Sculpture の Body EQ を使う

Body EQ は、単純な EQ としても、複雑なスペクトルシェーパーとしても、あるいはボディ・レスポンス・シミュレータとしても機能します。つまり、Body EQ はギターやバイオリン、フルートのような木製のボディや金属製のボディの共鳴特性をエミュレートできるのです。

実際の楽器のボディの衝撃反応記録に基づいて、各種のモデルが用意されています。こうした記録は全般的なフォルマント構造と微細構造に分類されているので、それらの特性を個別に変更できます。

Body EQ は、ボイスごとではなくすべてのボイスの合成信号に影響を与えます。

Figure. Body EQ On/Off and Model parameters.

メモ: Basic EQ を選択した場合と別の Body EQ モデルを選択した場合とでは、3 つのノブとスライダのパラメータ名や動作が変化します。Sculpture で Basic EQ モデルを制御するおよびSculpture でほかの Body EQ モデルを制御するを参照してください。

Sculpture で Basic EQ モデルを制御する

Basic EQ のパラメータのみ、ほかの EQ モデルとはパラメータが異なります。

Figure. Basic EQ parameters.
  • 「Low」ノブ: ロー・シェルビング・フィルタのゲインを調整します。
  • 「Mid」ノブ: ピークフィルタ(スイープ可能-後述の「Mid Frequency」スライダを参照)のゲインを調整します。
  • 「High」ノブ: ハイ・シェルビング・フィルタのゲインを調整します。
  • 「Mid Frequency」スライダ: 中域の中心周波数(100 Hz 〜 10 kHz)をスイープします。
Basic EQ(「Lo Mid Hi」モデル)をグラフィカルに調整するには
  • グラフィックの左から 3 分の 1 の領域を垂直方向にドラッグすると、「Low」パラメータを制御できます。

  • グラフィックの中央の 3 分の 1 の領域を垂直方向にドラッグすると、「Mid」パラメータを制御できます。

  • グラフィックの中央の 3 分の 1 の領域を水平方向にドラッグすると、「Mid Frequency」パラメータを制御できます。

  • グラフィックの右から 3 分の 1 の領域を垂直方向にドラッグすると、「High」パラメータを制御できます。

Sculpture でほかの Body EQ モデルを制御する

それ以外のすべての Body EQ モデルでは、以下のパラメータを使用できます:

Figure. Body EQ parameters.
  • 「Formant」の「Intensity」ノブ: モデルのフォルマントの強度をスケーリングします。つまり、このパラメータの設定によって、モデル内のフォルマント(高調波)の音量が増大したり、反転したりします。値が 0.0 だと、フラットレスポンスになります。値が 1.0 だと、フォルマントが強くなります。負の値の場合は、フォルマントが反転されます。
  • 「Formant」の「Shift」ノブ: フォルマントを対数的にシフトさせます。たとえば、値が- 0.3 だとすべてのフォルマントが 1 オクターブ下にシフトし、値が+ 0.3 ならフォルマントが 1 オクターブ上にシフトします。値が+ 1.0 だと、たとえば 500 Hz から 5000 Hz のように 10 倍上にシフトします。
  • 「Formant」の「Stretch」ノブ: フォルマント周波数を相対的にストレッチします。つまりこのパラメータでは、Body EQ によって処理されるすべての帯域の幅を変えて、周波数範囲を広げたり狭めたりします。
    • 「Formant」の「Stretch」値が小さいとフォルマントは(1 kHz を中心に)密集し、この値が大きいとフォルマントは拡散します。制御範囲は全帯域幅の比率として表されます。

    メモ: 「Formant」の「Stretch」と「Shift」を組み合わせると、サウンドのフォルマント構造が変わって、面白い音色変化が得られます。

  • 「Fine Structure」スライダ: スペクトル(高調波)の構造を改善して、サウンドの全体的な倍音構成をより精密に再現することができます。これによってハーモニー豊かで細密なサウンドになり、たとえばモデルによってはギターやバイオリンにより近いサウンドができ上がります。つまり、インストゥルメントの共振空洞がより共鳴するようになるのです。これは、大型のボディのギターからより深みのある音が出るのと似ています。値が 0.0 だと、微細構造を使用しないという意味になります。値が 1.0 なら、選択したモデルの緻密で完全な微細構造が再現されます。

    メモ: 「Fine Structure」を多用すると、CPU に相当な負担がかかるおそれがあります。また、「Fine Structure」を使用しても、実際にはサウンドに大きな違いが出ない場合もあります。この点は、弦、Waveshaper、Body EQ モデルのパラメータ設定によって大きく異なります。いつものように、自分の耳を信じましょう!

ほかの Body EQ モデルをグラフィカルに調整するには
  • グラフィックを垂直方向にドラッグすると、「Formant」の「Intensity」パラメータを制御できます。

  • グラフィックを水平方向にドラッグすると、「Formant」の「Shift」パラメータを制御できます。