ES2 のオシレータを使用する

シンセサイザーオシレータは、1 つ以上の波形を生成する場合に使用されます。信号が、シンセサイザーエンジンのほかの部分に送信されて、加工、処理、または操作が行われます。

これらのパラメータについて説明する前に、ES2 のオシレータセクションで利用可能ないくつかの特殊機能について解説します。

ES2 のオシレータを理解する

次のセクションでは、各オシレータで使用可能なパラメータの概要を説明します。オシレータは、ES2 インターフェイスの左上の領域にあります。

Figure. Oscillator parameters.
  • オシレータのオン/オフボタン: 各オシレータの右にあるオシレータ番号をクリックすると、各オシレータを個別にオン/オフできます。ボタンの番号が緑色で表示されているオシレータは、有効です。ボタンの番号がグレイで表示されているオシレータは、無効です。単にミュートにする場合とは異なり、オシレータを無効にすると、コンピュータの処理能力を節約できます。
  • 波形ノブ: オシレータが生成する波形の種類を設定します。波形により、基本的な音色が決まります。ES2 の基本的なオシレータ波形を使用するを参照してください。
  • 周波数ノブ(粗調整用): ±3 オクターブの範囲にわたって、半音単位でピッチを切り替えます。1 オクターブは 12 半音に相当するので、±12、±24、±36 の目盛はオクターブ単位に当たります。
  • 周波数値フィールド(微調整用): オシレータの周波数(ピッチ)を微調整する場合に使用します。値の表示部分は次のようになっています:左側の数字は半音単位、右側の数字はセント(1 セントは 1/100 半音)単位で設定します。これらは、値の右に表示された s または c で表されます。これら 2 つの値は、個別に調整できます。たとえば、「12 s 30 c」とすれば、「0 s 0 c」よりも 1 オクターブ(12 半音)と 30 セント高い周波数で発振するようになります。
  • オシレータ合成(三角領域): 三角領域のクロスフェード内にある四角形のアイコンをドラッグして、3 つのオシレータ間の相対的なレベルを設定します。ES2 でオシレータのレベルバランスを設定するを参照してください。

ES2 の基本的なオシレータ波形を使用する

ES2 のオシレータから出力できる波形としては、多数の標準波形(正弦波、パルス波、矩形波、ノコギリ波、三角波)、および 100 種類のデジウェーブ(DigiWave)があります(ES2 でデジウェーブを使用するを参照)。以下の表に、基本波形を示します:

波形
基本トーン
説明
パルス/矩形
鼻にかかったサウンド
リード楽器、合成ブリップ、ベースに最適
方形領域
鈍くウッディなサウンド
ベース、クラリネット、オーボエに有用。矩形波(2 番および 3 番オシレータ)のパルス幅は、50%から微細なパルスまで連続的に設定できます。
ノコギリ
温かみがあり均一
弦楽器、パッド、ベース、および金管楽器の音に有用
三角領域
ノコギリ波よりもソフトな甘いサウンド
フルートやパッドの音に有用
正弦
純粋なトーン
1 番オシレータの正弦波の周波数は、2 番オシレータを使ってモジュレートできます。この種のモジュレーションが FM 合成の基礎になります(ES2 で周波数変調を使用するを参照)。

2 番、3 番オシレータで、次のような信号も生成できます:

オシレータの同期やリングモジュレーションを使うと、倍音成分が複雑に混じり合った信号を生成できます。オシレータの同期原理については、ES2 のオシレータを同期するを参照してください。リングモジュレーションの原理については、ES2 でリングモジュレーションを使用するを参照してください。

ES2 でパルス幅変調を使用する

波形パルスの幅を任意の値に設定することで、矩形波形の音色を変化させることができます。これは、パルス幅変調と呼ばれます。

ES2 のパルス幅変調には、さまざまな機能が含まれます。たとえば、すべてのオシレータに対して矩形波を選択した場合、1 番オシレータのパルス波、1 番オシレータに同期した 2 番オシレータのパルス波(または 2 番オシレータのリングモジュレーションで生成された矩形波)、および 1 番オシレータに同期した 3 番オシレータのパルス波を同時にモジュレートできます。

Figure. Oscillator 2 PWM.
2 番または 3 番オシレータの基本パルス幅を設定するには
  • 上の図の強調表示された領域にある波形のロータリーコントロールをドラッグします。

