Sculpture のチュートリアル:基本サウンドを作成する

このセクションでは、オルガン、ベース、ギターなどといった基本的なタイプのサウンドの作成方法を取り上げます。Sculpture で特定のタイプのサウンドを作成する上で役に立つ、プログラミングのガイドライン、ヒント、コツ、各種情報を紹介します。具体的なサウンドのプログラミング方法について詳しくは、Sculpture の高度なチュートリアル:エレクトリックベースをプログラミングするおよびSculpture の高度なチュートリアル:合成サウンドをプログラミングするを参照してください。

このセクションの目的は、自力で試してみる際の土台となる情報を提供すると共に、Sculpture で音作りをするためのさまざまなアプローチを紹介することにあります。

Sculpture とコンポーネントモデリングについて習熟するにつれて、最終的な結果を得るためには数多くの方法があることが分かるはずです。つまり、サウンドの個々のコンポーネントは、さまざまなテクニックやパラメータを使ってモデリングできるのです。

このような柔軟性に富んだアプローチによって、金管楽器のようなサウンドを複数の方法で作成できるようになっています。たとえば、あるサウンドでは Waveshaper を中心的な音作りの要素として使用し、別のサウンドではフィルタと Body EQ を使用して同じ音響コンポーネントをエミュレートすることができます。

エミュレートしようとしている楽器の物理特性をよく理解していれば、作業をするのに役立ちます。この種の専門知識を得るためにインターネットで調査する方法もありますが、Sculpture での通常の音作りに関して言えば、以下に説明するような一般的なアプローチに従うことができます。

楽器のサウンドはどのように作成されるのか?
  • 弦が振動し箱の中で共鳴しているのか(ギターやバイオリン)?

  • 管の中で気柱が振動しているのか(フルートやトランペット)?

  • 中空ではない固体を叩いて振動を発生させているのか(ウッドブロック)?

  • 中空のオブジェクトを叩いて振動と共鳴を発生させているのか(ドラム、ベル)?

楽器は何で作られているのか?

この質問に答える場合には、楽器のボディは考慮しないでください。ここで考慮する必要があるのは弦の素材です(ギターならナイロンなのかスチールなのか、クラリネットやオーボエならリードの厚さと素材、トランペットならミュートの厚さと素材)。

楽器はポリフォニックなのかモノフォニックなのか?

これは重要な要素で、楽器の演奏方法に関する次の質問とも関連します。モノフォニックとポリフォニックの楽器には、明らかに異なる点があります。たとえばフルートでコードを鳴らすことは不可能です。微妙な違いとしては、モデリングされた弦が現在有効な弦と相互に影響を及ぼし合う点があります。当然ながら、フルートではこうした現象は発生しません。フルートは完全な単音楽器だからです。

楽器はどのように演奏されるか?

弓で弾くのか、吹くのか、叩くのか、はじくのか?

楽器のサウンドを作り出すその他の要素はあるか?
  • 金管楽器および吹奏楽器の場合の唇の押しつけ具合や口の位置の変化。

  • 息または機械的なノイズ。

  • フレットボードを指で押さえたり、弦をはじいたりしたときなどに生じる一時的なピッチの変化。

  • 金管楽器の演奏者が息切れしたり弁を開閉させたりしているときなどのトーンやレベルの一時的な変化

こうした特性のリストを頭の中や紙の上で作成したら、サウンドの特性を左右する各コンポーネントをエミュレートしてみましょう。これがまさにコンポーネントモデリングなのです。

説明の前に、下記に示す実例は単なる例にすぎないことを強調しておきます。サウンドの個々のコンポーネントをモデル化するには多くの方法があります。

  • 独自のサウンドを作成する上で推奨されるパラメータを試してみてください。用意された値が理想的なベースサウンドに合わない場合は、パラメータ値を自由に変更して試してみます。

  • 特にキースケールパラメータに関しては、ほんのわずかに変更するだけで抑制のきいたサウンドになります。以下の例にならってじっくりと試してみください。

  • 自分のサウンドを作る土台として、または研究の対象として、ほかのユーザ設定や工場出荷時設定を利用してみましょう。既存の設定を詳しく調べることで、そのサウンドがどのように作成されたのかを把握できるからです。さまざまなパラメータを有効または無効にして、それぞれどのような効果があるのかを確認してください。

楽しみながら大胆に。壊れることはないのですから!

