グルーブテンプレートを操作する

ほかのオーディオまたは MIDI リージョンのリズムを基にしてクオンタイズグリッドを作成することができます。このクオンタイズグリッドを「グルーブテンプレート」と呼びます。グルーブテンプレートを使えば、あるオーディオまたは MIDI リージョンに独特のグルーブ感を与えているわずかなタイミングのずれを記録して、ほかのオーディオまたは MIDI リージョンに適用することができます。

オーディオリージョンのグルーブ感を記録して MIDI リージョンに適用することもできます(オーディオから MIDI グルーブテンプレートを作成するを参照してください)。この機能を使うと、たとえば、MIDI のクラビネットパートをファンクギターの Apple Loop と合わせることができます。

グルーブテンプレートを作成するには
  1. グルーブテンプレートの基になるオーディオまたは MIDI リージョンを選択します。(複数のリージョンを選択してグルーブテンプレートを作成することもできます。この場合、これらのリージョンすべてのトランジェントまたはノートが新しいグルーブテンプレートに使われます。ただし、音楽的に同じ位置付近に複数のトランジェントまたは MIDI ノートがある場合は、最初のものだけがグルーブテンプレート用に評価されます。)

    Figure. Arrange area showing audio region selected.

    ヒント: この機能では、2 小節の MIDI リージョンがモデルとして特に適していますが、どのような長さの MIDI リージョンでも構いません。元の MIDI リージョンに、目的のクオンタイズ値のノートがそれぞれ含まれていることを確認してください。

  2. ピアノロールエディタまたはイベントリストで「クオンタイズ」ポップアップメニューを開き、クオンタイズ値を選択します。

  3. 「クオンタイズ」ポップアップメニューをもう一度開き、「グルーブテンプレートを作成」を選択します(または、対応するキーコマンドを使います)。

    Figure. Quantize pop-up menu showing the Make Groove Template command selected.

「クオンタイズ」ポップアップメニューの下部にグルーブテンプレートが表示されます。デフォルトの名前は、選択したリージョンの名前になります。また、グルーブテンプレートには、その作成元のリージョンの「クオンタイズ」パラメータが設定されます。

Figure. Quantize pop-up menu showing the default groove template name selected.

この機能では、選択したオーディオ内のトランジェントマーカーまたは MIDI リージョン内のノートの正確なタイミングが、「クオンタイズ」ポップアップメニューの値と同じようにアクセスして使用できるグルーブテンプレートに変換されます。

重要: グルーブテンプレートを使用するには、その作成に使用したソースオーディオまたは MIDI リージョンをプロジェクト内に残しておく必要があります。ソースリージョンをプロジェクトから削除すると、「クオンタイズ」ポップアップメニューにそのグルーブテンプレートの名前は残りますが、クオンタイズ値は使用できなくなります。「クオンタイズ」ポップアップメニューからそのグルーブテンプレートの名前を選択しても、何も操作は行われません。

「クオンタイズ」ポップアップメニューからグルーブテンプレートのエントリーを削除するには
  1. インスペクタで、いずれかのリージョンのリージョンパラメータボックスの「クオンタイズ」ポップアップメニューを開き、グループテンプレートを選択します。

  2. 「クオンタイズ」ポップアップメニューをもう一度開き、「グルーブテンプレートをリストから削除」を選択します(または、対応するキーコマンドを使います)。

    選択したグルーブテンプレートのソースリージョンがクオンタイズテンプレートのリストから削除されて、「クオンタイズ」ポップアップメニューから取り除かれます。ただし、MIDI リージョンは削除されません。

    選択したリージョン(およびそのグルーブテンプレートを使っていたほかのリージョン)の実際のクオンタイズは変更されずに、選択したグルーブテンプレートが削除されて、リージョンのクオンタイズ値は「(空)」に設定されます。

プロジェクト間でグルーブテンプレートを使う

さまざまなクオンタイズテンプレートを作成して、複数のプロジェクトで使用できるように保存できます。

グルーブテンプレートを複数のプロジェクトで使用するには
  1. 1 つのプロジェクトで、必要なソースリージョンをコピーまたは作成します。

  2. テキストツールを使って、これらのリージョンに名前を付けます。

  3. 各ソースリージョンについて、「クオンタイズ」ポップアップメニューを開き、「グルーブテンプレートを作成」を選択します(または、対応するキーコマンドを使います)。

  4. これらのリージョンを 1 つのフォルダに入れます(フォルダ名は、「グルーブ」などに変更します)。

  5. 「ファイル」>「テンプレートとして保存」と選択します。

これらのクオンタイズテンプレートを使用したい場合は、プロジェクトの開始時にこのテンプレートを使用します。

グルーブテンプレートを読み込む

WC Music Research 社の「DNA Groove Templates」など、他社製のグルーブテンプレートを読み込むこともできます。

他社製のグルーブテンプレートを読み込むには
  1. 「ファイル」>「読み込む」と選択します(または、対応するキーコマンドを使います。デフォルトの割り当てはコマンド+ I キーです)。

  2. 「ファイルを開く」ポップアップメニューから「DNA グルーブ・テンプレート・ファイル」を選択し、読み込むファイルを選択して、「読み込む」をクリックします。

    アレンジ領域で選択されていたトラックに、グルーブテンプレートが MIDI リージョンとして追加されます。

  3. これらのグルーブテンプレートを「クオンタイズ」ポップアップメニューに追加するには、グルーブテンプレートを選択し、リージョンパラメータボックスの「クオンタイズ」ポップアップメニューから「グルーブテンプレートを作成」を選択します。

