プロジェクトを作成した後は、プロジェクトの各プロパティをチェックし、必要に応じて設定を変更します。この時点でプロパティを設定するのが最善の策であるのは、これによって、後で必要になってから行う(たとえば 100 ファイル以上ものオーディオファイルのサンプルレートを変換するといった)事後の修正作業が低減されるからです。ここでは、作業を始める前に考慮しておく必要があるプロジェクトのプロパティについて説明します。
プロジェクトのサンプルレートによって、「Logic Pro」でオーディオを再生するときのサンプル数が決まります。オーディオファイルをプロジェクトに追加またはレコーディングするときに、これらのファイルのサンプルレートは自動的にプロジェクトのサンプルレートにマッチします。
重要: サンプルレートの自動マッチングを指定する場合は、プロジェクト設定の「読み込むときにオーディオファイルのサンプルレートを変換」を選択する必要があります。この設定は、「ファイル」>「プロジェクト設定」と選択して表示される「素材」パネルで有効にできます。
「ファイル」>「プロジェクト設定」>「オーディオ」と選択して(または、「オーディオのプロジェクト設定を開く」キーコマンドを使って)、「サンプルレート」メニューでサンプルレートを選択します。
トランスポートバーのサンプルレートディスプレイを選択し、ポップアップメニューからサンプルレートを選択します。
メモ: トランスポートバーにサンプルレートディスプレイが表示されない場合は、Control キーを押しながらトランスポートバーをクリックし、ショートカットメニューから「トランスポートバーをカスタマイズ」を選択します。「トランスポートバーをカスタマイズ」ダイアログボックスで「サンプルレートまたはパンチロケータ」チェックボックスを選択します。
プロジェクトのオーディオファイルが、新しく選択したサンプルレートとマッチしない場合があります。オーディオファイルがプロジェクトのサンプルレートにマッチしない場合、ファイルの再生スピードは元の速度より遅くなる(ファイルのサンプルレートが高い)か早くなる(ファイルのサンプルレートが低い)かのいずれかになります。
オーディオビンの「ファイルをコピー/変換」コマンドを使い(Control キーを押しながらオーディオビンをクリックするか、対応するキーコマンドを使うこともできます)、プロジェクト内のファイルを置き換えます。
「Logic Pro」では、サンプルレートがネイティブでリアルタイムに変換されます。「Logic Pro」で使用できるサンプルレート(「オーディオ」>「サンプルレート」と選択)は、選択したレートにオーディオ機器が対応していない場合でも、すべてレート変換に使用できます。
ソフトウェアのネイティブサンプルレート変換機能がオーディオ機器のサンプルレートにマッチするため、事実上あらゆるオーディオシステムで(ハードウェアがそのサンプルレートに対応していない場合でも)プロジェクトの再生が可能です。この変換処理で損なわれるものはありません。内部処理時とバウンス時は、常に元のサンプルレートで再生され、ハードウェアが対応していない場合でも質の高い音質で再生されます。この機能により、ハイエンドのオーディオシステムで作成されたプロジェクトをローエンドのセットアップで操作することができます。
たとえば、プロジェクトが 96 kHz に設定されたオーディオ機器で作成されているとします。このプロジェクトをノートブックコンピュータやオリジナルのプロジェクトのサンプルレートに対応していない設定に移すと、ほとんどの場合、誤った速度で再生されます。ネイティブのリアルタイムサンプルレート変換機能が、このような結果にならないように処理するため、ポータブルコンピュータでもあらゆるサンプルレートでプロジェクトを正確に再生できます。
メモ: サンプルレートを高くすると、ハードディスクの容量が圧迫されるだけではなく、処理の負荷も増えます。
トランスポートバー、「テンポ」トラック、またはテンポリストでプロジェクトの基本テンポを設定することができます。「Logic Pro」 では、テンポは1分あたりの4分音符の数(bpm)で表されます。テンポの範囲は 5 〜 990 bpm で、小数点以下 4 桁まで調整が可能です。
トランスポートバーで、以下のいずれかの操作を行います:
テンポの値をクリックしたまま上下にドラッグします。
テンポの値をダブルクリックし、テキストフィールドに新しい値を入力します。
テンポリストで、以下のいずれかの操作を行います:
テンポの値をクリックしたまま上下にドラッグします。
テンポの値をダブルクリックし、テキストフィールドに新しい値を入力します。
「テンポ」トラックを開き、ポインタツールでテンポラインを上下にドラッグします。
高度なテンポ操作の詳細については、高度なテンポオペレーションを参照してください。
拍子はバールーラに含まれる 1 小節あたりの拍数と、1 拍を示す音符の値を定義します。
拍子はプロジェクトの再生には影響しませんが、以下の図のようにアレンジ領域と MIDI エディタ内に表示される編集グリッドを決定します。どちらの図も MIDI リージョンを表し、最初の図は 2/8 の拍子、2 番目の図は 6/8 の拍子です。
プロジェクトの拍子は、トランスポートバー、調号/拍子記号リスト、または「調号/拍子記号」トラックで設定できます。トランスポートバーでは、拍子は「分子:小節分母:ディビジョン値」という形式で表されます。
ディビジョン値は、あらゆる位置ディスプレイのディビジョン(イベントエディタの「位置」の値も含む)を定義し、さまざまな長さの指定と配置操作ができるグリッドを形成します。通常、ディビジョン値は 1/16 音符に設定されますが、音符の値の範囲を 1/4 〜 1/192 で指定できます。ディビジョンの音符の値が小節の分母と同じか、または大きい場合は、位置ディスプレイの 3 番目の値は自動的に削除されます。
