ほかの MIDI エディタと同様、Hyper Editor もイベント入力に使うことができます。場合によっては、ノートイベントやコントローライベントを手入力した方が演奏して録音するよりも効率的なことがあります。たとえば、テンポが 160 bpm の場合に 16 分音符のハイハットをリージョンで作成するケースで、これを演奏するのは難しいでしょう。
もちろん MIDI キーボードでイベントを記録してから Hyper Editor で仕上げることも可能です。
インスペクタのイベント定義パラメータボックスにある「グリッド」パラメータは、Hyper Editor でイベントを作成する際に重要です。新しく作成したイベントは、グリッド位置に自動的に追加されます。これにより、たとえばあるレーン上に 4 分刻み、別のレーン上に 8 分刻み、さらに別のレーンに 16 分刻みというドラムパターンを作成し、キック、スネア、およびハイハットのサウンドに割り当てることも簡単です。
イベント定義パラメータボックスの「グリッド」ポップアップメニューから、グリッドのタイプを選択します。
イベントを追加すると、一番近いグリッド位置に自動的にスナップします。既存イベントの位置には影響はありません。
ヒント: 複雑なリズムパターンを編集したり組み立てたりしている場合、1 つのドラムノートに対して複数のイベント定義を作成し(イベント定義を選択する/作成するを参照)、それぞれに異なるクオンタイズグリッドを割り当てておくと便利です。たとえば、スネアドラムに 2 つのレーンがあり、一方は 1/16 グリッド、もう一方は 1/96 グリッドにすると、大まかな 1/16 グリッドには個々のヒットを、細かい 1/96 グリッドにはドラムロールを鉛筆ツールで追加できます。
「グリッド」パラメータを指定して連続するコントローラを追加する場合、「可能な限り大まかに、必要なだけ細かく」という方針で行くと、データ出力を最小限に抑えられます。「Logic Pro」では非常に大量のデータを扱うことができますが、残念ながら MIDI については多少の制限があります。
イベントの作成と編集を簡単にするために、イベントの縦棒の幅とスタイルを変更することもできます。
イベント定義パラメータボックスで、「ペン幅」の値を選択します。
どの幅でも、イベントの位置は縦棒の左端に合わせられます。
「ペン幅」パラメータを「ノートの長さ」に設定した場合、ノートイベントの縦棒は実際の長さで表示されます。この設定を使うには、「状況」パラメータを「ノート」に設定する必要があります。
「スタイル」メニューで設定を選択します。
Hyper Editor では、独自の方法で MIDI イベントを作成(および編集)できます。
鉛筆ツールを選択します。
追加先のイベント定義レーンで、目的の時間位置をクリックします。
上下にドラッグしてイベント値を変更し、マウスボタンを放します。
鉛筆ツールを選択し、追加先のイベント定義レーンで、目的の時間位置を横方向にドラッグします。
レーン内の鉛筆ツールの(縦または横)の動きに従い、新しいイベントがフリーハンドのカーブで表示されます。
描線ツールを選択します。
追加先のイベント定義レーンで、目的の位置をクリックします。
ヘルプタグが現れ、正確な位置の値およびイベント値が一番上の行に表示されます。
目的の終了位置まで(右または左に)マウスを動かします。
動きに合わせて描線ツールのポインタが軌跡を描き、ヘルプタグに正確な位置の値およびイベント値が表示されます。
目的の終了位置でクリックすると、イベントを示す複数の縦棒がラインに沿って作成されます。
ライン開始位置および終了位置の間で、新しいイベントが各グリッド位置に(「グリッド」パラメータに基づいて)作成されます。
描線ツールを選択します。
追加先のイベント定義レーンで、目的の位置をクリックします。
ヘルプタグが現れ、正確な位置の値およびイベント値が一番上の行に表示されます。
目的の終了位置まで(右または左に)マウスを動かします。
動きに合わせて描線ツールのポインタが軌跡を描き、ヘルプタグに正確な位置の値およびイベント値が表示されます。
Shift キーを押しながら終了位置をクリックします。
これにより、元のラインの終了位置から別のラインがドローされます。
描線ツールを選択します。
追加先のイベント定義レーンで、目的の位置をクリックします。
ヘルプタグが現れ、正確な位置の値およびイベント値が一番上の行に表示されます。
目的の終了位置まで(右または左に)マウスを動かします。
動きに合わせて描線ツールのポインタが軌跡を描き、ヘルプタグに正確な位置の値およびイベント値が表示されます。
Option キーを押しながら終了位置をクリックします。
ライン開始位置および終了位置間の領域にある既存イベントの値は、ラインに沿って整列します(たとえばクレッシェンドの作成)。新しいイベントが(空きのある)各グリッド値に作成されます。
イベントの作成時に、固定された値を割り当てることもできます。インスペクタで「値を固定」チェックボックスを選択すると、ポインタツールや鉛筆ツールでイベント値を変更できないようになります。