メモ: クオンタイズテンプレートがプロジェクトと共に保存されます。このテンプレートは、対応する DNA グルーブテンプレートがハードディスクにないほかのコンピュータでプロジェクトを再生する場合にも利用できます。

オーディオから MIDI グルーブテンプレートを作成する

デジタルオーディオ素材から MIDI グルーブテンプレートを作成することができます。この機能を利用すると、ドラムループまたはリズムサンプル(Apple Loops など)からグルーブを抽出し、そのグルーブテンプレートを使用して MIDI リージョンをクオンタイズすることができます。

メモ: サンプルエディタで、「編集」>「編集内容をゼロクロッシングにスナップ」設定が無効になっていることを確認してください。

1 小節のドラムループから MIDI グルーブテンプレートを抽出するには
  1. ドラムループのオーディオリージョンをアレンジ領域に追加します(事前録音済みメディアを追加するを参照してください)。

  2. リージョンをダブルクリックしてサンプルエディタを開くか、「アレンジ」ウインドウの下にある「サンプルエディタ」タブを選択します。

  3. 「ファクトリー」>「オーディオから MIDI グルーブテンプレートに」と選択します(または、対応するキーコマンドを使います。デフォルトの割り当ては Control + M キーです)。

  4. 「オーディオから MIDI グルーブテンプレート」タブで、必要な設定を選択します:

    Figure. Audio to MIDI Groove Template.
    • 「プリセット」ポップアップメニュー: 特定のタイプのオーディオ素材に適した、「オーディオから MIDI グルーブテンプレート」のパラメータのプリセットが用意されています。まず、このプリセットを使って処理することから始めてください。
    • グラニュレーション(ミリ秒): オーディオ素材の中で音量の大きい部分の時間範囲を指定します。「Logic Pro」 では、これらのピーク信号(またはトランジェント)に基づいて、グルーブテンプレートのベロシティポイントの情報が決まります。オーディオ素材のテンポにもよりますが、通常は 50 〜 200 ミリ秒程度に設定します。
    • アタックレンジ(ミリ秒): オーディオ素材の音のアタック部分をどの位の長さにするかを指定します。たとえば、ドラムなど打楽器ではアタック時間は短かめ(20 ミリ秒未満)になり、弦楽器では長めになります。ほとんどの楽器は 5 〜 40 ミリ秒の範囲で、20 ミリ秒の前後が最も適した値です。
    • スムースリリース(%): リリーステイルやリバーブテイルが長い音を含むオーディオ素材を処理するためのパラメータです。このパラメータを使用すると、サウンドをクオンタイズポイントに合わせやすくなります。通常は 0 %〜 5 %の範囲で設定しますが、サスティンとディストーションが利いたギターなどの場合は、もう少し大きめにしてもよいでしょう。
    • ベロシティのしきい値: しきい値を設定します。この値以下の信号はすべて無視されます。ほとんどの場合は 1 で十分ですが、密度が濃く、大きな音の背後にぼんやりとした雑音が混ざっているような場合は、値を変えてみるとよいでしょう。
    • 「基準クオンタイズ」ポップアップメニュー: トリガポイントのない位置に人為的なトリガポイントを追加できます。この方法で作成したグルーブテンプレートは、オーディオ素材のクオンタイズポイントを増やす場合に適しています。このパラメータの設定内容は、オーディオ素材のトリガポイントの自動認識には影響しません。
    • タイミング補正: MIDI ノートによって外部サンプラーやシンセサイザーをトリガする場合に生じる遅延を補正できます。こうした遅延ははっきり目立つことがあります。特に、オーディオから作成した MIDI グルーブテンプレートを使ってクオンタイズした MIDI リージョンを外部デバイスで再生するときに、元のオーディオ素材を同時に再生する場合、遅延が顕著に分かります。このような場合、-20 〜 0 ミリ秒程度の値を指定して、この遅延を補正します。

      「オーディオから MIDI グルーブテンプレート」タブを開いているときは、サンプルエディタの下部に、「オーディオ」、「クオンタイズ」、「結果」の 3 つのフィールドが表示されます。

      Figure. Sample Editor showing Audio, Quantize, and Result fields.
    • オーディオ: オーディオファイル内にあるクオンタイズポイントを表示します。
    • クオンタイズ: 「基準クオンタイズ」ポップアップメニューで選択したクオンタイズポイントを表示します。
    • 結果: 作成したグルーブテンプレート内でのクオンタイズ位置を表示します。この位置は上記の値を組み合わせて算出されます。
  5. オーディオの中でテンプレートに変換しないトリガポイントがある場合は、それをクリックします。

    手動で選択した(使用されていない)ポイントは淡色表示されます。

  6. 「オーディオから MIDI グルーブテンプレート」タブの「試す」ボタンをクリックして、選択したすべての MIDI リージョンに新しいグルーブテンプレートを適用します。

  7. 適用結果を試聴します。

  8. パラメータを調整して、気に入ったグルーブが出たら、「使用」をクリックします。

    これで新しいグルーブテンプレートが保存され、「クオンタイズ」ポップアップメニューの下部に追加されます。クオンタイズテンプレートには、オーディオファイルの名前が付けられます。