サラウンド MultiMeter

Multimeter のサラウンドバージョンは、特にマルチ・チャンネル・サラウンド・ファイルの分析と計測のために設計されています。メインディスプレイ領域には、Analyzer、Goniometer、または Correlation Meter のいずれかの結果を表示することができます。表示の切り替えやほかの Multimeter パラメータの設定は、インターフェイスの左側にある制御パネルで行います。Level Meter(Peak/RMS)は右側に表示されます。

サラウンド MultiMeter は任意のチャンネルストリップに直接挿入できますが、サラウンドミックス全体を操作する場合は一般にホストアプリケーションのマスター・チャンネル・ストリップで使います。

Figure. Surround MultiMeter window, showing Goniometer.

サラウンド Multimeter の Analyzer を使う

「Analyzer」モードでは、入力信号の周波数スペクトラムが 31 の周波数帯に分けて MultiMeter のメインディスプレイに表示されます。各周波数帯の幅は 1 オクターブの 1/3 です。「Analyzer」パラメータを使うと、「Analyzer」モードを有効にしたり、入力信号をメインディスプレイに表示する方法をカスタマイズしたりすることができます。

Figure. Surround MultiMeter window in Analyzer mode.
  • 「Analyzer」ボタン: メインディスプレイを「Analyzer」モードに切り替えます。
  • 「Sum」ボタンと「Max」ボタン: 「Analyzer」の結果として合計レベルと最大レベルのどちらをメインディスプレイに表示するかを指定します。これらのボタンは、チャンネルボタンで複数のチャンネルが選択されている場合にのみ作用します。
  • チャンネルボタン: 1 つのチャンネルを選択することも、チャンネルを組み合わせて計測することもできます。これらのボタンの数と表示は、選択中のサラウンドモードによって変化します。
  • 「View」フィールド: 表示範囲の最大値(「Top」)と全体のダイナミックレンジ(「Range」)を設定して、「Analyzer」に値を表示する方法を変更します。
  • モードボタン: レベルの表示方法を指定します。「Peak」、「Slow RMS」、「Fast RMS」のいずれかの特性を選択できます。
    • 2 つの「RMS」モードは信号の実効値平均を表し、耳に聴こえる音量レベルに合致しています。

    • 「Peak」モードにすると、レベルの正確なピーク値が表示されます。

  • スケール(メインディスプレイに表示): レベルのスケールを示します。強く圧縮をかけた素材の場合、このスケールを調整すると便利です。レベルの変化が小さい場合でも、その変化が見やすくなります。上下にドラッグするとスケールが調整されます。

サラウンド Multimeter の Goniometer を使う

Goniometer を使うと、ステレオイメージの干渉を検証して、左右のチャンネル間の位相の差を定義することができます。中央のラインの M(中央/モノラル)に沿ってトレースが打ち消しあう状況があれば、位相に問題があることが簡単に分かります。

Goniometer の原理は、古くから 2 チャンネル方式のオシロスコープに使われていたものです。Goniometer のようなデバイスを使用するには、左右のステレオチャンネルの信号を X 軸と Y 軸の入力に接続し、表示を 45°傾けます。するとステレオ位相が目に見える形で表現されます。信号トレースはゆっくりと黒に戻ります。これはグロー管を使った古くからの Goniometer の動作を真似たものですが、信号を読み取るにはこの方式が最も優れているようです。

サラウンド MultiMeter の「Goniometer」はマルチチャンネル信号を扱うため、ディスプレイが図のように複数の区画に分割されます。それぞれの区画はスピーカーの位置を示しています。チャンネルストリップにサラウンドパンナーを挿入すると、これに応じてインジケータも変化します。これにより、左右のチャンネルの干渉だけでなく、前後の干渉も確認できます。

Figure. Surround MultiMeter in Goniometer mode.
  • 「Goniometer」ボタン: メインディスプレイに「Goniometer」の結果を表示します。
  • 「Auto Gain」フィールド: 入力レベルが低い場合に表示を補正する度合いを設定します。「Auto Gain」レベルは 10 %ずつ増やすことができます。また、この機能をオフにすることも可能です。