この機能は、鉛筆ツールでイベントを追加する場合に便利です。鉛筆ツールでは、前回選択したイベントの値がすべてのイベントに割り当てられます。この機能を使えば、16 分音符を連打するハイハットなど、同じ値のイベントを連続して描くことができます。
インスペクタで、「値を固定」チェックボックスを選択します。
既存のイベントを鉛筆ツールでクリックすると、その値をプリセットとして使用できるようになります。
固定値モードでは、イベントをクリックしてもイベント値を変更できません。
メモ: 固定値モードで描線ツールを使ってイベントを追加する場合、プリセット値が常にラインの開始値として使われます。
「長さ」パラメータを使うと、ディビジョン(左の数字)とティック(右の数字)単位で、追加するイベントの長さを変更できます(基本的にノートイベントに使います)。ティック値は小さすぎるので、使用しない方がよいでしょう。ノートオン/ノートオフのメッセージが短時間に続けて送信されると、MIDI デバイスの多くは対応できないので、ノートがまったく聞こえないことがあります。
通常の選択方法(さまざまな選択の仕方を参照)はいずれも利用できますが、以下の違いがあります:
Shift キーを押しながら、イベントをクリックします。
Shift キーを押しながら、イベントをドラッグして選択します。
イベントをクリックしないよう注意してください。ポインタツールでシンプルにクリックしてドラッグする場合、選択したイベントの値が変わるため、Shift キーは必ず押したままにします。
イベント定義の名前をクリックします。
Shift キーを押しながら、選択するイベント定義名をクリックします。
イベントは、消しゴムツールでクリックすることで個別に削除できます。以下では複数のイベントの削除について説明しています。
消しゴムツールを使ってイベント上でドラッグします。
削除したいイベントを選択し、Delete キーを押します。
削除するノートのいずれかを選択します。
「編集」>「似たイベントを選択」または「編集」>「同じイベントを選択」(たとえば同じピッチのノート)と選択し、Delete キーを押して、選択したイベントを削除します。
類似および同一のイベントの詳細については、類似または同一のオブジェクト、リージョン、イベントを選択するを参照してください。
Hyper Editor のローカルメニューバーから MIDI イベント削除コマンドのいずれかを選択してもイベントを削除できます。詳細については、ピアノロールエディタでノートを削除するを参照してください。
曲作りでは、イベントを誤って削除してしまったり、アイデアを変更したり、間違いを修正したりすることが必ず起こります。「Logic Pro」では、編集操作を簡単に元に戻すことができます。鉛筆ツールで単純にイベントを再作成するという方法もあります。
間違った操作をしたら、ほかの操作をする前に、メインメニューで、「編集」>「取り消す」と選択します(または、対応するキーコマンドを使います。デフォルトの割り当てはコマンド+ Z キーです)。
「編集」>「取り消し履歴」と選択します。
「取り消し履歴」ウインドウが開きます。最後の編集操作(リストの一番下)が強調表示されています。
エントリーをクリックすると、そのエントリーと強調表示されているエントリーの間にあるすべてのステップを取り消しまたはやり直しできます。
処理中は、すべてのステップが画面上で再現されます。
重要: 取り消しの操作を行っていないときは、やり直しのリストは表示されません。
やり直しのリストは、取り消し項目の下に表示されます。最初のやり直し対象となる項目は、グレイのテキストで表示されています。
コマンドキーを押しながらステップをクリックします。
警告のダイアログが表示されます。
「適用」をクリックすると、ステップの取り消しまたはやり直しが実行されます。「キャンセル」をクリックすると、ステップが中止されます。
この方法の場合、クリックしたエントリーと強調表示されている(最新)エントリーとの間にあるステップに影響することなく、単独のステップだけを取り消しまたはやり直しできます。
イベントは、個別に変更することもグループ単位で変更することもできます。グループ単位で変更する場合、各イベントの間の値の差は維持されます。
イベントの縦棒を(ポインタツールまたは鉛筆ツールで)つかみ、縦方向にドラッグします。
ドラッグに合わせて現在の値がヘルプタグに表示されます。
ポインタツールを使い、複数のイベントにまたがる形でドラッグします。
イベント上でのドラッグに合わせて現在の値がヘルプタグに表示されます。
いずれかの選択方法を使って、編集するイベントをすべて選択します。
グループ化して強調表示された縦棒のいずれかをクリックしてつかみ、縦方向にドラッグします。
すべてのイベントの値が調整されます。グループ内の縦棒のいずれかが最大値または最小値に達している場合、それ以上その方向へは移動できません。
Option キーを押しながら操作すると、つかんだイベントの縦棒が最大値または最小値に達するまで、グループ内の全イベントの値を上げたり下げたりできます。
イベントは、同一または別のレーン上の別の位置に移動またはコピーできます。レーン間で移動またはコピーすると、イベント値は保持されますが、移動先またはコピー先のイベント定義に変換されます。たとえば、複数のイベントを「音量」レーンから「パン」レーンに移動すると、音量の値がパン位置の変更に使用されます。