Sculpture でベースサウンドを作成する

Sculpture でベースサウンドを作るのはとても簡単です。

ベースサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. インターフェイスの上部にある「Transpose」ポップアップメニューを開いて「+1 Oct」パラメータを選択し、C2 付近のノートをいくつか弾きます。アコースティックベースの大まかな音色がもうでき上がっていることに気付くはずです。

  3. ここで「Material」パッドのボールを「Nylon」コーナー方向にドラッグしてみたくなりますが、そうする前に Object 1 の「Type」ポップアップメニューを開いて「Pick」を選択しておいてください。

  4. ボール位置を調整しながら、キーボードを弾きます。

  5. 今度は Object 1 の「Strength」、「Variation」、「Timbre」、「VeloSens」パラメータに注目しましょう。各パラメータを順番に調整して音色の変化を確かめてみてください。

  6. 振幅エンベロープのリリースパラメータを調整してみるのもよいでしょう。リリースパラメータは、丸い「Material」パッドの右側にあるセクションの垂直な「R」スライダです。

  7. よりウッドベースのような響きにしたい場合は、Object 1 のピックアップ位置を右方向に調整します(インターフェイスの左側にあるピックアップセクションの「1」スライダをドラッグします)。極端な位置(左端または右端)にすると、ベースの最低音部が抜けた音になります。実際に試してみてください!

  8. 次に、水平のスライダをドラッグして「Pickup A」および「Pickup B」の位置を調整します。お分かりのように、アコースティックベースやエレクトリックベースをピチカート奏法で演奏したサウンドに簡単に作り変えることができます。

  9. 短時間でハイブリッド(またはフルオン)のシンセサイザーベースを作るには、「WaveShaper」ボタン(丸い「Material」パッドの真上)をクリックし、その上の「Type」ポップアップメニューを開き、いずれかのタイプを選択します。

  10. 設定メニューの「設定を別名で保存」を使用して、新しい名前を付けて設定を保存しておきましょう。ものの数分のうちに新しいサウンドがいくつもできるはずです。これらのサウンドはそれぞれそのまま使っても、その後に作成するベースサウンドのテンプレートとして使ってもよいでしょう。

Sculpture でベルサウンドを作成する

基本的なレベルであれば、ベルのようなサウンドは Sculpture で簡単に作り出すことができます。本当に面白いベルを作成するにはもう少し手間をかける必要がありますが、高調波成分の度合とディケイ/リリースフェーズでのデチューン調整によってまったく異なるサウンドに仕上がります。

ベルサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. Object 1 の「Type」ポップアップメニューを開き、「Strike」を選択します。

  3. 「Material」パッドのボールをパッドの下端までドラッグし、「Steel」と「Glass」のほぼ中間に合わせます。いくつか音を弾いてみれば、すでにベルと似たようなサウンドになっていることが分かるでしょう。

  4. 次に、「Media Loss」スライダをほぼ完全に下までドラッグします。この状態で再度いくつか音を弾くと、サウンドのリリースフェーズがかなり長くなっていることに気付くはずです。

  5. 「Resolution」スライダを右端までドラッグします。

  6. 「Pickup A」スライダを半分近くまで(0.48)ドラッグします。

  7. Object 1 のピックアップ位置を値 0.10 までドラッグします。これできれいなベルができるはずです。ノートをいくつか弾いてみてください。

  8. 右上のセクションにある「Delay」ボタンをクリックし、ディレイユニットを有効にします。

  9. 「Delay」セクションの下部にある「sync」ボタンをクリックし、「Delay Time」スライダを 20 ms までドラッグします。

  10. 「Wet Level」ノブを 66 %まで上げます。

  11. 右下にある「Body EQ」ボタンをクリックして有効にします。「Model」ポップアップメニューで「Lo Mid Hi」が選択されていることを確認します。

