電子的に生成したキックドラムのサウンドは、主として、深めにチューニングした正弦波のサウンドをベースにしています。
設定メニュー>「03 Tutorial Settings」>「Tutorial Kit」と選択し、アサインメントセクションから「Standard Tut」を選択します。
1 番オシレータを「Phase Oscillator」モードにする点に注意してください。
ソングのほかの重要な音要素(ベースやパッドサウンドなど)と共にバスドラムをソロ再生し、低オクターブで最適なチューニングのピッチを探します。「osc1」の「pitch」スライダをドラッグして、最適になるまで、ピッチを調整します。
「Env4」を使って、バスドラムの音量を調節します。
拍を遅くした場合はディケイフェーズを長めに取り、テンポを速くした場合はディケイ時間を短めにすることをお勧めします。「Env 4」のアタック時間は、どのような場合でも短く(ほとんどの場合は 0 に)してください。そうしないと、サウンドから打楽器らしさが失われ、サウンドをミックスしても聴き取りにくくなります。
キックドラムのサウンドは非常にソフトで、人気の高い TR-808 バスドラムにどことなく似ています。明確に定義されたアタックは使用できません。
1 番オシレータの「Pitch」パラメータの「Mod」メニューで、「Env 1」が選択されていることを確認します。
青色の「mod」スライダを元のピッチから 3 〜 4 オクターブ上へドラッグし、モジュレーションの度合いを設定します。
X 軸上にある 2 つジャンクションポイントのうち、左側のほうを左端までドラッグし、「Env 1」のアタック時間を 0 に設定します。
X 軸上にある 2 つジャンクションポイントのうち、右側のほうをドラッグしてさまざまなディケイ時間を試してみてください。ディケイ時間を長く設定する(ベジェハンドルを右に動かす)と、シンセタムに近いサウンドになります。ディケイ時間を短くする(ハンドルを左へ動かす)と、キック特性が強くなります。
「osc1」の「pitch」の「mod」値(青いスライダ)をもう一度変更します(手順 2 を参照)。
このパラメータとエンベロープのディケイ時間が影響し合って、バスドラムサウンドに多様なキックやパンチが生まれます。
メモ: 「Tutorial Kit」では、このシンプルなバス・ドラム・サウンドが「Kick 1」という名前で表示されています(ピッチは C1)。
正弦波をベースにしたバスドラムの利点は、ソングに適合するようにサウンドを正確にチューニングできるということです。欠点は、ピッチが認識できるほどのサウンドは必ずしも望ましいものではないということです。Ultrabeat でサウンドの調性を抑えるには、複数の方法があります。非常に効果の高いツールは、2 バンド EQ です。
「band 1」に対し、周波数 80 Hz 付近、高い Q 値、負のゲイン値でシェルビングモードを選択します。
「band 2」に対し、周波数 180 Hz 付近、中程度の Q 値、負のゲイン値で、ピークモードを選択します。
80 Hz 付近の周波数が増幅され、その周囲の周波数が低減することが EQ グラフで確認できます。
バスドラムの調性の範囲に影響するように「Band 2」の周波数を変更します(EQ グラフの青色の部分で簡単に確認できます)。
倍音が豊富に含まれるドラムサウンドの調性を抑える別の方法としては、ローパスフィルタの使用があります。次の例では、エンベロープを使って、フィルタのカットオフ周波数を制御します。
「Standard Tutorial」サウンドを再読み込みし、1 番オシレータの基本ピッチとして「A#0」を選択し、「Env 1」を使ってこれをモジュレートします。
「Saturation」パラメータの値を大きくして、ドラムサウンドの倍音を強めます。
フィルタ・バイパス・ボタン(「osc1」とフィルタとの間にある矢印)が有効になっているため、「osc1」の出力がフィルタに送られていることに注意してください。
フィルタ・タイプを「LP」かつ「24」に設定します。
「cut」値を「0.10」に設定します。
「cut」の「mod」ソースを「Env 3」に設定します。
「cut」の「mod」の度合いを「0.60」に設定します。
「res」を 0.30 に設定します。
「Env 3」のアタック時間を 0 にします。「Env 3」のディケイ時間を使って、フィルタリングされたバスドラムのサウンドを加工します。
エンベロープを使って、フィルタのレゾナンスを制御することもできます。この機能には、1 つのエンベロープを専用に使用します(この場合は、レゾナンス用「Mod」ソースとして「Env 2」)。レゾナンス用の「Mod」値として 0.80 前後を選択します。「Env 3」より長いディケイ時間を「Env 2」で選択し、このレゾナンスモジュレーションによって(フィルタのレゾナンスが高くなるため)、バスドラムのサウンドがより肉厚になり、調性が抑えられます。
メモ: 「Tutorial Kit」では、この例で説明したバスドラムが「Kick 2」という名前で表示されています(ピッチは C#1)。また、このドラムには面白い EQ 設定が施されています(次のセクションを参照)。
サウンドに「欠落した」要素を追加するために、このセクションで説明するオプションを試してみてください。
「Kick 2」のフィルタリング済みのバスドラムサウンドを素材にして、「Phase Oscillator」のほかのパラメータをいろいろ変更してみてください。たとえば、「saturation」の値を高くすると、サウンドの音量が大きくなり、低音が強くなることが分かります。サンプルサウンドが、徐々に TR-909 のような特徴を帯びてきます。
Ultrabeat 独特のバス・ドラム・サウンドを作成できます。たとえば、エンベロープの代わりに LFO を使ってピッチをモジュレートしてみてください。
ピッチ A#0 の「Standard Tutorial」サウンドを使い、「OSC 1」の「Pitch」セクションで「Mod」ソースとして「LFO 1」を選択します。
青色の「mod」スライダを「A3」の値までドラッグし、モジュレーションの度合いを設定します。
「Lfo1」の「cycles」を小さい値(25 〜 35)に、「rate」を高い値(70 Hz 以上)に、「decay」を中位の値(「ramp」ノブを- 190 前後)に設定します。
LFO の波形をいろいろ試すと、バスドラムのアタックにさまざまな味付けができることが分かります。
同じ LFO で、「asym」(Asymmetry)パラメータをモジュレートしても「slope」と「saturation」の値が変化します。
この方法を使うと、オシレータ、LFO、およびエンベロープ(音量用)をそれぞれ 1 つずつ使って、まったく異なるバスドラムサウンドを作成できます。サウンドの特性はソフトなものからパンチの効いたものまでさまざまで、サウンドの調性の度合いは好みに応じて調整できます。
メモ: 「Tutorial Kit」では、上記のバス・ドラム・サウンドが「Kick 3」という名前で表示されています(ピッチは D1)。
2 つ目のオシレータを「osc1」と似た設定にして使っても、サンプルを取り込んで使っても、フィルタやリングモジュレータをかけても構いません。想像力をフルに働かせて、次世代の「マストアイテム」となるドラムサウンドを作り出してみましょう。
メモ: 「Tutorial Kit」では、「Kick 4」に伝説の 808 バスドラムの「エミュレーション」を用意しています(ピッチは D#1)。