Flex モードによって、オーディオ素材の処理方法が決まります。各 Flex モードは特定の種類のオーディオ素材に適しています。「Rhythmic」、「Monophonic」、および「Polyphonic」Flex モードは、それぞれ最適な素材の種類を名前にしています。「Slicing」、「Tempophone」、「Speed」は、各 Flex モードで適用される特殊な処理を名前にしています。「Flex モード」ポップアップメニューから上記のいずれかの Flex モードを選択すると、インスペクタのトラックパラメータボックスにその Flex モードのパラメータが表示されます。これらのパラメータを調整するには、チェックボックスを選択するか、値を縦にドラッグします。
「Logic Pro」のトラックおよびリージョンベースの Flex タイミング編集では、以下の Flex モードとパラメータを選択できます:
オーディオトラックのすべての Flex タイミング編集プロパティが無効になります。
メモ: この Flex モードのオーディオトラックに Apple Loops が含まれる場合、リージョンパラメータボックスで「テンポに従う」チェックボックスが選択されていれば、それらはプロジェクトのテンポに従います。
オーディオ素材をトランジェントマーカーの位置でスライスし、各スライスのオリジナルの再生速度を保ったままオーディオをシフトします。シフトしたオーディオにタイムコンプレッションやタイムエクスパンションは適用されません。シフトによってギャップが生じた場合は、ディケイ機能で埋めることができます。「Slicing」は、ドラムやパーカッションに適しています。
素材をタイムストレッチし、ギャップが生じた場合はそれを埋めるためにスライス間でオーディオをループします。このモードは、リズムギター、キーボードパート、Apple Loops など、モノフォニックではない素材に最適です。
一度に 1 つの音だけを出すメロディー楽器を想定したモードで、ソロボーカルやモノフォニックのソロ音源(メロディー、ベースラインなど)に適しています。この Flex モードは、残響がなくドライな感じの録音のときに使うことをお勧めします。そうでない場合は「Polyphonic」を試してみてください。
「Monophonic」Flex モードのパラメータは「パーカッシブ」のみです。トランジェントマーカーの前後の領域を維持して、サウンドのパーカッシブな響きを残します。これを選択すると、弦をはじいた音(ギター、ベース)や調性のあるパーカッションなど、あらゆるパーカッシブで調性のあるモノフォニック素材のタイミングを改善できます。選択しない場合、弓を使う弦楽器や管楽器など、調性はあるがパーカッシブではない素材でのトランジェントマーカーの検出ミスを防ぐことができます。
フェーズ情報に基づいてピッチを変えずにオーディオ信号をタイムストレッチするフェーズボコーディングと呼ばれる処理を使用して、素材をタイムストレッチします。最もプロセッサの負荷が大きい Flex モードですが、適したポリフォニック素材では高音質の結果が得られます。複雑なポリフォニック素材にお勧めします。ギター、ピアノ、合唱などのあらゆるコードをはじめ、複雑なミックスにも適しています。
「Polyphonic」Flex モードのパラメータは「複合」のみです。オーディオ素材のより内部のトランジェントを有効にします。.
「Tempophone」Flex モードは、tempophone として知られるテープベースの有名なタイムストレッチ装置の効果をエミュレートします。グラニュラ合成方式で生成された場合と同様の、アーチファクトの多い機械的なサウンドが得られます。このモードは、特殊な効果を狙って独創的に使うためのものです。