  12. 「Low」ノブを 0.55 に、「Mid」ノブを 0.32 に、「Hi」ノブを 0.20 に調整します。

  13. これで実用的なベルのサウンドができ上がりました。しかし、特に C3 よりも下の音域でチューニングに問題があることに気付くはずです。ここでこうしたプログラミングアプローチを使用したのは、ほかのすべてのパラメータを設定し終わった時点で、サウンドの高調波の問題が顕著に分かるようになるからです。チューニング問題の解決策は、主として「Inner Loss」および「Stiffness」キースケールパラメータの調整にあります。これらを調整するには、まず「Keyscale」ボタンを選択して、低音部は「Material」パッド内の緑色の水平線を、高音部は青色の水平線を上下にドラッグしてください。

  14. 設定メニューの「設定を別名で保存」コマンドを使用して新しい名前を付けて設定を保存し、新しいベルサウンドや次のクリスマスアルバムを制作する素材として利用してください。

Sculpture で金管楽器サウンドを作成する

金管楽器は、電子楽器で再現するのが極めて困難です。サンプラーは適切なサンプルライブラリを使用して上手に活用すればかなり本物に近いサウンドを再現できますが、実際に金管楽器を演奏したときような自然な暖かみはありません。ここで紹介するのは、ソロインストゥルメントまたはブラスセクションとして演奏できる単純で汎用的な金管楽器設定です。

汎用的な金管楽器サウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. Object 1 のタイプを「Blow」に設定します。

  3. Object 2 を有効にして、そのタイプを「Noise」に設定します。

  4. Object 1 の「Strength」をおよそ 0.90 に調整します。

  5. Object 1 の「VeloSens」をおよそ 0.30 に設定します。

  6. 中央の C を弾きながら、「Inner Loss」の「I」と「Steel」ラベルの「l」との対角線上にくるように「Material」パッドのボールをドラッグします。これでかなり本物の金管楽器らしい音が得られるはずです。

  7. 次に、中央の C の上の E を弾きます。マンドリンの音を電話で聴いたような奇妙なサウンドが聞こえます。

  8. 中央の C とそこから 1 オクターブ前後低いノートをいくつか弾きながら、「Resolution」スライダを左右にドラッグします。このパラメータを操作するだけで、シタールからフルートに至るあらゆるサウンドを実現できることが分かるはずです。

  9. ここで「Keyscale」ボタンをクリックし、キーボードの低音部や高音部を弾きながら個別に「Resolution」スライダを調整します。さらに、演奏したいキーボードの範囲(たとえば中央の C を中心として上下 1 オクターブ前後)でマンドリンや電話のようなサウンドが出なくなるまで「Resolution」の高/低キースケールスライダを調整します。この時点では、サウンドがまだ金管楽器らしい音質を保っている状態にしておいてください。

  10. 「Pickup A」の位置をおよそ 77%に移動させます。

  11. Waveshaper をオンにして、希望のタイプとして「Scream」を選択します。好みに合わせて「Input Scale」および「Variation」パラメータを調整します。

  12. フィルタをオンにします。HiPass モードを選択して、「Cutoff」、「Resonance」、そのほかのフィルタパラメータを好みに合わせて調整します。(推奨値は、「Cutoff」は 0.30 で、「Resonance」は 0.41 です)

  13. 「設定を別名で保存」で設定を保存します。

ミュート・トランペット、フレンチホルン、さらにはシタールやフルートなど、このサウンドを応用できる方向性は実に多種多彩です。

金管楽器サウンドをさらに変更するには
  • Waveshaper を使用して、サウンドを大幅に変えます。

  • 「Delay」を使用して、インストゥルメントの空間の広がりをエミュレートします。

  • 「Body EQ」を使用して低音部をカットし、中音部と高音部を持ち上げます。

  • 「Material」パッドのボールを「Nylon」のコーナーへドラッグして、この操作がサウンドの音質にどのような影響を与えるのかを確かめます。

  • 「Object 2」のタイプとして「Blow」を選択し、Object 1 および Object 2 の位置をさまざまに変えてみます。こうした方法でも、さまざまな金管楽器サウンドを作り上げることができます。

Sculpture でフルートのようなサウンドを作成する

このアプローチは、フルート、クラリネット、尺八、パンパイプなど、ほとんどの木管楽器のベースとして使用できます。

フルートのようなサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. フルートなどの木管楽器はモノフォニックなので、「Keyboard Mode」は「mono」に設定する必要があります。設定を作成したら、演奏しながらこのパラメータを試してみて、好みに合わせて選択してください。

