エンバイロメントを交換する

エンバイロメントの利点は、MIDI スタジオを詳細に管理するために「Logic Pro」をカスタマイズできることです。ただし、ほかのミュージシャンとプロジェクトを共有したり、異なるスタジオ設定を使ったりする場合に、問題になることもあります。

スタジオを変更した後で以前のプロジェクトに戻る場合も、問題が生じます。「Logic Pro」 には、このようなやり取りをできるだけ簡単に行うための機能が用意されています。

異なるプロジェクトとエンバイロメントを交換する場合は必ず、対象のエンバイロメントを含むソースプロジェクトと、交換したエンバイロメントを使うデスティネーションプロジェクトが存在します。

デスティネーションのエンバイロメントはメモリ内に置き、アクティブな状態にする(いずれかのウインドウがアクティブである)必要があります。ソースプロジェクトは、メモリに置くことも、ハードディスク(またはそのほかのメディア)上のファイルとして使用することも可能です。

単一用途のエンバイロメントを読み込む

単一用途のエンバイロメントのパッチには、特定の MIDI 機能用のエディタや、単一の MIDI 処理タスク(たとえば MIDI LFO)用のエンバイロメント、アルペジエータ/ディレイラインの複合設定などがあります。

単一レイヤーに含まれるエンバイロメントのパッチを読み込むには
  1. 「オプション」>「エンバイロメントを読み込む」>「レイヤー」と選択します。

  2. 表示されたダイアログでレイヤーを選択します。

このレイヤー(レイヤー上のすべてのオブジェクトを含む)がデスティネーションプロジェクトに挿入されます。挿入場所は、ソースプロジェクト上と同じレイヤー位置(レイヤーポップアップメニューの同じ場所)となります。既存のレイヤーは、必要に応じて移動します。

また、ドラッグ操作やコピー&ペーストにより、エンバイロメントオブジェクト(ケーブル接続を含む)の選択部分を別のプロジェクトに移動することも可能です。この操作は、最初にオブジェクトを組み合わせてマクロを作成することで、さらに簡易化できます。

「エンバイロメント」ウインドウの複数のレイヤーからエンバイロメントのパッチを読み込むには
  • 「オプション」>「エンバイロメントを読み込む」>「結合」と選択します。

ソースプロジェクトのすべてのエンバイロメントオブジェクトが、デスティネーションのエンバイロメントに追加されます。

結合されたオブジェクトはソースと同じレイヤーに置かれます。デスティネーションプロジェクト内でそのレイヤーにすでにオブジェクトがある場合には、乱雑に見える可能性があります。

この問題を避けるには、(デスティネーションプロジェクトで)ソースと同じ位置に空のレイヤーを作成してから、読み込みを行います。

いずれの場合も、フィジカルインプットオブジェクトやシーケンサーインプットオブジェクトなど、エンバイロメント固有のオブジェクトの扱いには注意が必要です。これらのオブジェクトを読み込むと、デスティネーションのエンバイロメントでこれに相当するオブジェクトが置き換えられて、接続されたケーブルはすべて失われます

このような場合は、ソースのエンバイロメントからこれらを一時的に削除してから読み込みを行うのが最善の方法です。

さらに、読み込んだオブジェクトから接続されているオブジェクトもすべて読み込まれるので注意が必要です。

古いエンバイロメントをアップデートする

オブジェクトを追加しただけのエンバイロメントで、削除操作を行っていない場合は、「オプション」>「エンバイロメントを読み込む」>「アップデート」と選択することにより、以前のプロジェクトをアップデートすることができます。

新しいオブジェクトのみが読み込まれ、以前のオブジェクト(およびケーブル接続とトラックの割り当て)はそのまま残されます。

エンバイロメントを入れ替える

ある MIDI 設定のエンバイロメントを別の MIDI 設定のものに入れ替えるという複雑な状況の場合、「Logic Pro」には 3 通りの方法が用意されています:

  • ポート/MIDI チャンネルによる置き換え: デスティネーションプロジェクトのすべてのオブジェクトが、ソースプロジェクトで同じポート/MIDI チャンネルを持つオブジェクトに置き換えられます。
  • 名前による置き換え: デスティネーションプロジェクトのすべてのオブジェクトが、ソースプロジェクトで同じ名前を持つオブジェクトに置き換えられます。必要に応じてソースプロジェクトのオブジェクト名を変更することで、ユーザによる多少の調整が可能です。
  • 完全な置き換え: デスティネーションプロジェクトのエンバイロメントが、ソースプロジェクトのエンバイロメントに完全に置き換えられます。「アレンジ」ウインドウのトラックをオブジェクトに割り当て直すなど多くの作業が必要になりますが、状況によってはこの方法しか選択肢がないことがあります。

