経験のある「Motion」ユーザは、「Final Cut Pro X」の洗練されたエフェクトテンプレートを作成できます。以下の例は、この種のエフェクトの 1 つである、SLR(一眼レフ)カメラのファインダーの焦点変化のシミュレーションを作成する方法を示します。SLR カメラは、移動式の鏡とプリズムのシステムを使用して、フィルムに焼き付けられるイメージを撮影者に表示します。 このセクションで説明する操作を行うには、クローン、マスク、リグなど、「Motion」の高度な技術のいくつかに関する十分な知識が必要です。これらのテクニックについて詳しくは、「クローンレイヤーを作成する」、「シェイプ、マスク、およびペイントストロークを使う」、および「リグを使用する」を参照してください。 この例に示す操作は、以下の手順に分けられます:
「Motion」でテンプレートプロジェクトを設定する
「ファインダ」のグラフィックスを作成する
プレビューイメージを追加する
マスクを追加する
新しいリグを追加する/カスタマイズする
リグウィジェットとエフェクトテンプレートを「Final Cut Pro」に公開する
「ファイル」>「新規」と選択します(または Command + N キーを押します)。
「プロジェクトブラウザ」で「Final Cut エフェクト」を選択し、Final Cut Pro X プロジェクトに必要なプロジェクトプリセットを選択して、「開く」をクリックします。
メモ: この例では「放送 HD 720」プリセットを使用します。
プロジェクトが開きます。これには、1 つの「エフェクトソース」プレースホルダレイヤーを備えたグループが 1 つ含まれます。
プレースホルダ(矢印のイメージ)は、「Final Cut Pro」の「タイムライン」内でエフェクトが適用されるクリップまたはイメージを表します。このテンプレートでは、同じイメージまたはクリップのインスタンスを複数使用して SLR のスプリットプリズムエフェクトを作り出すため、クローンはプレースホルダで構成されます。
プレースホルダのクローンを作成する:
「エフェクトソース」レイヤーを選択し、「オブジェクト」>「クローンレイヤーを作成」と選択します(または、K キーを押します)。
クローンレイヤーの名前を「背景」に変更します。
「エフェクトソース」レイヤーをもう一度選択し、「オブジェクト」>「クローンレイヤーを作成」と選択します(または、K キーを押します)。
2 番目のクローンレイヤーの名前を「上プリズム」に変更します。
「エフェクトソース」レイヤーの名前を「下プリズム」に変更します。
新しいグループをプロジェクトに追加する:
「レイヤー」リストで「グループ」を選択し、「レイヤー」リストの左下隅にある追加(+)ボタンを 4 回クリックして、追加グループを 4 つ作成します。
最下層の(クローンを含む)グループに「背景グループ」という名前を付けます。
「グループ 1」に「下プリズムグループ」という名前を付けます。
「グループ 2」に「上プリズムグループ」という名前を付けます。
「グループ 3」に「スプリットプリズムグループ」という名前を付けます。
「グループ 4」に「フォーカススクリーングループ」という名前を付けます。
プロジェクトは、次の図のようになります:
グループとプレースホルダのクローンを整理する:
「下プリズム」クローンレイヤーを「下プリズムグループ」にドラッグします。「下プリズムグループ」の周囲にハイライトが表示されたら、マウスボタンを放します。
「上プリズム」クローンレイヤーを「上プリズムグループ」にドラッグします。
Shift キーを押しながら「下プリズムグループ」と「上プリズムグループ」を選択し、「スプリットプリズムグループ」にドラッグします。
これで、「下プリズムグループ」と「上プリズムグループ」が、「スプリットプリズムグループ」のメンバーになりました。
「スプリットプリズムグループ」を「フォーカススクリーングループ」にドラッグします。
プロジェクトは、次の図のようになります:
次の手順では、シェイプを追加して、SLR のファインダにあるフォーカスリングをシミュレートします。
「フォーカススクリーン」グループを選択した状態で、ツールバーの「シェイプ」ポップアップメニューから「円」ツールを選択します。
ポインタをキャンバスの中央に置き、Shift + Option キーを押したままキャンバス内で円を描きます。
