このセクションでは、ムービーまたはイメージシーケンスでの振動をスムーズにするために使用される「スタビライズ」トラッキングビヘイビアの概要を説明します。「スタビライズ」パラメータについて詳しくは、「「スタビライズ」のコントロール」を参照してください。
「スタビライズ」ビヘイビアを使用する場合、以下の 3 通りの方法でクリップを解析することができます:
クリップのフレーム全体を即座に評価し、画面上のトラックを使用せずに動きのデータを抽出するデフォルトの高度なモーション解析テクニックを使用する。
キャンバス内の参照パターン(ピクセルの小さなグループ)を解析する画面上のトラックを使用する。「マッチモード」ビヘイビアおよび「動きを解析」ビヘイビアで使用されるトラックと同じものです。
高度なモーション解析と画面上のトラックを組み合わせて使用する。
重要: 「スタビライズ」ビヘイビアでの画面上のトラックの使いかたについては、「トラックをスタビライズに追加する」を参照してください。
モーション解析が完了したら、2 つの方法のいずれかで適用できます。クリップをスムーズにして、カメラの一般的な動きを維持したまま不要なジッタを取り除くか、または、クリップをロックして対象物をスタビライズします。スムージングは、変換、回転、または調整に影響を及ぼすことができるため、一部の操作においては、ほかのトラッキングビヘイビアよりも柔軟性が増します。
「スタビライズ」ビヘイビアは、主に、クレーンやジブアームの不安定な動きから不要な揺れを取り除いたり、歩きながらの撮影から手ぶれを除去したり、自動車からの撮影時の振動を少なくしたりする場合に便利です。
メモ: ショット内の対象物をスムージングまたはロックしても、イメージ内のモーションブラーはそのまま残ります。
「スタビライズ」ビヘイビアを、スタビライズするクリップに適用します。
メモ: ほかのビヘイビアのワークフローとは異なり、「スタビライズ」ビヘイビアの自動モードを使用すると、現在の再生ヘッド位置からではなく、クリップ全体が最初のフレームから解析されます。
解析のオプションを設定します:
HUD または「ビヘイビア」インスペクタで、「方法」ポップアップメニューからオプションを選択します:
カメラの振動などの問題を取り除くには、「スタビライズ」を選択してイメージをロックダウンします。
クリップでのカメラの動きをスムーズにするには、「スムーズ」を選択します。
「枠線」ポップアップメニューからオプションを選択します:
スタビライズされたフッテージのサイズを維持するには、「標準」を選択します。スタビライズされたイメージが変形されると、動きを伴う黒の枠線がクリップのエッジの周りに表示される場合があります。
クリップをキャンバスの最大サイズまで拡大するには、「ズーム」を選択します。「ズーム」を選択すると、スタビライズされたクリップのエッジの周りに黒い枠線が表示されなくなります。
メモ: 黒い枠線の修正方法については、「スタビライズによって生じた黒い枠線を取り除く」を参照してください。
「方向」ポップアップメニューからオプションを選択します:
スタビライズされた変形を X および Y 次元に適用するには、「水平と垂直」を選択します。
スタビライズされた変形を X 次元に適用するには「水平」を選択します。
スタビライズされた変形を Y 次元に適用するには、「垂直」を選択します。
「調整」オプションを有効または無効にします:
解析された位置データをクリップに適用するには、「位置」をオンにします。(フッテージにおける X 位置や Y 位置の変更はスムージングまたはスタビライズされます。)ショットの X 位置と Y 位置をスタビライズして、調整や回転の変更はそのままにするには、「位置」をオンにし、「調整」と「回転」をオフにします。
解析されたスケールデータをクリップに適用するには、「調整」をオンにします。(フッテージにおける調整の変更がスムージングまたはスタビライズされます。)調整の変更をスタビライズまたはスムージングして、位置や回転の変更はそのままにするには、「調整」をオンにし、「位置」と「回転」をオフにします。
解析された回転データをクリップに適用するには、「回転」をオンにします。(フッテージにおける回転の変更はスムージングまたはスタビライズされます。)ショットで回転の変更をスタビライズまたはスムージングして、位置や調整の変更はそのままにするには、「回転」をオンにし、「位置」と「調整」をオフにします。
最もスムーズな結果を得るには、3 つの「調整」オプション(「位置」、「調整」、「回転」)をすべてオンにします。
メモ: 「調整」オプションは、「枠線」ポップアップメニューの「ズーム」オプションには関連しません。
メモ: 「方法」、「枠線」、「方向」、および「調整」の各パラメータは、クリップを解析する前でも、解析した後でも変更可能です。
HUD または「ビヘイビア」インスペクタで、「解析」ボタンをクリックします。
メモ: クリップは、定義されたパラメータに従ってスタビライズされます。「Motion」のトラックとは異なり、デフォルトの「スタビライズ」解析では、「キーフレームエディタ」にキーフレームは作成されません。ただし、スタビライズされたオブジェクトの変形は、キーフレームに変換することができます。詳しくは、「トラックをキーフレームに変換する」を参照してください。相関トラックが追加されて「スタビライズ」ビヘイビアで解析されると、キーフレームが作成されます。
スタビライズに関連する問題を修正する方法について詳しくは、「スタビライズエフェクトのトラブルシューティング」を参照してください。
クリップをスタビライズするときは、「領域をトラック」パラメータを使用して解析対象とする領域を指定できます(解析されるソースの限られた領域にスタビライズを分離します)。解析中、その領域以外の部分は無視されます。クリップを高速に処理するにはこのオプションを使用します。
「スタビライズ」パラメータ(「ビヘイビア」インスペクタ内)で、「領域をトラック」チェックボックスを選択します。
キャンバスに、透明な赤いオーバーレイが表示されます。
以下のいずれかの操作を行います:
領域内をドラッグして位置を変更する。
ハンドルをドラッグして領域のサイズを変更する。コーナーのハンドルで、幅と高さを同時にサイズ変更できます。上と下の中央にあるハンドルは高さを、左と右の中央にあるハンドルは幅をサイズ変更できます。
Option キーを押したままハンドルをドラッグして領域をその中心からサイズ変更する。
領域の中央にある回転ハンドルをドラッグして領域のアングルを変更する。
トラック領域を指定したら、「ビヘイビア」インスペクタの「解析」ボタンをクリックします。
解析は定義されたトラック領域内で行われるため、クリップはすばやく解析されます。