    メモ: ほかのエフェクトやプロセッサ(Compressor など)の「Auto Gain」パラメータと混同されないよう、メーターでは「Auto Gain」は表示用パラメータとしてのみ使われます。この「Auto Gain」パラメータは、レベルを上げて表示を見やすくするためのものです。オーディオレベル自体は変化しません。

  • 「Decay」フィールド: Goniometer が黒に戻るまでの時間を指定します。
  • 「L-R」/「Ls–Rs」/「Both」ボタン: メインディスプレイに表示するチャンネルペアを指定します。サラウンド Multimeter を 2 チャンネルペアの構成(4 チャンネル、5.1、6.1 構成)で使用する場合、「Both」を選択すれば Goniometer に両方のペアを表示することができます。1 つのペア(L-R)がグラフィックディスプレイの上半分に、もう 1 つのペア(Ls-Rs)は下半分に表示されます。

サラウンド Multimeter の Level Meter を使う

Level Meter では現在の信号レベルが対数のデシベル(dB)単位で表示されます。各チャンネルの信号レベルは青いバーで示されます。

Figure. Surround MultiMeter Level Meter.

RMS と Peak レベルは同時に表示され、RMS レベルは濃青のバーで、Peak レベルは淡青のバーで表示されます。信号レベルが 0 dB を超えると、0 dB を超えた部分のバーが赤に変わります。

現在のピーク値は、Level Meter 上部に数字(dB)で表示されます。表示部分をクリックするとピーク値をリセットできます。

サラウンド Multimeter の「Balance/Correlation」パラメータを使う

サラウンド Multimeter の Correlation Meter は、すべての入力信号間のバランス(サウンドの配置)を計測します。強い相関信号は明確に、弱めの相関信号は不明瞭な領域で表示されます。サラウンド Multimeter の「Balance/Correlation」ボタンを有効にすると、メインディスプレイに Correlation Meter が表示されます。

Figure. Balance/Correlation Meter for a 5.1 channel mix.

選択したサラウンドフォーマットに応じて、スピーカーの位置を示す点(図は 5.1 構成での L、R、C、Ls、Rs)が表示されます。これらの点にラインが接続されます。各接続ラインの中央位置が青いマーカーで表示されます。

灰色のボールはサラウンド空間/サウンドの配置を示します。チャンネルストリップのサラウンドパンナーを動かすと、Correlation Meter のボールに動きが反映されます。青色のマーカーもリアルタイムで動きます。灰色の影付きの線は、各接続ラインの中央位置からの広がりを示します。

LFE channel Correlation Meter は、メインディスプレイの下に表示されています。相関値を表す針が左右に動いた範囲がリアルタイムで相関インジケータにより白く表示されます。これは両方向に表示されます。左寄りの赤い縦線で、負の方向に最も針が振れた位置が示されます。再生時にこの線をクリックすると、リセットすることができます。

LFE Correlation Meter のスケールの値は以下の状態を示しています:

  • 「+ 1」は、信号が均衡な状態にあることを表します。

  • 相関値が「+ 1」から中央位置にかけての青い領域に入っていれば、信号がモノラル信号と互換性があることを表します。

  • 中央位置にあれば、チャンネルに可能な範囲で最大の差があることを表します。

  • 相関値が中央から左側の赤い領域に入っていれば、バランスのとれていない素材があることになります。

サラウンド Multimeter の「Peak」パラメータ

サラウンド MultiMeter には、以下の「Peak」パラメータがあります:

Figure. Peak parameters.
  • 「Hold」ボタン: サラウンド MultiMeter の各メーターについて、ピーク値の表示方式を以下の通りに設定します:
    • Analyzer: 各レベルバーの上に黄色い小さな区画が現れ、ここに最新のピーク値が表示されます。
    • Goniometer: いったん光ったピクセルは、ピークのホールド時間中ずっと光ったままになります。
    • Level Meter: 各レベルバーの上に黄色い小さな区画が現れ、ここに最新のピーク値が表示されます。
    • バランス/相関メーター: 相関値を表す針が左右に動いた範囲がリアルタイムで相関インジケータにより白く表示されます。

    メモ: このメーターは「Balance/Correlation」ボタンをクリックして手動で開く必要があります。

  • 「Reset」ボタン: 「Reset」ボタンを選択すると、すべての測定ツールのピークホールド値がリセットされます。