    パルス幅の変調前に「基本」パルス幅を設定できるのは、2 番および 3 番オシレータだけです。

ルーターで(1 番オシレータの)パルス幅変調機能を設定するには:
  1. 「Target」として「Osc1Wave」を選択します。

  2. 「Source」として「LFO1」を選択します。

  3. 変調量スライダを調整します(値 0.12 では若干甘めのサウンドになります)。

  4. LFO 1 に対して正弦波を選択します。

  5. 「LFO 1 Rate」を調整します(0.160 Hz ではゆったりとした快い揺れが得られます)。

LFO を使って ES2 オシレータのパルス幅を変調する

パルス幅変調(PWM)は、ルーター内の適切な設定を使って自動制御できます。パルス波を、LFO で生成された正弦波でパルス幅変調すると、オシレータの単独の音が、倍音成分の豊かな、波打つような生き生きとした音になります。わずかにチューニングがずれたオシレータを 2 つ並べたような響きです。通奏低音やパッドサウンドに使うと効果的です。

下の図は、LFO(低周波オシレータ)の出力信号でパルス幅変調されたパルス波です。パルス幅が時間の経過と共に変化している様子が分かります。

Figure. Illustration of a pulse wave being width modulated.

メモ: モジュレーションの強さと速度は注意深く設定してください。パルス幅が狭く(10%未満の値)なると、全体の音量が下がり、調子が多少狂ってしまいます。

ヒント: ベロシティに敏感に反応するエンベロープジェネレータの出力を変調波としてパルス幅変調すると、音量の変動幅が大きく、特にパーカッシブな低音に効果的な響きになります。

ES2 で周波数変調を使用する

周波数変調(FM)による合成の原理は、1960 年代末から 1970 年代はじめにかけて、John Chowning が開発しました。1980 年代にかけて、この音は Yamaha の DX シリーズのシンセサイザーにより広く知られるようになりました。純粋に FM 音源として見れば、ES2 は DX シリーズに比べるべくもありません。しかし、その特徴的な音にかなり近い音を生成することができます。

周波数変調の仕組み

簡単に言うと、ある信号ジェネレータ(オシレータ)の周波数は、別の信号ジェネレータにより変更(変調)されます。2 番目のジェネレータの値が正の場合、最初のジェネレータの周波数が上がります。負の値の場合は、周波数が下がります。

シンセサイザーの場合、この種の変調は可聴周波数帯域で行われます。最初のオシレータの信号だけが(別のオシレータにより変調されて)聞こえるか、両方のオシレータの信号が聞こえるかは、音源の設計に依存します。2 つのジェネレータ間の相互作用により、最初のオシレータの波形信号が変更され、多数のハーモニックが生成されます。次に、このハーモニックスペクトルをソース信号に使用して、フィルタ、エンベロープの制御などのサウンド処理をさらに行うことができます。詳細については、FM(周波数変調)合成を参照してください。

ES2 での周波数変調の仕組み

ES2 では、1 番オシレータの周波数(波形ノブを 11 時の位置に設定して正弦波を選択)は、2 番オシレータの出力信号により変調されます。

  • 2 番オシレータから正の信号が出力されると、1 番オシレータの周波数が上がります。

  • 2 番オシレータから負の信号が出力されると、1 番オシレータの周波数が下がります。

各波形周期で 1 番オシレータの周波数を上下することによる実質的な影響は、基本波形に歪みが加えられることです。この波形の歪みによる副作用として、新たな可聴ハーモニックが多数生成されます。

重要: 周波数変調の効果は、2 つのオシレータの周波数の比率モジュレーションの強さの両方で決まります。

周波数の比率およびモジュレーションの強さを調整するには
  1. 一方または両方のオシレータの「Frequency」パラメータ値を粗調整または微調整します。

  2. 1 番オシレータの波形ノブで、「Sine」アイコンと「FM」アイコンの間の領域をクリック(またはドラッグ)します。これにより、周波数変調の量または強さが決まります。

    Figure. Oscillator 1 FM.