メモ: このように複雑な場合、「Logic Pro」は予測を基に処理を行うので、ほとんどの場合、ユーザは後で手動調整する必要があります。

割り当てによってエンバイロメントを置き換える

エンバイロメントの交換で最も柔軟な(ただし時間のかかる)方法は、各エンバイロメントオブジェクトを残すか、削除するか、置き換えるかを手作業で選択する方法です。オブジェクトの置き換えを選択した場合は、置き換えるオブジェクトの定義も必要になります。この方法は、「オプション」>「エンバイロメントを読み込む」>「カスタム」から実行します。

カスタム読み込みを選択すると、デスティネーションのエンバイロメントの全オブジェクトのリストを示した「エンバイロメント」ウインドウが左の列に表示され、各オブジェクトについて選択した操作が右の列に表示されます。

置き換えの指定は、右側のリストの項目をクリックして、ポップアップメニューから置換オブジェクトを選択することにより、1 つずつ行うことができます。このポップアップメニューには、ソースプロジェクトのトラックリストのすべてのオブジェクトが含まれています。

このほかにも、リストから複数の行を選択して、「読み込む」メニューの項目を選択することも可能です。オブジェクトを残す/削除する操作に加え、このメニューからは、以下で説明するような自動選択による方法をいくつか利用できます。

「読み込む」メニューの最初のオプションに「現在の割り当てを使用してエンバイロメントを読み込む」があります。これを選択しないと、読み込みを行うことはできません。(右の列のポップアップメニューを含む)そのほかの選択項目は、オブジェクトの読み込み方法を指定します。

読み込みのオプション

「読み込む」メニューの最後の 2 つの項目は、読み込み処理の追加のオプションです:

  • 「読み込む」>「レイヤー名をコピー」: ソース(第 2 の)エンバイロメントのレイヤーの名前が現在のレイヤーに使用されます。
  • 「読み込む」>「選択したオブジェクトを 2 番目のエンバイロメントからコピー」: ソースのエンバイロメントで選択されたすべてのオブジェクトが、割り当てリストに表示されないものも含め、デスティネーションのエンバイロメントにコピーされます。

自動割り当て機能

以下に挙げる割り当て機能は、読み込みリストで選択されたすべての行にただちに適用されます。割り当ては右の列に表示され、すべての行の選択が解除されます。

  • 「読み込む」>「“保持”に割り当てる」: 指定したオブジェクトに変更は加えられません。
  • 「読み込む」>「“削除”に割り当てる」: 指定したオブジェクトが削除されます。
  • 「読み込む」>「同一のオブジェクトで割り当てる」: 指定したオブジェクトは、ソースプロジェクトの同じタイプ/アイコン/名前/ポート/MIDI チャンネルのオブジェクトに割り当てられます。同じ固有 ID のオブジェクトが優先されます。

「Logic Pro」では、すべてのエンバイロメントオブジェクトの内部リストが維持されます。リスト内のオブジェクト位置を基に固有の ID が決められ、オブジェクトが削除されない限りは、固有 ID が変わることはありません。

削除されたオブジェクトの位置は、リスト内で新しいオブジェクトで使用できるようになります。

エンバイロメントに追加されたオブジェクトは、リスト上の最初の空いている場所に置かれます。(空いている場所がない場合は、リストの最後に追加されます。)

  • 「読み込む」>「独自の ID で割り当てる」: オブジェクトは、ソースプロジェクト内の同じ固有 ID のオブジェクトに割り当てられます。オブジェクトを追加しただけでエンバイロメントをアップデートする場合に便利なオプションです。
  • 「読み込む」>「ポート/MIDI チャンネルで割り当てる」: オブジェクトは、ポート/MIDI チャンネルが同じオブジェクトに置き換えられます。一致しない場合は、ポート 0/同じ MIDI チャンネルに設定されたオブジェクトが割り当てられます。それでも一致しない場合は、同じ MIDI チャンネルを持つオブジェクトが割り当てられます。
  • 「読み込む」>「名前で割り当てる」: オブジェクトは、名前が最も似ているオブジェクトに置き換えられます。(名前の 80 % 以上が一致している必要があります。)
  • 「読み込む」>「アイコン/名前で割り当てる」: 上記と同じです。ただし、アイコンの一致も条件になります。