Compressor で分散処理を使う

複数のコンピュータに処理を分散することによって、スピードと生産性を向上させることができます。「Compressor」の Apple Qmaster 機能では、スピードを向上させるために作業を分割して、最も計算能力のあるコンピュータに配信し、指定したコンピュータに処理を実行させます。

Apple Qmaster 分散処理ネットワークのセットアップと管理に関する詳細な手順については、「Apple Qmaster と分散処理」を参照してください。

このセクションでは、「Compressor」で Apple Qmaster 分散処理システムを使うときに注意する必要のある 2 つの特定のトピックについて説明します。

ジョブのセグメント化と 2 パスまたはマルチパスエンコーディング

2 パスモードまたはマルチパスモードを選択し、分散処理を有効にしている場合、処理速度の向上か、可能な限り最高の品質かのいずれを選択するのかを決める必要があります。

Apple Qmaster 分散処理システムは、作業を複数の処理ノード(コンピュータ)に分散することによって処理の速度を速めます。これを行う方法の 1 つとして、1 つのジョブのフレーム総数を小さいセグメントに分割する方法があります。処理を行うコンピュータはそれぞれ、異なるセグメントに対して作業を行います。ノードは並行して作業を行うため、ジョブは、1 台のコンピュータの場合よりも早く終了します。ただし、2 パス VBR(可変ビットレート)エンコーディングおよびマルチパスエンコーディングでは各セグメントが個別に処理されるので、どのセグメントも最初のパスで割り当てられるビットレートには、ほかのコンピュータで処理されたセグメントの情報は含まれません。

まず最初に、ソースメディアのエンコーディングの難易度(複雑さ)を評価します。次に、「エンコーダ」パネルの上部にある「ジョブのセグメント化を許可」チェックボックスで、ジョブのセグメント化を許可するかどうかを選択します。ソースメディアファイル全体を考えたときに、メディアの単純な領域と複雑な領域の配分が同じである場合、セグメント化が選択されているかどうかに関係なく、同じ品質が得られます。その場合は、セグメント化を許可して、処理時間を短縮してください。

ただし、複雑なシーンが不均等に配分されたソースメディアファイルもあります。たとえば、2 時間のスポーツ番組があり、前半 1 時間は試合前の解説コーナーなどで出演者が対談する比較的動きの少ないシーン、後半 1 時間は選手たちの動きが多いシーンだとします。このソースメディアが 2 つのセグメントに等分された場合、セグメントは別個のコンピュータで処理されるため、1 番目のセグメントに対するビットレート割り当てのビットの一部を、2 番目のセグメントに「渡す」ことができなくなります。その結果、2 つ目のセグメント内の複雑なアクション場面の品質に悪影響が出ます。このソースメディアのエンコードで、2 時間の番組全体にわたって最大限の品質を確保する必要がある場合は、「エンコーダ」パネルの上部にあるチェックボックスの選択を解除して、ジョブのセグメント化を許可しない方が得策です。こうすると、ジョブ(さらにビットレートの割り当て)は、強制的に 1 台のコンピュータ上で処理されます。

メモ: 「ジョブのセグメント化を許可」チェックボックスは、個々のジョブ(ソースファイル)のセグメント化にのみ影響します。複数のジョブでバッチを実行する場合、分散処理システムは、ジョブのセグメント化がオフであっても、引き続きジョブを分散して(セグメント化せずに)処理時間を短縮します。

可変ビットレートエンコーディング(VBR)の詳細については、「品質」タブを参照してください。Apple Qmaster 分散処理システムの詳細については、「Apple Qmaster と分散処理」を参照してください。

「このコンピュータプラス」および非管理サービスについて

「Compressor」には「このコンピュータプラス」機能があります。この機能を使用すると、クラスタの構成方法やセットアップファイルの共有などに関する知識がそれほどなくても、「Apple Qmaster」が提供する分散処理機能を簡単に利用できます。

「このコンピュータプラス」を使用するには、以下の 2 つの手順を実行します:

  • 「このコンピュータプラス」クラスタに含まれる各コンピュータ上に「Compressor」をインストールし、分散処理サービスを提供するように設定します。

  • Compressor バッチの処理を実行するときに「このコンピュータプラス」チェックボックスを選択します。

    メモ: 認証が必要な場合があります。詳細については、「Apple Qmaster と分散処理」を参照してください。

これら 2 つのステップによって、新たな労力や知識を必要とせずにネットワーク上の複数のコンピュータの処理能力を活用できるようになります。

詳しくは、「「このコンピュータプラス」を使ったクイックスタート」を参照してください。