ES2 のルーターで使用可能な FM 合成オプション

ルーター内でモジュレーションターゲットに「Osc1Wave」を選択することにより、FM 変調の強さも調整できます。

ES2 のさまざまな波形を FM 合成に使用する

「純粋な」FM 合成手法では、最初の信号ジェネレータと 2 番目の信号ジェネレータの両方で、正弦波が使用されます(この方法を堅持する場合、1 番オシレータと 2 番オシレータの両方で、ES2 から生成される波形が正弦波に制限されます)。

ただし、ES2 では、両方のオシレータで、100 種類のデジウェーブを使うことができる上に、変調の強さと周波数比を無数に組み合わせて使用できます。このため、膨大なハーモニックスペクトルと音色を試すことができます。これらをぜひ活用してください。

ヒント: 生成される変調の種類は、特に 2 番オシレータ(変調を実行するオシレータ)で選択する波形により大きく異なります。

ES2 でリングモジュレーションを使用する

リングモジュレーションは、ベルのような不協和成分の多い金属音を生成することのできる強力なツールです。これを使って生成されるスペクトルは、ほぼすべての周波数比で不協和音が多くなります。リングモジュレータは、ごく初期のシンセサイザーですでに使われていました。

リングモジュレータの仕組み

リングモジュレータには 2 つの入力があります。出力時に聞こえるのは、入力信号の周波数の和および差です。200 Hz の正弦波を、500 Hz の正弦波でリングモジュレーションすると、700 Hz(和)および 300 Hz(差)の信号が出力されます。周波数が低いほうの出力信号は、位相が反転しています。

ES2 のリングモジュレーションの仕組み

リングモジュレータ信号を出力するには、2 番オシレータの波形ノブで「Ring」設定を選択します。一方または両方のオシレータの「Frequency」値(メインおよび微調整)を自由に設定して試してください。

2 番オシレータのリングモジュレータは、1 番オシレータの出力信号および 2 番オシレータ自体から生成された矩形波を受け取ります。この矩形波のパルス幅は変調可能です(ES2 でパルス幅変調を使用するを参照)。

Figure. Ring Modulation.

ヒント: より複雑な出力信号を作成する場合は、1 番および 2 番オシレータから生成されたノコギリ波および矩形波(パルス幅変調された)入力信号をそれぞれ使用します。倍音成分の多いこれらの波形を使うことで、多数の側波帯が聞こえるようになります。

ES2 でデジウェーブを使用する

シンセサイザーの基本波形に加えて、ES2 のすべてのオシレータには、デジウェーブと呼ばれる 100 種類の追加波形が用意されています。これらは、さまざまなサウンドおよび音源のアタックトランジェントの非常に短いサンプルです。

デジウェーブを選択するには
  • 波形ノブを「Sine」 (6 時の位置)に設定してから、以下のいずれかの操作を行います:

  • 「Sine」ラベルを Control キーを押しながらクリックするか、右クリックして、表示されるポップアップメニューから波形を選択します。

  • 「Sine」ラベルをクリックしたまま、マウスを上下にドラッグします。

  • 数字でデジウェーブを選択する場合は、Shift キーを押しながらメニューをクリックして、値を入力します。

    Figure. Digiwave pop-up menu.

ES2 のデジウェーブ・モジュレーション・オプション

各デジウェーブに割り当てられた番号は、パラメータとしてモジュレーションの対象にすることができます。これにより、PPG や Waldorf といった往年の波形テーブル型シンセサイザーのような音作りが可能です。波形テーブル、ベクトル、および LA (Linear Arithmetic)合成を参照してください。

モジュレーションルーター内でいずれかの OscWave をターゲットにすると、デジウェーブの一覧を自動スクロールして音を確認できます。モジュレーションの強さと速度をできるだけ小さくすると、各デジウェーブがクロスフェードする様子が耳に感じられるようになります。

3 つのオシレータから生成されるデジウェーブは、個別にモジュレートすることも、まとめてモジュレートすることも可能です。これらのモジュレーションターゲットについては、ES2 のオシレータを理解するを参照してください。

ES2 でノイズを使用する(3 番オシレータのみ)

3 番オシレータのノイズジェネレータは、ノイズ波形を選択することで有効にできます。デフォルト状態では、3 番オシレータはホワイトノイズを生成します。

これは、ある周波数帯域のあらゆる周波数成分が、同程度の強さですべて含まれる信号です。この周波数帯域幅は Hz 単位で表します。音響的には、ホワイトノイズは、子音の F と浜辺に打ち寄せる波の音の間にあります。ホワイトノイズは、風や波、電子スネアドラムの音を合成するのに役立ちます。

ノイズの色をモジュレートする

3 番オシレータには、自然なホワイトノイズ以外にも意外な機能がいろいろ隠されています。3 番オシレータの波形をモジュレートすることで、ES2 のメインフィルタを使用せずにノイズ信号の音色をリアルタイムでモジュレートできます。