ヒント: 「次の上位ディビジョンを設定」または「次の下位ディビジョンを設定」キーコマンドを使って、ディビジョンをその次の最大または最小のディビジョンに切り替えることができます。
トランスポートウインドウのテンポインジケータは、8 分音符が拍子の分母に設定されている場合も常に 4 分音符で示されます。
トランスポートバーで:
いずれかの拍子の値をクリックしたまま上下にドラッグします。
フィールド内の数字をダブルクリックし、テキストフィールドに新しい値を入力します。
調号/拍子記号リストで:
拍子の値をクリックしたまま上下にドラッグします。
拍子の値をダブルクリックし、テキストフィールドに新しい値を入力します。
「調号/拍子記号」トラックを開き、表示される値をダブルクリックします。分子と分母の値を設定し、必要に応じてほかの設定も行います。
拍子の詳細については、拍子記号と調号を操作するを参照してください。
プロジェクトの再生は通常、1 1 1 1 の位置で開始されます。開始位置をそれより前の位置に移動し、最初のダウンビートの前にアップビートを再生することも、プログラムチェンジコマンドを実行することも可能です。
バールーラにあるプロジェクトの開始マーカーを、左右にドラッグします。
バールーラにあるプロジェクトの終了マーカーを、左右にドラッグします。
トランスポートバーのプロジェクト終了位置ディスプレイに数値を指定します(値をクリックしながらドラッグするか、ダブルクリックします)。
メモ: トランスポートバーにプロジェクト終了位置ディスプレイが表示されていない場合は、Control キーを押しながらトランスポートバーをクリックし、ショートカットメニューから「トランスポートバーをカスタマイズ」を選択します。「トランスポートバーをカスタマイズ」パネルで「テンポ/プロジェクトの終了」チェックボックスを選択します。
プロジェクトの終了位置に達すると、「Logic Pro」は自動的に停止します(録音以外の場合)。録音の場合、録音が終了した地点が自動的にプロジェクトの終了位置になります。
プロジェクトの基本再生ボリュームを設定するには、トランスポートバーの右側にあるマスター音量スライダを使用します。このスライダは、ミキサーのマスター・チャンネル・ストリップに直接結び付けられており、すべてのオーディオおよびソフトウェア音源トラックに対してマスター音量コントロールとして機能します。
重要: このスライダは、プロジェクトの再生ボリュームを設定するだけでなく、ミックス全体のボリュームにも影響します。
マスター音量スライダをドラッグします。
マスター・チャンネル・ストリップで音量フェーダーをドラッグします。
マスター音量スライダの右にある「マスター音量をリセット」ボタンをクリックします。
マスター音量スライダを Option キーを押しながらクリックします。
マスター・チャンネル・ストリップで音量フェーダーを Option キーを押しながらクリックします。
マスター音量スライダの左にある「マスター音量をディム」ボタンをクリックします。
マスター・チャンネル・ストリップでディムボタンをドラッグします。
これによって、再生ボリュームが「Logic Pro」>「環境設定」>「オーディオ」>「一般」パネルで設定されているディムレベルに設定されます。
プロジェクト設定には、「Logic Pro」の動作に大きな影響を与えるさまざまなオプションがあります。プロジェクト設定はプロジェクトごとに保存されます。つまり、プロジェクトごとに異なるプロジェクト設定があります。プロジェクト設定は後からでも設定できますが、必要な設定を行ってからプロジェクトを開始した方がスムーズに作業を進めることができるため、通常は最初に設定します。
「ファイル」>「プロジェクト」>「設定」と選択し、メニューから項目(「同期」、「MIDI」、「スコア」など)を選択します(または、対応するキーコマンドを使います)。
「アレンジ」ウインドウのツールバーの「設定」ボタンをクリックし、メニュー項目を選択します。
すべてのプロジェクト設定について詳しくは、Logic Pro のプロジェクト設定を参照してください。
プロジェクト設定には「素材」パネルがあります。プロジェクトを素材と共に保存した場合は、外部(プロジェクトフォルダ以外の場所)から読み込んだファイルの扱いかたをこのパネルで指定できます。
「ファイル」>「プロジェクト設定」>「素材」と選択します(または、「素材のプロジェクト設定を開く」キーコマンドを使います)。
「アレンジ」ウインドウのツールバーの「設定」ボタンをクリックし、ポップアップメニューから「素材」を選択します。
コピー関連チェックボックスのいずれかを選択すると、指定したファイルタイプがプロジェクトフォルダにコピーされます。
「読み込むときにオーディオファイルのサンプルレートを変換」チェックボックスを選択すると、読み込んだ各ファイル(サンプルレートがそれぞれ異なる)のサンプルレートがすべて自動的にプロジェクトのサンプルレートにマッチします。
「EXS サンプルをプロジェクトフォルダにコピー」オプションを選択していない場合は、保存時に EXS インストゥルメントファイルだけがプロジェクトフォルダにコピーされ、EXS インストゥルメントファイルに関連付けられたサンプルはコピーされません。
プロジェクトを保存すると、ファイルだけがプロジェクトフォルダにコピーされます。
保存されたプロジェクトは安心して取り扱いできるようになります。フォルダ内のファイルに対する参照を保持したままプロジェクトフォルダ全体を移動したり、コピーしたりできます。