オーディオパンチ録音

パンチ録音は、以前に録音したトラックの一部を再生中に上書きするテクニックです。上書きする部分の前後の録音部分には影響を与えません。パンチインで再生を中断して録音した後、パンチアウトで再生モードに戻ります。

「Logic Pro」には 2 つのパンチ録音方法があります:

メモ: 録音可能なトラックだけがパンチ録音の対象となります。

オン・ザ・フライでのオーディオパンチ録音

便利で一般的な録音方法として、すでに録音した素材を再生しながら録音状態を切り替えて必要な部分だけ録り直す方法があります。これを「オン・ザ・フライでパンチインする」と言うことがあります。この方法を使えば、簡単にミスを修正したり特定部分の代替テイクを録ったりできます。再生状態と録音状態の切り替え時にギャップが生じないようにするには、「パンチ・オン・ザ・フライ」モードを有効にする必要があります。

内部的には、「パンチ・オン・ザ・フライ」モードを有効にすると、再生を開始した瞬間から録音がバックグラウンドで実行されます。そのため、録音を有効にしたチャンネルストリップ数の 2 倍の空きチャンネルストリップが必要になります。ただし、ユーザ自身がストリップ数を常に意識する必要はありません。チャンネルストリップが足りない場合は、ダイアログが表示されます。

ヒント: 「パンチ・オン・ザ・フライ」モードは常に有効にしておくことをお勧めします。無効にする必要があるのは、チャンネルストリップが足りない場合(ただし新しいプロジェクトには 128 個のトラックが用意されます)、または多数のトラックを録音するための空き領域がハードディスクにない場合のみです。

オン・ザ・フライで録音するには
  1. 以下のいずれかの操作を行って、「パンチ・オン・ザ・フライ」モードをオンにします:

    • Control キーを押しながらトランスポートバーの録音ボタンをクリック(または右クリック)し、ポップアップメニューから「パンチ・オン・ザ・フライ」を選択します。

    • メインメニューバーで「オプション」>「オーディオ」>「パンチ・オン・ザ・フライ」と選択します(または「パンチ・オン・ザ・フライを切り替える」キーコマンドを使います)。

  2. トランスポートバーにある再生ボタンをクリックしてから、録音を始める位置で「録音を切り替える」キーコマンドを使います(デフォルトは Shift +アスタリスクキーです)。

    オーディオ録音が即座に始まります。

  3. トランスポートバーにある停止ボタンをクリックするか、もう一度「録音を切り替える」キーコマンドを使って録音を停止します。

    後者の方法を実行した場合、録音は終了しますが再生は継続します。

メモ: 「パンチ・オン・ザ・フライ」モードでないときでも「録音を切り替える」キーコマンドは使用できます。ただし、その場合は、再生モードと録音モードの切り替え時に、すべてのオーディオトラックのドロップアウトによる遅延が生じます。

あらかじめプログラミングしたオーディオパンチ録音

「オートパンチ」とは、あらかじめ指定した位置で自動的に録音を有効にしたり無効にしたりする機能です。「オートパンチ」機能の利点は、「Logic Pro」の操作ではなく、演奏に集中できる点です。また、オン・ザ・フライでパンチ録音するよりも高い精度で録音の開始と停止を設定できることも利点です。

「オートパンチ」機能はオーディオトラック、ソフトウェア音源トラック、または MIDI トラックに利用できます。

「オートパンチ」モードで録音するには
  1. トランスポートバーにあるオートパンチボタンをオンにします。

    Figure. Autopunch button in the Transport bar.

    左右のオートパンチロケータは、パンチインとパンチアウトの位置となります。オートパンチ録音領域は、バールーラ 3 つのうち中央に赤いストライプで表示されています。

    サイクルモードおよびオートパンチモード共に有効な場合、オートパンチ領域にロケータのペアが表示されます。バールーラに 2 つのストライプが表示されますが、上部(緑色)はサイクル領域、下部(赤色)はオートパンチ領域を示しています。これらは別々に調節できます。

    Figure. Bar ruler with green cycle area and red autopunch area.
  2. 以下のいずれかの操作を行ってオートパンチ領域を設定します:

    • トランスポートバーのオートパンチロケータフィールドを使い、オートパンチ領域を数値で設定します。オートパンチロケータを(通常のロケータの右に)表示および設定するには、あらかじめ「トランスポートバーをカスタマイズ」ダイアログで「サンプルレートまたはパンチロケータ」設定を選択しておく必要がある点に注意してください。

      Figure. Autopunch locator fields on the Transport bar.
    • サイクル領域で変更するのと同様に、バールーラでオートパンチ領域をグラフィカルに変更します。

  3. パンチインの位置より前に再生ヘッドを置きます。

  4. トランスポートバーにある録音ボタンをクリックします(または対応するキーコマンドを使います。デフォルトはアスタリスクキーです)。

  5. トランスポートバーの停止ボタンをクリックすると(またはスペースバーを押すと)、録音が停止します。

オートパンチのストライプの長さに一致するリージョンが作成されます。パンチイン位置の前またはパンチアウト位置の後で受信したオーディオ入力は、通常通り「Logic Pro」を通過しますが、録音はされません。

「Logic Pro」は、パンチインロケータの約 1 小節分前から録音を開始します。これにより、後でリージョンの開始位置を調節できるため、必要であればリードインを聞くことができます。

また演奏者がオートパンチ領域をあまり気にしていなかった場合も、録音の開始部分を回復できます。このような調節をリージョンのリードイン部分に行っても、プロジェクトの時間軸に対する録音位置は変わりません。

録音開始時に再生ヘッドが右ロケータより後ろにあったとしても、録音はカウントインの後でパンチインロケータ位置から自動的に始まります。

録音時に「オートパンチ」が有効の場合、パンチインとパンチアウトのロケータで囲まれた領域の外側に再生ヘッドがある間、録音ボタンが点滅しています。これにより、現在録音が行われていないことが分かります。

サイクル録音およびオートパンチ録音を組み合わせる

あるパッセージで違和感のある部分を改善したい場合、「サイクル」機能および「オートパンチ」機能を組み合わせて利用できます。サイクルモード録音を使うと、最終となるテイクを演奏するまで何回でも練習できます。各サイクルでは、オートパンチロケータで指定した範囲内にあるイベントやオーディオだけが録音されます。これにより、先行する部分からの流れを利用して、うまく録音に入ることができます。

「スキップサイクル」で録音する

「スキップサイクル」がオンの場合、サイクル領域は録音中に無視されます。