ノイズの色を変更するには、モジュレーション経路を次のように設定します:モジュレーションのターゲットを「Osc3Wave」に、ソースを「ModWhl」に設定します。このモジュレーション量スライダは、通常とはいくらか異なり、フィルタに似た機能を果たします。

  • 6 dB/Oct の下りスロープを設定するには、モジュレーション量に負の値(-1.000 以外)を使用します。モジュレーションホイールを下に動かすと、サウンドが暗く(レッドノイズ)なります。

  • モジュレーション量を-1.000 に設定することで、この擬似フィルタを簡単に 18 Hz に設定できます。「Osc3Wave」が正の値でモジュレートされると、ノイズは明るく(ブルーノイズ)なります。

  • 「Osc3Wave」のモジュレーションターゲットのモジュレーション量を+1.000 に設定すると、フィルタカットオフ周波数が 18 kHz になります。

ES2 でアナログ・シンセサイザー・オシレータのチューニングのずれをエミュレートする

「Analog」パラメータは、ES2 のインターフェイスの左上にあります。このパラメータを使って、各ノートのピッチやフィルタカットオフ周波数をランダムに揺らします。

Figure. Analog knob.

一般的なポリフォニック・アナログ・シンセサイザーと同様、3 つのオシレータはどれも相互に一定の偏差がありますが、ランダムにピッチのチューニングが揺れる範囲はどれも同じで、「Analog」で指定した量になります。たとえば、「Analog」でチューニングの揺れを約 20%に設定すると、3 つのオシレータはすべて(使用する場合)20%だけランダムにずれます。

  • 「Analog」に小さい値を指定すると、サウンドに若干の豊かさを加えることができます。

  • 「Analog」に中間の値を設定すると、アナログシンセサイザー回路に特有の不安定なチューニングをシミュレートできます。これはアナログ・ハードウェア・シンセサイザーの暖かみを表現するのに便利です。

  • 「Analog」に大きい値を設定すると、ピッチが大幅に不安定になり、チューニングが大きく外れたサウンドになります。時には、これが非常に効果的な場合があります。

メモ: ES2 が「Mono」または「Legato」キーボードモードに設定されている場合、「Unison」がアクティブな場合にのみ「Analog」パラメータが有効になります。この場合「Analog」では、各ボイスのピッチをどの程度外すかを設定することになります。「Voices」パラメータが 1 であるか、「Unison」がオフの場合、またはその両方が当てはまる場合、「Analog」パラメータは調整しても効果はありません。これらのパラメータについて詳しくは、ES2 のキーボードモード(Poly、Mono、Legato)を選択するを参照してください。

ES2 でストレッチチューニングをエミュレートする

各オシレータの(粗調整)「周波数」ノブを使って、1 番、2 番、および 3 番オシレータを半音階またはオクターブ単位で調整できます。(微調整)「周波数」パラメータを使うと、各オシレータをセント(半音の 1/100)単位で微調整できます。オシレータ間のチューニングを精密にずらすと、オシレータの周波数間でビートやフェイジングが生成されます。再生される周波数/ピッチが高くなるほど、うねりは速くなります。したがって、低音よりも高音の方がチューニングが外れすいように感じられるかもしれません。

Figure. CBD parameter.

2 番オシレータの「周波数」ノブの左にある「CBD」(Constant Beat Detuning)パラメータでは、低いノートの周波数のハーモニックを、高いノートの基本周波数に応じた比で外します。

これにより、意図的に(平均律から)「外して」チューニングされた自然なサウンドエフェクトが得られます。これは、アコースティックピアノでよく使用されます。これはストレッチチューニングと呼ばれ、上段および下段の鍵盤の音域を中央のオクターブから若干外しますが、和声としては相互に「チューニングが合って」います。

CBD の使用に関するヒント

CBD は、補正ツールとして使えばオシレータ間のうねりを均一化することができ、作成ツールとして使えばストレッチチューニングをエミュレートできます。ES2 のサウンドをアコースティックピアノの録音と共に使用する場合、後者は特に重要です。

「CBD」パラメータには、オフ、25%、50%、75%、100% の 5 つの値があります。100%を選ぶと、鍵盤の音域全体にわたって、ほぼ一定のうねりになります。しかし、この値では効果が強すぎるように感じられるかもしれません。高音のうねりが自然に聞こえるようにすると、低音が外れ過ぎの状態になってしまいます。鍵盤の上段の音域で低音が外れ過ぎの場合は、低めの値にしてみてください。

CBD の基準ピッチは C3(中央 C)です。CBD の値をどのように変えても、この音のチューニング(デチューニング)は一定です。

ES2 でオシレータのレベルバランスを設定する

三角領域のクロスフェード内にある四角形のアイコンをドラッグして、3 つのオシレータ間の相対的なレベルを設定します。これは直感的に操作できます。三角形のある辺に沿って四角いアイコンを動かせば、近接した 2 つのオシレータの出力信号がクロスフェードされます。この場合、残りの 1 つのオシレータは無音です。

Figure. Oscillator Mix Triangle.