  3. Object 1 のタイプを「Blow」に設定します。

  4. Object 2 のタイプを「Noise」に設定します。

  5. 両方のオブジェクトの「Gate」を「Always」に設定します。

  6. Object 2 の「Strength」をおよそ 0.25 の値に調整します。

  7. Object 1 の「Velosens」パラメータをおよそ 0.33 の値に調整します。

  8. 「Material」パッドのボールを、「Inner Loss」の文字の末端と「Nylon」の文字の下端のほぼ中間まで移動します。

  9. キーボードを弾きます。フルート風の音が聞こえるはずですが、リリースが長く、理想的なサウンドではないことは明らかです。振幅エンベロープのリリース・スライダをドラッグして、およそ 0.99 ms に下げます。

  10. 「Pickup A」は値 1.00(右端)に設定されているはずです。

  11. Object 1 のピックアップ位置をおよそ 0.27 に設定します。

  12. Object 2 のピックアップ位置をおよそ 0.57 に設定します。

  13. Waveshaper を有効にし、「Tube-like distortion」タイプを選択します。

  14. いくつか音を弾いて、Waveshaper の「Input Scale」パラメータと「Variation」パラメータを好みに合わせて調整します(たとえば「Input Scale」を 0.16、「Variation」を 0.55 にしてみてください)。

  15. 持続音を弾くと、ノートがホールドされている間に発生するはずの面白い音色変化(演奏者の息や唇の位置などの変化によって生じる、実際のフルートサウンド特有の変動)が、明らかに欠けていることに気付くはずです。

  16. 持続するサウンドに面白みを加えるには、何種類かのアプローチが可能です。たとえば、ビブラートモジュレータ(アフタータッチに割り当て)の使用や、エンベロープの記録や操作、「Velocity」または弦パラメータの「Media Loss」を介した Waveshaper の「Input Scale」の制御などが挙げられます。さらには Loop Alternate Sustain モードを使用する方法も考えられるでしょう。ご自由に試してみてください!

  17. 「設定を別名で保存」で設定を保存します。

Sculpture でギターサウンドを作成する

この基本設定から、ギター、リュート、マンドリン、ハープなどの撥弦楽器を作成できます。

ギターサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. ギターには弦は 6 本しかないので、「Voices」パラメータには値 6 を設定します。もちろんバンジョーの場合は 7 を選択し、ハープの場合はできるだけ多い値を選択してください。

  3. Object 1 のタイプが「Impulse」になっていなければ、「Impulse」に設定します。

  4. Object 2 を有効にして、そのタイプを「Pick」に設定します。

  5. 次に「Pickup A」の位置を右端まで動かします。

  6. Object 2 のピックアップ位置を値 0.14 まで動かします。

  7. Body EQ を有効にして、いずれかのギターモデルを選択します。

  8. Body EQ のさまざまなパラメータを調整します。これらのパラメータは、ギターサウンドの全体的な明るさやトーンに大きく影響します。(例として、「Model」は「Guitar 2」、「Intensity」は 0.46、「Shift」は 0.38、「Stretch」は 0.20 を試してみてください。)

  9. 「Fine Structure」は 0.30 〜 0.35 程度に設定しますが、自分の耳で判断してください。

  10. 「Spread」の「Pickup」の半円をクリックしたまま上方向にドラッグして、聴感上のステレオ幅を広げます(だいたい 10 時または 2 時方向の値が適切です)。

  11. フィルタを有効にして、Lo Pass モードを選択します。

  12. 「Cutoff」パラメータおよび「Resonance」パラメータを好みに合わせて調整します(どちらも 0.81 を試してみます)。

  13. 「Tension Mod」スライダを上方向に調整します。キーボードを弾いて、このパラメータによって生じる一時的なデチューン効果がサウンドにどのような影響を与えるかを確かめます。適切な量に設定します。