円は、矢印のグラフィックが十分隠れる大きさにしてください。
ヒント: グリッドを表示してキャンバス内でのグラフィックスの位置決めを容易にするには、キャンバスの上にある「表示」ポップアップメニューから「グリッド」を選択します。
円のレイヤーに「アウターリング」という名前を付けます。
「アウターリング」レイヤーを選択した状態で、「シェイプ」インスペクタで以下の操作を行います:
青色のアクティブ化ボックスの選択を解除して、「塗りつぶし」をオフにします。
青色のアクティブ化ボックスを選択して、「アウトライン」をオンにします。
「ブラシカラー」を黒に設定します。
「幅」を 1 にします。
「ブラシの不透明度」を 80 パーセントに設定します。
「アウターリング」レイヤーを選択した状態で Command + D キーを押し、複製したシェイプに「テクスチャリング」という名前を付けます。
「シェイプ」インスペクタで、以下の操作を行います:
青色のアクティブ化ボックスの選択を解除して、「アウトライン」をオフにします。
青色のアクティブ化ボックスを選択して、「塗りつぶし」をオンにします。
「塗りのカラー」を黒に設定します。
「塗りの不透明度」を 35 パーセントに設定します。
「情報」インスペクタで、「調整」を 42 パーセントに設定します。
ツールバーの「フィルタを追加」ポップアップメニューから「スタイライズ」>「ハーフトーン」と選択します。
画面のパターンが「テクスチャリング」に適用されます。
「フィルタ」インスペクタで、「コントラスト」を 0.2 に設定します。
次の手順では、イメージ(作成しているエフェクトの確認に役立ちます)を追加して、ブラーフィルタを適用します。その後、ブラーフィルタにリグを適用して、焦点が変化するエフェクトを作成します。
「ファイルブラウザ」内で静止画像をキャンバスにドラッグし、キャンバス内のプレースホルダが黄色に強調表示されたらマウスボタンを放します。
このイメージを使って、作成中のエフェクトを表示できます。イメージをキャンバスにドラッグすると、クローンと背景のレイヤーにそのイメージが適用されます。この例では、象の群れのイメージが使用されています。象の写りは鮮明です。
「レイヤー」リストで、「背景」レイヤーを選択します。
ツールバーの「フィルタを追加」ポップアップメニューから「ブラー」>「ブラー(ガウス)」と選択します。
「ブラー(ガウス)」フィルタが象のイメージに追加されます。
「フィルタ」インスペクタで、「適応量」を 0 に設定します。
ブラー度合いは、以降の手順で(リグの作成時に)変更されます。
以下の手順では、ファインダとスプリットプリズムの中心を作成するマスクを追加します。
「テクスチャリング」レイヤーにマスクを追加する:
「レイヤー」リストで、「テクスチャリング」レイヤーを選択します。
ツールバーの「マスク」ポップアップメニューから「円マスク」ツールを選択し、ポインタを「テクスチャリング」シェイプの中心に置いてから、Shift + Option キーを押したままキャンバス内でマスクを描きます。
次のイメージを参考にしてください:
「テクスチャリング」の円がマスクされます。ただし、SLR ファインダのフォーカスリングをシミュレートするには、マスクを反転する必要があります。
「マスク」インスペクタで、「マスクを反転」を選択します。
ヒント: キャンバス内のオブジェクトを配置するには、ダイナミックガイドとスナップを使用します(N キーを押します)。オブジェクトを選択し、「オブジェクト」>「配置」メニューからオプションを選択します。
「上プリズムグループ」にマスクを追加する:
「レイヤー」リストで「上プリズムグループ」を選択します。
ツールバーの「マスク」ポップアップメニューから「ベジェマスク」ツールを選択し、キャンバス内で四角形を描いて、下の辺が円のグラフィックの中心を斜めに通過するようにします。
次のイメージを参考にしてください:
ヒント: キャンバスをすばやくズームアウトするには、Command + マイナス記号キーを押します。キャンバスをズームインするには、Command + プラス記号キーを押します。または、スペースバーと Command キーを(この順序で)押したまま、キャンバス上を斜めにドラッグします。キャンバスでクリックしたスポットを中心としてズームされます。
マスクを選択した状態で、「表示」>「ルーラを表示」と選択します(または、Command + Shift + R キーを押します)。