ES2 ルーターを使って三角座標をモジュレートする

三角領域内の四角いアイコンの位置は、2 つのパラメータ(実際には座標値)で表されています。オシレータ出力のミキシングをオートメーション化する場合にもこれを使います。このパラメータには、「OscLevelX」および「OscLevelY」という名前が付いており、ルーター内でターゲットとしてアクセスできます。

重要: これらの座標は、プレーナーパッドの X 座標、Y 座標とは別のものなので、混同しないようにしてください(ES2 のプレーナーパッドを使用するを参照)。

ES2 のベクトルエンベロープを使って三角座標を制御する

ベクトルエンベロープを使って、三角領域内の四角いアイコンの位置を制御できます。ベクトルエンベロープはループ機能を備えているため、プログラム可能な波形でこれを擬似 LFO として使うことができます。これを使って三角領域内の四角いアイコンの位置を変更できます。この機能について詳しくは、ES2 のプレーナーパッドと三角領域をベクトルエンベロープを使って制御する、およびES2 のベクトルエンベロープを理解するを参照してください。

ES2 のオシレータの開始位置を調整する

オシレータは、それぞれ思うままに発振させることも、ES2 がノート・オン・メッセージを受け取るたびに各波形周期の同じ位相位置で開始させることもできます。ES2 のインターフェイスの右上隅にある「Osc Start」(Oscillator Start)ポップアップメニューを使って動作を設定できます。

Figure. Oscillator Start parameter.
  • 「Osc Start」を「free」に設定した場合:オシレータの初期位相は、再生されるノートごとにランダムな位置になります。これにより、より生き生きとしたサウンドが得られます。欠点は、ノートを再生するたびに出力レベルが異なるため、MIDI リージョンによりノートがトリガされる場合のように、演奏が毎回同じであっても、アタックフェーズが迫力に欠けるように聞こえる場合があることです。この設定が有用なのは、典型的なハードウェア・アナログ・シンセサイザーのサウンドをエミュレートする場合です。

  • 「Osc Start」を「soft」に設定した場合:オシレータの初期位相は、再生されるノートごとにゼロクロッシングの位置で開始されます。これは、デジタルシンセサイザーの典型的な音響特性(および精度)を模倣しています。

  • 「Osc Start」を「hard」に設定した場合:オシレータの初期位相は、再生されるノートごとに波形周期の最大レベルで開始されます。この設定により得られる「パンチ」効果は、「ENV3」のアタック時間パラメータを小さい値(非常に速い立ち上がり)に設定した場合にのみ聞くことができます。電子打楽器や荒いベース音を出したい場合に特にお勧めします。

メモ: 「Osc Start」の設定を「soft」や「hard」にすると、音を再生するたびにオシレータの初期位相の出力レベルが常に一定になります。バウンス機能を使う場合、録音レベルを最大にする上で、この点が重要になることがあります。

ES2 のオシレータを同期する

周波数変調しなければ、「同期をかけた」信号は攻撃的で甲高い音になる傾向があります。2 番および 3 番オシレータの矩形波やノコギリ波には「Sync」オプションがあります。このパラメータをオンにすると、2 番および 3 番オシレータの位相が 1 番オシレータと同期します。

Figure. Oscillator Sync option.

1 番オシレータの出力信号の位相が 0 になる時点で、同期するオシレータ(2 番あるいは 3 番オシレータ)の位相も強制的に 0 になります。1 番オシレータの波形周期の範囲では、同期したオシレータは設定通りの波形周期で発振します。

同期したオシレータの周波数のエンベロープ変調

同期をかけた信号は、エンベロープジェネレータで周波数変調すると、非常に抑制された響きになります。同期点と次の同期点の間にある周期の数が絶えず変動するため、周波数の倍音構成もそれに合わせて変化しています。