Shift キーを押しながら、新しいレーンと位置までドラッグします。
操作中、ヘルプタグに、位置、イベント定義のタイプ、および値(該当する場合)が表示されます。
Option キーを押しながら、新しいレーンと位置までドラッグします。
操作中、ヘルプタグに、位置、イベント定義のタイプ、および値(該当する場合)が表示されます。
1 つまたは複数のイベントを移動するには、以下のキーコマンドを割り当てて使うと、編集作業が効率的になります:
リージョン/イベントの位置を SMPTE フレーム単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置を SMPTE フレーム単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置を 1/2 SMPTE フレーム右にナッジ
リージョン/イベントの位置を 1/2 SMPTE フレーム左にナッジ
リージョン/イベントの位置を 5 SMPTE フレーム右にナッジ
リージョン/イベントの位置を 5 SMPTE フレーム左にナッジ
リージョン/イベントの位置を SMPTE ビット単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置を SMPTE ビット単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置をティック単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置をティック単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置をディビジョン単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置をディビジョン単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置をビート単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置をビート単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置を小節単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置を小節単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置をナッジ値で右にナッジ
リージョン/イベントの位置をナッジ値で左にナッジ
リージョン/イベントの位置をサンプル単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置をサンプル単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置を 1 ミリ秒単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置を 1 ミリ秒単位で左にナッジ
リージョン/イベントの位置を 10 ミリ秒単位で右にナッジ
リージョン/イベントの位置を 10 ミリ秒単位で左にナッジ
コマンド名に示されている単位に従って、選択したイベントが 1 段階右(+1)または左(-1)にシフトします。
クリップボード経由でイベントをコピーおよび移動することも可能です:
「編集」>「コピー」(またはコマンド+ C キー)で、クリップボードにイベントをコピーします。
「編集」>「カット」(またはコマンド+ X キー)で、イベントをクリップボードに移動します。
「編集」>「ペースト」(またはコマンド+ V キー)で、元のピッチを保ちながら、現在の再生ヘッド位置にイベントをペーストします。
Hyper Editor では、コピーおよび移動の詳細オプションも実行できます。これを利用すると、たとえばイベントを直接置き換えたり、あるリージョンのセクションのイベントグループを同一リージョン内で統合または異なるリージョンと統合したりできます。詳細については、ノートのコピーおよび移動に関する詳細オプションを参照してください。
特定のイベントが移動しないよう保護しておきたい場合があります。たとえば、複数のノートイベントを利用し、ビデオサウンドトラックで俳優が廊下を歩く映像に合わせて足音のサンプルがトリガされるようにしたとします。このシーンの音楽はすでに完成していましたが、複数のカメラアングルのカットに合わせてテンポを上げるよう依頼されたとします。当然、プロジェクトのテンポを変えるとイベントも動いてしまい、足音のサンプルがずれる結果となります。このような場合に備え、「Logic Pro」には、イベントの絶対時間位置を保持する機能があります。
「機能」>「SMPTE 位置をロック」と選択します(または対応するキーコマンドを使います)。これにより、テンポを変更しても、特定の絶対時間位置(1 時間 3 分 15 秒 12 フレームなど)にあるイベントはその位置にとどまります。
「機能」>「SMPTE 位置のロックを解除」と選択します(または対応するキーコマンドを使います)。