縦のルーラから 2 つのガイドをドラッグして、マスクの左下隅と右下隅に配置します。
「下プリズムグループ」にマスクを追加する:
「レイヤー」リストで、手順 2 で作成したベジェマスクを選択します。
「編集」>「複製」と選択します(または、Command + D キーを押します)。
ベジェマスクのコピーを「下プリズムグループ」にドラッグします。
ツールバーの左端にあるポップアップメニューから「選択/変形」ツールを選択します。
Shift キーを押したまま、マスクの回転ハンドルを 180 度ドラッグします。
マスクを下にドラッグして、マスクの左上隅と右上隅をガイドに揃えます。
ヒント: ドラッグの開始後に Shift キーを押したままにすると、動きが Y 軸に制限されます。マスクの Y 位置を微調整するには、Command + ↑ キーまたは Command + ↓ キーを押すか、マスクの「情報」インスペクタで「Y」位置パラメータを調整します。
マスクのエフェクトを表示するには、「背景グループ」をオフにしてから、「上プリズムグループ」または「下プリズムグループ」をオフにします。
「スプリットプリズムグループ」にマスクを追加する:
「レイヤー」リストで、「テクスチャリング」レイヤーに適用した円マスクを選択して Command + D キーを押します。
円マスクのコピーを「スプリットプリズムグループ」にドラッグしてから、「背景グループ」をオフにしてマスクのエフェクトを表示します。
「スプリットプリズムグループ」に適用されたマスクは反転した状態を保持しますが、大きさは変化します。これは、調整されているオブジェクト(「テクスチャリング」)にマスクが適用されたためです。調整されていないオブジェクトに適用されたマスクは、調整なしのサイズで適用されます。
円マスクのコピーを選択した状態で、「マスク」インスペクタの「マスクを反転」チェックボックスの選択を解除します。
円マスクのコピーを選択した状態で「情報」インスペクタを開き、「調整」パラメータを 42 パーセントに設定して、「テクスチャリング」の大きさに一致させます。
次の手順では、「上プリズム」レイヤーと「下プリズム」レイヤーの位置を制御するリグを作成して、SLR カメラのフォーカスをシミュレートします。
「レイヤー」リストで、(「上プリズムグループ」ではなく)「上プリズム」クローンのレイヤーを選択し、「情報」インスペクタで以下の操作を行います:
「位置」パラメータの開閉用三角ボタンをクリックして、X、Y、および Z サブパラメータを表示します。
Control キーを押しながら「X」位置パラメータ名をクリックし、ショートカットメニューから「リグに追加」>「新規リグを作成」>「新規スライダに追加」と選択します。
「ウィジェット」インスペクタが表示されます。このインスペクタには「上プリズム.X」というパラメータが 1 つ含まれています。「インスペクタ」(および「上プリズム」クローンレイヤーの「情報」インスペクタ)で、パラメータの横にリグアイコン(ジョイスティック)が表示されます。リグオブジェクトとスライダオブジェクトも、「レイヤー」リストの一番上付近に表示されます。
「下プリズム」クローンレイヤーを選択し、「情報」インスペクタで以下の操作を行います:
「位置」パラメータの開閉用三角ボタンをクリックして、X、Y、および Z サブパラメータを表示します。
Control キーを押しながら「X」位置パラメータ名をクリックし、ショートカットメニューから「リグに追加」>「リグ」>「スライダに追加」と選択します。
「レイヤー」リストで「ブラー(ガウス)」フィルタを選択し、以下の操作を行います:
「フィルタ」インスペクタを開きます。
Control キーを押しながら「量」パラメータ名をクリックし、ショートカットメニューから「リグに追加」>「リグ」>「スライダに追加」と選択します。
「レイヤー」リストで「リグ」を選択します。
リグ済みのパラメータが「リグ」インスペクタに表示されます。リストの一番上には、最近追加されたパラメータが表示されます。
次の手順では、ファインダの焦点エフェクトをシミュレートする 3 つの異なるスナップショットを作成します。最初のスナップショットでは、上プリズムが左に移動し、背景イメージがピンぼけで表示されます。2 番目のスナップショットでは、上プリズムと下プリズムが配置され、背景イメージが鮮明に表示されます。3 番目のスナップショットでは、下プリズムが右に移動し、背景イメージがピンぼけで表示されます。