  14. 「Level Limiter」モードを「both」に設定します。

  15. 「設定を別名で保存」で設定を保存します。

この設定を作成する過程で異なるアプローチが取られたことにお気付きかもしれません。それは、このサウンドの場合には Body EQ モデルが最大の影響を及ぼすためです。
 この場合のように、信号経路を厳密にたどるよりも、多少手順を変えた方が作業しやすくなるケースもあります。

ギターのようなほかのサウンドを作成するには
  • オブジェクトの「Strength」、「Variation」、「Timbre」パラメータを調整します。

  • 「Material」パッドのボールの位置を変更して、ギターとはまったく異なるトーンを作成します。

  • 「Delay」または「Vibrato」を使用して、マンドリンのトレモロ奏法をエミュレートします。

Sculpture でオルガンサウンドを作成する

オルガンのサウンドは、リリースフェーズがないので、Sculpture で最も簡単かつ迅速にエミュレートできるサウンドの 1 つです。基本的なトーンを作るのにキースケールパラメータを設定する必要はないので、作業が簡単です。ただし、モジュレーションルーティングや具体的なサウンドデザインによっては、後の段階でそれらのパラメータを設定することになる場合もあります。

オルガンサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。(Object 1 のタイプは「Impulse」に設定されているはずです。そうではない場合は、変更してください。)

  2. 「Voices」パラメータの値を 8 (または必要ならさらに大きな値)に設定します。

  3. 「Material」パッドのボールを左上のコーナーへドラッグします。

  4. Object 2 を有効にして、そのタイプを「Bow」に設定します。

  5. Object 2 の「Gate」モードを「Always」に設定します。

  6. 振幅エンベロープの「R」(Release)スライダを下端までドラッグします。

  7. C のコードを弾きます。フルートのようなサウンドが聞こえるはずです。

  8. 「Pickup A」を右端までドラッグします。

  9. C のコードを弾きます。安っぽいオルガンのサウンドが聞こえるはずです。このように、「Pickup A」の位置はサウンドの音響特性全体に対して大きな効果があります。

  10. C のコードを弾いたまま、Object 2 のピックアップをドラッグします。サウンドが本物のオルガンらしく聞こえる位置が見つかったら、オブジェクトピックアップを放してください。

  11. 次に、Object 2 の「Timbre」パラメータを少しだけ上方向に調整します。

  12. 希望するトーンが見つかるまで、Object 2 の「Variation」パラメータを少しずつ上下に調整します。

  13. この時点で、必要なら Object 2 のピックアップパラメータを別の位置に移動させてください。その際もコードを押したままで作業します。

  14. Object 2 の「Variation」パラメータと「Timbre」パラメータをさらに微調整できます。

  15. 小さなキークリックを加えるには、Object 1 のタイプを「Strike」に変更して、その「Strength」と「Timbre」パラメータを調整します。

  16. チューニングのずれたオルガンの雰囲気を少し加えるには、「Warmth」パラメータを 0.150 〜 0.200 の間に設定します。

  17. これで、基本的なオルガンの音色になるはずです。「設定を別名で保存」で設定を保存します。これは、次回のオルガン設定の基礎として使用できます。

ヒント: ノートやコードを鳴らしながらパラメータを調整してください。各パラメータがサウンドにどのような影響を与えるかを耳で確認することができます。

コードを弾いたときに、相互変調効果が発生することに気付くはずです。これは、コードの構成音の音程差によって生じているだけではなく、Sculpture によってそれぞれのボイスの間に相互作用が生じるためです。このような各ボイス(弦)間のわずかな変動と、ボイス同士が及ぼし合うハーモニーの相互作用は、オーケストラのバイオリンセクションが同一のフレーズを弾いていても生じるハーモニーの相互作用と非常によく似ています。

Sculpture でパーカッションサウンドを作成する

ドラムのようなパーカッションサウンドは、どれも似たようなタイプのエンベロープ曲線になる傾向があります。これらのサウンドは、音響特性のほとんどが打音時に現れ、次に短いディケイフェーズが続きます。リリースフェーズは、インストゥルメント自体(ウッドブロックかスネアドラムか)とそのインストゥルメントが置かれている周囲の空間(洞窟の中や浴室など)によって左右されます。

パーカッションサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. Object 1 のタイプを「Strike」に設定します。

