって透明度が徐々に増します。
  • ライトラップ: 「ライトラップ」行の開閉用三角ボタンをクリックすると、キーイングした前景レイヤーとコンポジットの背景レイヤーの色と明るさの値をブレンドするためのコントロールが表示されます。これらのコントロールを使うと、キーイングした被写体と環境光が相互に干渉している状態をシミュレーションして、背景光が被写体のエッジを包み込んでいるかのように見せることができます。

    「Motion」の「ライトラップ」操作では、キーイングした前景の被写体のエッジと背景の明るさおよび暗さの値がブレンドされます。キーの不透明部分のエッジ周りで色が混ざった効果が出るので、キーイングによるコンポジットの前景レイヤーと背景レイヤーをより自然になじませることができます。

    「ライトラップ」は、イメージ処理工程の中で最後に実行される操作です。つまり、フィルタ、光と影、その他の合成エフェクトなど、ほかのすべてのイメージ操作が処理された後で、ライト・ラップ・エフェクトが追加されます。このため、「ライトラップ」では、適用先オブジェクトの外観を変える可能性のある視覚エフェクトを考慮に入れた、最も適切な結果が生み出されます。

    重要: 「Motion」内には、選択したレイヤーまたはグループの「情報」インスペクタの「ブレンドモード」ポップアップメニューにも「ライトラップ」オプションがあります。レイヤーの「情報」インスペクタで設定した「ライトラップ」ブレンドモードは、そのレイヤーに「キーイング」フィルタを追加して「ライトラップ」の「量」パラメータを 0 よりも大きい値に設定すると無視されます。(「キーイング」フィルタの「ライトラップ」パラメータが優先されます。)ただし、「ライトラップ」グループの「量」パラメータを 0 に設定した場合は、「ライトラップ」ブレンドモードが再度有効になります。さらに、グループの「情報」インスペクタで設定した「ライトラップ」ブレンドモードは、そのグループの「キーイング」フィルタで設定した「ライトラップ」パラメータよりも優先されます。

    • 量: このスライダを使って、ライトラップを前景にどの程度広げるかを設定して、ライト・ラップ・エフェクトを調整します。
    • 強度: このスライダを使って、キーイングした前景の被写体とラップされたエッジの値の相互干渉の明暗を決めるガンマレベルを調整します。
    • 不透明度: このスライダを使って、ライト・ラップ・エフェクトの透明度を調整します。
  • RGB を保持: このチェックボックスを選択すると、グラフィックスやテキストのなめらかさが保持されます。イメージによっては、アルファチャンネルが含まれていなくても、含まれているかのようにレンダリングされることがあります。典型的な例は、黒を背景とする白いテキストです。大半のイメージでは、ラスタライズされたテキストは適切にアンチエイリアス処理されているため、「ルミナンスキーヤー」を使って RGB チャンネルをさらに変更するとエッジの品質が低下する可能性があります。「RGB を保持」チェックボックスを選択すると、RGB チャンネルを変更することなくイメージに透明性が追加されるので、なめらかにアンチエイリアス処理されたテキストやグラフィックスの見た目が変わりません。
  • ミックス: このスライダを使って、キーイングしたイメージとブレンドする元のイメージの割合を設定します。100 %に設定すると、キーイングしたイメージだけになり、0 %に設定すると、キーイングしていない元のイメージになります。
HUD コントロール

HUD には以下のコントロールがあります: ルミナンス および ルミナンスロールオフ.