リグ、ウィジェット、およびスナップショットの使用方法について詳しくは、「リグを使用する」を参照してください。
「レイヤー」リストで「背景グループ」チェックボックスを選択し、スナップショットを作成しながらそのエフェクトを表示します。
「リグ」インスペクタで、スライダコントロールのすぐ下をダブルクリックしてスナップショットを追加し、スナップショットの青いタグを 50 付近までドラッグします。
最初のスナップショット(左端のタグ)をクリックして、以下の値を設定します:
「ブラー(ガウス)」の「量」を 150 に設定します。
「下プリズム」の「X」を 25 に設定します。
「上プリズム」の「X」を –25 に設定します。
このスナップショットは、極端な焦点の SLR カメラのファインダをシミュレートします。
3 番目のスナップショットをクリックして、以下の値を設定します:
「ブラー(ガウス)」の「量」を 150 に設定します。
「下プリズム」の「X」を –25 に設定します。
「上プリズム」の「X」を 25 に設定します。
このスナップショットは、もう一方の極端な焦点の SLR カメラのファインダをシミュレートします。
メモ: 中間のスナップショット値は 0 のままで、SLR カメラのレンズの焦点が合っていることを表します。
スライダを前後に動かして、リグ済みのパラメータのエフェクトを表示します。
スナップショットタグではなく、スライダコントロールだけを必ずドラッグするようにしてください。
完成した SLR エフェクトが「Final Cut Pro X」の「タイムライン」に追加されると、このスライダが「エフェクト」インスペクタに表示されます。
次の手順では、リグスライダを「焦点」として公開します。「Final Cut Pro X」で「焦点」スライダを前後に動かすと、SLR カメラのファインダでの焦点を合わせがシミュレートされます。
「レイヤー」リストで、スライダウィジェットに「焦点」という名前を付けます。
「リグ」または「焦点」ウィジェットを選択してから、「リグ」インスペクタで以下のいずれかの操作を行います:
「焦点」スライダのアニメーションメニュー(ポインタをパラメータ行の右側に置いたときに表示される下向きの三角形)をクリックして、ポップアップメニューで「公開」を選択します。
Control キーを押しながら「焦点」スライダのパラメータ名をクリックして、ショートカットメニューで「公開」を選択します。
「レイヤー」リストでプロジェクトオブジェクトを選択し、「プロジェクト」インスペクタの「公開」パネルを開きます。
「公開されたパラメータ」リストに「焦点」スライダが表示され、「Final Cut Pro」の「インスペクタ」にどのパラメータコントロールが表示されるかを示します。
「ファイル」>「保存」と選択してから、以下の操作を行います:
保存ダイアログで、テンプレートの名前を入力します。
名前を指定しないと、テンプレートは「Final Cut Pro」の「エフェクトブラウザ」に「新規テンプレート」と表示されます。
「カテゴリ」ポップアップメニューでカテゴリを選択します。
独自のカテゴリを作成することもできます。カテゴリは、「Motion」の「プロジェクトブラウザ」と「Final Cut Pro」の「エフェクトブラウザ」に表示されます。
必要に応じて、「テーマ」ポップアップメニューでテーマを選択します。
テーマは作成することもできます。テーマは、「Motion」の「プロジェクトブラウザ」と「Final Cut Pro X」の「テーマブラウザ」に表示されます。テーマは、テンプレートの分類に役立つメタデータ・タグです。「Motion」の「プロジェクトブラウザ」のテーマとカテゴリについて詳しくは、「プロジェクトブラウザ」を参照してください。
「Motion」の「プロジェクトブラウザ」にプレビュームービーを表示しない場合は、「プレビュームービーを保存」の選択を解除します。
テンプレートが、すぐに使用できる状態で「Final Cut Pro」の「エフェクトブラウザ」に表示されます。「Final Cut Pro」でパラメータにキーフレームを設定する方法については、「Final Cut Pro X ヘルプ」を参照してください。
「公開」をクリックします。