  3. Object 2 を有効にして、そのタイプを「Disturb 2-sided」に設定します。

  4. Object 2 の「Gate」モードを「Always」に設定します。

  5. Object 1 の「Strength」はおよそ 0.84 です。

  6. Object 2 の「Strength」はおよそ 0.34 です。

  7. 「Media Loss」スライダを上下にドラッグしながら弾いて、その影響を耳で確かめます。最適な設定を見つけてください。

  8. 同様に、「Material」パッドのボール位置も変更できます。ただし、サウンドの全体的なトーンにどのような効果があるかは「Media Loss」の値に大きく左右されます。

  9. 「Body EQ」や「Filter」を有効にして、気持ちのおもむくままに設定を調整してください。

  10. 「設定を別名で保存」で設定を保存します。

このサウンドは、ドラム、ブロック、インダストリアルパーカッション、さらにはシーケンサーを利用したリズミカルなシンセサイザーサウンドといった非常に広い範囲のパーカッションサウンドの土台として使用できます。
 「Material」パッドのボール位置を調整したり、「Media Loss」スライダの位置を変更したりして、まったく違う新しいサウンドを簡単に作成できます。

Sculpture で独奏弦楽器サウンドを作成する

バイオリンやチェロといった弓を使って弾かれる独奏弦楽器は、ほとんど共通の方法で作成できます。このサウンドはポリフォニックで再生することもできます。

独奏弦楽器サウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. 「Transpose」を「-1 Oct」に設定します。

  3. Object 1 のタイプを「Bow」に設定します。

  4. MIDI キーボードの低音部を弾くと、ビオラやチェロのようなサウンドが聞こえますが、改善の余地があることは明らかです。

  5. キーボードを弾きながら、演奏や音楽のスタイルに合うように Object 1 の「Velosens」スライダを設定します。必要なら後で調整してもかまいません。

  6. 「Tension Mod」スライダをわずかに上にドラッグし、矢印が「D」の文字を覆うようにします。これによって、弓が弦に押し付けられたときの瞬間的なデチューン効果がエミュレートされます。

  7. 「Pickup A」をおよそ 0.90 の位置に移動させます。

  8. Object 1 のピックアップ位置をおよそ 0.48 の値まで移動させます。

  9. 「Body EQ」を有効にして、「Violin 1」モデルを選択します。

  10. Body EQ のパラメータを次のように設定します:「Intensity」を 0.73、「Shift」を+ 1.00、および「Stretch」を+ 1.00。

  11. 「Fine Structure」スライダを好みに合わせて調整します。

  12. 「Spread」の「Pickup」の半円をクリックしたまま、淡い青色の点が 10:30 と 1:30 の位置になるまで下方向にドラッグします。

  13. 「Level Limiter」モードを「both」に設定します。

  14. 「設定を別名で保存」で設定を保存します。

独奏弦楽器サウンドをさらにカスタマイズするには
  • モジュレーション(ビブラートなど)がわずかに遅れてサウンドにかかるように設定します。

  • 上記の例に従って高いピッチの独奏弦楽器を作成します。すべてのキースケールパラメータに特に注意してください。不注意に設定すると、音の外れたバイオリンやビオラになってしまいます。

  • 「Body EQ」を使用して、サウンドを変えます。特に高い音程に多大な影響を及ぼすため、設定には注意してください。

  • 急激に変化させるには(上記の設定例を使用した場合は)Object 1 のタイプを「Pick」に変更すると、キーボード上の低音域では甘くはじけるようなシンセサイザーベースのサウンドが聞こえ、それ以外の音域ではまずまずの音質のハープが聞こえるはずです。

Sculpture で従来のシンセサイザーサウンドを作成する

Sculpture の大きなメリットの 1 つは、いつまでも継時的に変化していくパッドと空間系のサウンドを作成できることにあります。また、太いシンセベースや強力なリードをはじめとする典型的なシンセサイザーサウンドも簡単に作成できます。

Sculpture には従来のシンセサイザーでは得られないメリットがあります。コア合成エンジンからは、自然な音質と豊かさを備えた、多彩な基本トーンが出力されます。

基本的なシンセサイザー・パッド・サウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. 「Voices」パラメータを 16 に設定します。

