「Logic Pro」のほとんどすべての機能は、キーコマンドや MIDI メッセージで実行できます。このマニュアルで「キーコマンド」という場合、それはコンピュータのキーボードで 1 つのキーまたは複数のキーの組み合わせ(Option キーと R キーで「録音」プロジェクト設定を開くなど)を押したり、MIDI メッセージを使ったりしてアクセスできる機能やコマンド、オプションを指します。
マウスの代わりにキーコマンドを使うと、ワークフローの効率が大幅に向上します。このマニュアルでは、実践的な使用例を箇条書きの手順で多数紹介しており、特定の機能に対応したデフォルトのキーコマンドについても説明しています。
ヒント: これらのデフォルトのキーコマンドを活用しながら、このアプリケーションの操作に慣れていくことをお勧めします。これは、ただキーコマンドを覚えるだけでなく、適切(かつ効率的)な作業の進めかたを身に付ける際にも役立ちます。
「Logic Pro」の基本を十分に理解し、どのように作業を進めたいのかが見えてきたら、自分だけのキーコマンドセットを自由に割り当ててみましょう。
メモ: キーコマンドからのみ使用できる機能もあります。これらの機能の中には、デフォルトのキーコマンドが割り当てられていないものもあります。キーコマンドが割り当てられていない機能については、適切なキーコマンドを作成して利用できるようにする必要があります。
「Logic Pro」の機能をコンピュータのキーボードのキーや MIDI メッセージに割り当てるには、「キーコマンド」ウインドウを使用します。このウインドウでは、自分の作業スタイルに合わせて、アプリケーションを完全にカスタマイズすることができます。
「Logic Pro」>「環境設定」>「キーコマンド」と選択します(または、「キーコマンドを開く」キーコマンドを使います。デフォルトの割り当ては Option + K キーです)。
「アレンジ」ウインドウのツールバーの「環境設定」ボタンをクリックし、ショートカットメニューから「キーコマンド」を選択します。
ヒント: Control キーを押しながらメニューのコマンドを選択すると、選択したコマンドの「キーコマンド」ウインドウが表示されます。これは、ショートカットメニューでも表示できます。
グローバルキーコマンドは、現在どのウインドウがアクティブかに関係なく機能します。グローバル以外のコマンドは、対応するウインドウにキーフォーカス(ほかのウインドウの前面、最上層に)する必要があります。このようにすれば、同じキーコマンド(またはキーの組み合わせ)をウインドウごとに異なる機能に割り当てることができます。
重要: キーコマンドにはクラスによる階層があります。この階層は、単にグローバルとローカルを区別するだけのものではありません。たとえば、リージョンを表示するすべてのウインドウに適用されるキーコマンドクラスがあります。このクラスは、グローバルキーコマンドよりも優先されますが、ローカルウインドウ(「アレンジ」、「スコア」、「ピアノロール」など)のキーコマンドがあれば、そちらの方が優先されます。
「オプション」メニューには、キーコマンドセットの切り替え、それらの読み込みおよび書き出しを実行できるコマンドがあります。これは、別のユーザの Logic Pro システムで一時的に作業する必要がある場合に、ほかのシステムの設定を変更せずに自分のキー割り当てを使用できるので便利です。
キーコマンドを保存する際、自分で作成したキー割り当てのセットは、「~/Library/Application Support/Logic/Key Commands」にある個別のファイルに保存されます。
「キーコマンド」ウインドウで、「オプション」>「キーコマンドを書き出す」と選択します。
ダイアログが開き、「~Library/Application Support/Logic/Key Commands」にあるデフォルトのフォルダの場所を参照します。
メモ: 別の場所に移動して、そこにキーコマンドセットを保存することもできます。
以下のいずれかの操作を行います:
メモ: デフォルトの場所にキーコマンドセットを保存している場合は、「オプション」>「プリセット」メニューからすべてのキーコマンドセットを使用できます。
バックアップのためにも、キーコマンドを保存しておくことをお勧めします。キーコマンドセットを保存する場合には、以下のように操作することをお勧めします:
自分で作成したユーザキーコマンドセットを変更するときには、キーコマンドセットを書き出します(上記の手順に従ってください)。キーコマンドに対する変更内容は、選択したキーコマンドセットに自動的には保存されません。
キーコマンドに何らかの変更を加える前に、自分で作成したユーザキーコマンドセットのバックアップをハードディスクの別の場所に保存してください。
リムーバブルメディア(CD-ROM や USB フラッシュドライブなど)、ネットワークに接続された Mac(Bonjour を使用)、または MobileMe アカウントに、バックアップを作成してください(「Logic Pro」のデータをネットワーク上で共有するを参照)。これらのいずれかの方法でバックアップしておけば、別のコンピュータで「Logic Pro」を使う場合でも簡単にキーコマンドを転送できます。
「Logic Pro」のアップデートをインストールしても、自分で作成したキーコマンドが変更されることはありません。
メモ: ほぼすべてのキーコマンドがユーザ定義可能です。「取り消し」、「保存」、「終了」、「新規」、「開く」、「カット」、「コピー」、「ペースト」などの標準コマンドにデフォルトで割り当てられているキーの一部は、Mac OS X の慣例に従っているので、変更しないほうがよいでしょう。キーによっては、特定の機能やコマンドに「固定」されているため、変更できないものもあります。これらはキーコマンドの一覧で淡色表示されるため、固定されていることが分かります。
キーコマンドは、さまざまなカテゴリにグループ化されています。グループは、それぞれの開閉用三角ボタンをクリックして展開したり折りたたんだりできます。
「オプション」>「すべてを表示」と選択すると、すべてのキーコマンドグループの内容が表示されます。「オプション」>「すべてを隠す」と選択すると、すべてのキーコマンドグループの内容が隠されます。
キーコマンドグループを展開すると、選択したキーコマンドが隠れて見えなくなる場合があります。選択したキーコマンドには、「オプション」>「選択部分へジャンプ」で簡単に移動できます。リストにキーフォーカスがある場合は、キーコマンド(の組み合わせ)を使用してリストで関連する機能を選択できます。
「キーコマンド」ウインドウの検索フィールドを使用して、名前、または名前の一部でキーコマンドを検索できます:
検索は、テキストを入力しながら実行されます。キーコマンドの検索履歴を保存する必要がなければ、Return キーを押す必要はありません。
右側のキャンセルボタン(テキストを入力するとすぐに表示されます)をクリックすると、入力したテキストが消去され、すべてのキーコマンドが表示されます。
検索メニューの左側の虫眼鏡アイコンには、最近使用した検索語句の履歴が保存されています。メニュー項目の「消去」を選択すると、検索履歴が消去されます。
メモ: 検索履歴に保存されるのは、Return キーを押して実行された検索語句のみです。
一部のキーには、特殊な機能があります:
Shift、Control、Option、およびコマンドキーは修飾キーで、ほかのキーと組み合わせてのみ使用できます。
Delete キーには、「選択したオブジェクトの削除」という機能が固定されています。修飾キーと組み合わせた場合にのみ、別の機能を割り当てることができます。
メインメニューバーのコマンドに割り当てられているキーの組み合わせは割り当てを変更することができますが、デフォルトのままにすることをお勧めします。割り当てられているキーコマンドは、メインメニューの各項目の右に表示されます。たとえば、コマンド+ 1 キーを押すと「アレンジ」ウインドウが表示され、Shift + L キーを押すと現在のスクリーンセットがロックされます。
+ キーと - キーは、「最後にクリックしたパラメータの値を 1 増やす」キーコマンドと「最後にクリックしたパラメータの値を 1 減らす」キーコマンドに割り当てられています。名前から分かるように、このキーは選択しているパラメータの値を 1 単位ずつ増減させます。
+ キーと - キーに Shift キーを組み合わせると、「最後にクリックしたパラメータの値を 10 増やす」キーコマンドと「最後にクリックしたパラメータの値を 10 減らす」キーコマンドにアクセスできます。
このセクションでは、特定のコンピュータのキーを「Logic Pro」の機能に割り当てる方法を示します。
「コマンド」カラムでコマンドを選択します。