  3. Object 1 のタイプを「Bow」に設定します。

  4. Object 2 のタイプを「Bow wide」に設定します。

  5. 「Material」パッドのボールをドラッグしてパッドの左端に持っていき、垂直方向の「Material」ラベルのちょうど中間にあたる位置に置きます。

  6. C のコード(中央の C)を弾きます。パッドサウンドが聞こえるはずです。

  7. 「Pickup A」をおよそ 0.75 の位置まで移動させると、パッドが少し甘い音になります。

  8. Object 1 の位置を値 0.84 まで移動させます。

  9. Object 2 の位置を値 0.34 まで移動させます。

  10. 最後に、5 つの付点を備えた「Points」アイコンを「Morph」パッドセクションでクリックします。

  11. 「Morph」パッドの「Randomize」セクションの「Int」スライダを、たとえば 25 %の値までドラッグします。

  12. 「Morph」パッドの「Rnd」ボタンを一度クリックします。

  13. 「ファイル」>「設定を別名で保存」と選択し、新しい名前を入力します(たとえば「vanilla_pad」)。

ほかの例でもこの基本パッドサウンドを使用します。気にせずに「vanilla pad」にどんどん手を加えてください。何をしてもかまいません。フィルタ、ディレイ、EQ、Waveshaper を使用して新しいサウンドを作ってみてください。

変化し続けるシンセサイザー・パッド・サウンドを作成するには
  1. 「#default」(または「vanilla pad」)設定ファイルを読み込みます。

  2. インターフェイス左下にある「LFO 1」タブをクリックします。

  3. 「1」ボタンをクリックして、キーボードを弾きます。それほどの違いは感じられませんね。

  4. コードを押さえたまま、「amt」スライダを左右にドラッグします。最後に、値 0.15 に設定します。

  5. 「1」ボタンの隣の「Target」ポップアップメニューを開き、「Object1 Strength」を選択します。羽ばたくようなサウンドが聞こえるはずです。

  6. 次に、「sync」ボタンをクリックして、「Rate」ノブを値 1/8t に調整します。

  7. 「2」ボタンをクリックして 2 つ目の LFO 1 オブジェクトを有効にし、「2」ボタンの隣にある「Target」ポップアップメニューから「Object1 Position」を選択します。

  8. キーボードを弾いても、たいした違いはありません。

  9. 「2」ボタンの隣の「via」ポップアップメニューを開き、「Velocity」を選択します。

  10. ベロシティを変えてキーボードを弾きます。Object 1 のピックアップ位置がシフトする効果を耳にできるはずです。では、これをもっと面白いサウンドにしてみましょう。

  11. 「Waveform」ポップアップメニューを開いて「Sample&Hold」を選択し、異なるベロシティでキーボードを弾きます。サスティンペダルがあればそれを使いましょう。無限に継時変化していくサウンドに耳を傾けてください。

  12. プロジェクトテンポと LFO レートを使って試してみるのもよいでしょう。

  13. 「Spread Pickup」の値を変えて、LFO 2 やほかのモジュレータも使ってみてるのもよいでしょう。

モーフィングしたサウンドを作成するには
  1. 「#default」(または出荷時設定を保存しておいた「vanilla」)設定ファイルを読み込みます。

  2. モーフ・トリガ・セクションの「R」(記録)ボタンをクリックします。

  3. キーボードでコードを弾き、「Morph」パッドのボールをサークル内にドラッグします。

  4. 終わったら、「R」(記録)ボタンをもう一度クリックします。

  5. ここで「Morph Mode」を「Env only」に変更すると、モーフサークルが表示されるはずです。

  6. キーボードを弾きます。モーフィングされたパッドのでき上りです!

  7. 「Morph Envelope」パラメータを自由に調整してみてください。

このチュートリアルセクションで、以前に「vanilla_pad」設定を作成および保存した場合は、モーフポイント数、「Int」、「Rnd」の各パラメータを設定するように指示されています。その目的は、モーフィング作業用にあらかじめ数個のモーフポイントを使用できる状態にしておくためでした。

お望みなら、モーフィングされたパッドのパスを保持したままで、「Rnd」ボタンをクリックして「Int」(Intensity)スライダを調整すれば、無限にバラエティに富んだサウンドを作り出すことができます。