「キーのラベルで登録」ボタンをクリックします。
割り当てるキーと修飾キー(Shift、Control、Option、コマンドキー)を一緒に押します。
ほかにも割り当てる場合は、ステップ 1 〜 3 を繰り返します。
「キーのラベルで登録」ボタンをもう一度クリックします。
「キーの位置で登録」機能もほぼ同じですが、保存されている ASCII コードではなく、実際に押したキーのスキャンコードを参照する点が異なります。
つまり、数字キーパッドの数字キーとキーボード上の数字キーに別々のコマンドを割り当てることができます。
また、キーの位置自体は、オペレーティングシステムの言語設定を切り替えても、別のキーボードを使用しても変わることはありません。このため、英語のキーボードの Y キーに割り当てた機能のスキャンコードは、英語のキーボードの Y キーと同じ位置に Z キーがあるドイツ語のキーボードに切り替えても、Z キーを押せば同じように機能します。
唯一の欠点は、「キーコマンド」ウインドウに、ASCII 記号ではなくキーコード(数字)が表示される点です。参照するには、ASCII 記号の方が便利です。
これら 2 つの機能の違いを明確にするために、例を挙げて簡単に比較してみましょう:
「キーのラベルで登録」機能を使用してキーにキーコマンドを 1 つだけ定義した場合、このキーコマンドは、2 つのキー(たとえば数字 7 のキー)のどちらが押されたかに関係なく使われます。
「キーの位置で登録」機能を使用して 2 つのキーコマンドを定義した場合(一方のコマンドをキーボードの数字キーに設定し、もう一方のコマンドをテンキーに設定した場合)は、該当するキーコマンド(数字 7 のそれぞれのキーに設定したコマンド)が使用されます。
ローカルキーコマンドの組み合わせがすでに使われている場合、新しいグローバルキーコマンドを割り当てようとすると、警告メッセージが表示されます。この警告メッセージでは、既存のローカルキーコマンドの組み合わせの使用場所と、割り当てようとしているキーコマンドに対する優先度が述べられます。以下のオプションがあります:
キーの割り当てを削除したいコマンドを選択します。
以下のいずれかの操作を行います:
「キーのラベルで登録」または「キーの位置で登録」ボタンをクリックしてから、「削除」を押します。
「削除」ボタンをクリックします。
選択したコマンドのキー割り当てが削除されます。
キー割り当てをさらに消去するには、ステップ 1 と 2 を繰り返します。
もう一度「キーのラベルで登録」または「キーの位置で登録」ボタンをクリックします(これらのボタンを有効にした場合)。
「新規割り当てを登録」ボタンでは、コントロールサーフェスメッセージを特定のコマンドに割り当てて、これらのメッセージを認識できるように「Logic Pro」を設定することができます。
「新規割り当てを登録」ボタンをクリックします。
「コマンド」カラムでコマンドを選択します。
コントローラから割り当てる MIDI メッセージを送信します。
「割り当て」フィールドには、設定された割り当てが表示されます。これには、以下のいずれか 1 つ、またはすべてが表示される場合があります:
コントロールサーフェスの名前。サポートされていないコントロールサーフェスの割り当ての場合は MIDI 文字列。
コントロールの名前。
キーコマンド割り当てのゾーンとモード(該当する場合)。
メモ: すべてのメッセージを受け取ると、「新規割り当てを登録」ボタンの選択は自動的に解除されます。このため、ボタンを放したときにデバイスが送信した(可能性のある)メッセージをさらに受け取ることはありません。正しいメッセージを確実に受け取るために、コントロールのボタンは、放す前にしばらく押したままにしてください。
ほかにも割り当てる場合は、ステップ 2 と 3 を繰り返します。
キーコマンド以外の機能をコントロールサーフェスに割り当てる場合は、「コントローラアサインメント」ウインドウを使用します。このウインドウを開くには、割り当てセクションの行をダブルクリックするか、「Logic Pro」>「環境設定」>「コントロールサーフェス」と選択し、メインメニューバーで「“<変換先のパラメータ>”の割り当てを登録」コマンドと選択します(または「コントローラアサインメントを開く」キーコマンドを使います。デフォルトの割り当てはコマンド+ K キーです)。詳しくは、「Logic Pro コントロールサーフェスサポート」マニュアルを参照してください。